こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
今回、鹿児島の鮨店を網羅的にお伺いしようと決心して数軒訪問しました。
そのように感じた理由は明白。
鹿児島県外の人、「鮨匠のむら」さんのイメージが強過ぎませんか??
それ故に他店を探求しようと感じた次第です。
僕はあらゆる県で「ご当地江戸前鮨」が発展して欲しい!と願って活動しているので、これは使命に近い探求欲です(笑)
中でも「出会えて良かった!」と感じたのが「鮨 一(ぴん)」さん。
鹿児島で県内外の人にオススメの江戸前鮨店です。
開店当初は県外産ものもが多かったのかもしれませんが、現在は県内外の魚を巧みに併用されています。
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「鮨 一(すし ぴん)」さんは、鹿児島では珍しい正統派の江戸前鮨店です。
言わずと知れた有名店「鮨匠のむら」さんよりも「東京に近いスタイルの鮨店」で、地魚や九州産の魚を巧みに用いられています。
個人的に、「鮨匠のむら」さんと共に鹿児島で訪問する価値がある鮨店だと感じます。
親方の山村 基志さんは東京で26年のキャリアがある職人さん(2023年訪問時点)。
独立されてから既に14年が経ち、かつては東京都六本木でお店を開かれていました。
しかし、コロナの影響や思うところがあり、2020年に地元である鹿児島に移転されたそうです。
なお、六本木時代の食べログは口コミが21人で、スコアは3.36。
移転されてからは現状3.07ですが、今後明らかに六本木時代よりもハイスコアになると確信しました。
親方は「鹿児島に江戸前鮨を広げたい!」と言う想いが強い方です。
正統派の江戸前鮨が育っていない土地だからこそ、他の職人さんにも刺激を与えて盛り上げたいと願っておられます。
願うだけでなく有言実行されていて、なんと仕込みの見学も受け入れておられるそうです。
訪問時点で48歳のベテランながら、「シェア志向の考え方」をされるなんて実に若い!と感じました。
そして、肝心の仕事については非常に綺麗で、無駄な動きや音がありません。
職人さんの技量は立ち居振る舞いに表れ、所作だけでなく音で分かるもの。
基本的な鯵の捌きを見て、親方の確かな腕を実感しました。
そして、タネについては県内産や九州産に限らず、他県産の魚も使用されていますが、実に考えられています。
頂いてみると、他県産を使う必然性があると実感します。
これについては、航空便の北海道産いくらの仕事を味わって実感しました。
構成が巧みである事も一因でしょう。
故に、親方に水を向けてみたところ「なんでもかんでも地元のものは正解ではないと考えています。それが出来るのは海が本当に豊かなところだけ」との事でした。
お客は「全て地元のもの」を求めがちですが、漁獲量が激減する日本では、あるものを活用して地元らしさを表現する手段も必要になってくると感じます。
シャリについては、温度も硬さも申し分無く、粒が立ちつつ表面にツヤがあります。
酸味も塩気も穏やかめで、これは鹿児島を意識した調味なのかもしれません。
米酢のシャリと赤酢のシャリの併用ですが、双方のギャップは大きくなく、米酢の方には甘味を付けておられるように感じました。
ちなみに、お酢については、赤酢はヨコ井の與兵衛で、米酢はミツカンの白菊との事です。
「鮨 一」さんのおまかせコースについては、価格は不明ですが、恐らく15,000円前後だと推察されます。
下記のお酒をグラスで頂き、お会計は22,000円でした。
ご参考までに。
この度頂いたお酒
- 三浦酒造 豊盃 純米吟醸 華想い
- 光栄菊酒造 Hello! KOUEIGIKU 雄町(おりがらみ)
- 廣木酒造 飛露喜 純米大吟醸
- 西酒造 天賦 純米吟醸
- 松崎酒造店 廣戸川
食感が良く、コリコリ感がかなり強い和布。
ガリは甘味が弱く、スッキリした辛味と酸味で、塩気も穏やか。
「茹で上がり」との事で、嬉しい香りと食感だ。
くにゅくにゅと艶めかしい食感で、噛み締めると香りが高まる。
これは旨い!
旨味とともに繊維質がほどけてゆく。
旨味がしっかりとある鯛で、旨味が喉に広がる。
海胆をエサである昆布出汁に漬けるとは、面白いセンス!
自然に馴染み、海胆の甘味を楽しませてくれる。
唐墨は流石に昨年のモノであった。
半生に仕上げている。
茶碗蒸しは具無しで、調味も控えめ。
唐墨を活かす調整が効いている。
天草産。
しっとりと柔らかく、それでいて旨い〆加減。
酸味が上品にキリッと広がり、時期的に淡い旨味がふんわりと残る。
皮もまだ柔らかい。
鹿児島産で、予想通り血鯛。
これは赤酢のシャリで提供し、柚子皮を噛ませつつ上品な範疇に留めている。
しっとりと〆て非常に柔らかな方向性ながら、旨味を広げる良き仕事。
皮目を湯霜にした後に4分・1分との事だ。
大間産。
脂が乗りつつ、まだ酸味を感じさせる中トロで、これも赤酢のシャリ。
4.1キロ!いわゆる「ドラゴン」サイズだ。
肉厚でジューシィかつ旨い。
腹寄りはパンチが凄い。
脂も香りも強めだ。
産地は鹿児島との事…味わい的に出水だろう。
塩を当てて脱水しているため、ぷりっとした食感で、脂が強く香りもしっかりしている。
雄々しい味わいの鯵だ。
柑橘のポン酢はカボスだろうか?
香りが良い。
仕事は漬けで、身をねっちりさせない範囲にとどめている。
香りと旨味を楽しませる仕事で、赤酢のシャリともバッチリの相性。
酢橘と塩で提供。
安定感ある味わい。
蛇腹の大トロ!
筋は全く気にならず、香りが強く、旨い。
時期的に脂は穏やかながら、舌と喉にじんわりと残る。
鹿児島産の鯖の棒寿司。
ガリと大葉を噛ませ、白板昆布と合わせている。
脂が乗っていて、〆加減も良い塩梅だ。
巻き込んでおらず、ふわっとした巻き加減。
しっかりと〆て脂、旨味、香りを封印している。
ネガティブな要素はゼロで、骨もゼロ。
蒸したてを皆に合わせて提供する。
予約時間がバラバラでも、鮑は蒸したてがベストと言う信条に基づいている。
食感はコリッコリで、香りが良い!
これは蒸したて故の香り高さ。
肝もしっとりと仕上げていて、旨くて香りが良い。
肝をペースト状にして油脂を添加していない点が素晴らしい(鹿児島で硬派な鮨を出そうという気概を感じる)。
海胆は天草産。
希少性が高い生産者さんのようで、3箱のみ鹿児島に入ったそうだ。
さらに、「さっき届いたばかり」と言う北海道航空便のいくらを即席漬けにして提供!
しかも、塩気も考えられている。
走りのいくらのピュアな味わいを伝える仕事を鹿児島で楽しめるとは一興。
姿を見た時は「うわ…海胆×いくらか…」と少し辟易したものの、いざ頂くと理に適った仕事を感じる。
海胆は濃密な甘味で、キリッとした香りが北海道や青森との大きな違いだ。
対馬産。
とろんとろんに仕上げ、シャリは米酢。
酸味が良いアクセントとなる。
煮凝りごと漬け込みをされていて、成る程…と思う。
鰹出汁のアオサ入りの味噌汁。
甘味のある出汁巻き!
キリッとした鰹出汁のアオサの味噌汁とのコントラストがあるので、これはこれで良いなと実感する。
「鮨 一」さんは鹿児島の中心街である天文館にあり、アクセス至便です。
ただ、大通りに面しておらず、ビルの奥まった1階なので、喧騒は遮断されています。
店内は若い方でも緊張せずに寛げる、温かみのある上品な空間です。
「鮨 一(すし ぴん)」さんの予約については、お電話もしくはインスタのDMにて可能です。
店名:鮨 一(すし ぴん)
シャリの特徴:米酢のシャリと赤酢のシャリの併用で双方のギャップは無く、ともに温度も硬さも申し分無し
予算の目安:お酒を飲んで20,000円~23,000円くらい
最寄駅:天文館通駅から180m
TEL:099-248-9966
住所:鹿児島県鹿児島市中町3-5 やまさんビル1F
営業時間:18:00~22:00
定休日:日曜
鹿児島が誇る名店「鮨匠のむら」
鮨の枠を超えて鹿児島を代表する名店!楽しく美味しい「鮨匠のむら」
鹿児島で素敵な一軒に出会えて幸せな、すしログ(@sushilog01)でした。
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