こちらは明確な個性を持つ名店、目黒のいずみさん出身の職人さんのお店です。
ご主人はいずみの親方が倒れられた時から、長らくつけ場に立っておられたそうです。
オープンは2012年の10月なので、遅咲きと言えるかもしれません。
しかし、ご自身の表現を活き活きとされており、伺って良かったと思うお店でした。
お任せで頂いた印象としては、いずみさんよりも握りに力を入れておられ、それでいて独創的な仕事も施すところが面白い。
「太刀魚の塩焼きの握り」など、名前だけ聞くとちょっと驚くところですが、予想を超える美味しさで、一連の流れの中では違和感なし。
また、レモンも使いますが、鼻に付くところはありませんでした。
酒肴にセンスが光るところは、いずみさん出身ならでは。
さらりと出される酒肴が美味しく、過剰に手を加えていないところは好印象です。
握りに移行するまで、穏やかにお酒が進みます。
そして、当店のシャリは硬めですが硬すぎず、丁度良くほどける。
酢はやや強めで、塩はそこまで強くない。
甘みが控えめながらに、嚥下した後に米の香りがほのかに漂うところが特徴的です。
ただ、唯一、最初の温度がやや高めだったのが気になるところ。
全体的には主張し過ぎない美味しいシャリだと感じます。
スープ
魚と貝の出汁に、シャリを少々。
胃を優しく刺激してくれる、嬉しいスターター。
酒肴は蛸の桜煮に始まり、平目、本ミル貝。
本ミル貝は濃厚な甘みを味わった後に、爽やかな香りが漂う。
極めて上質なミル貝で、記憶に残りました。
真鱈の白子
フライパンでソテーした白子と酢飯。
お焦げがアクセントになり、美味しい。
烏賊の塩辛
肝の苦味が良い意味で主張する塩辛。
いずみさんの塩辛も美味しかったが、オリジナリティを表現されている。
ナマコとメカブ 前掲
お茶に数十秒くぐらせたナマコは歯切れが良い。
穏やかな鰹の出汁が良い塩梅。
マナガツオの焼き物、鶏卵添え
味付けも火入れも中々。
また、切り身のサイズが程よく、後の握りを邪魔しないよう配慮されているように感じた。
ここから握りがスタートします。
春子
柔らかな〆で鶏卵のオボロとのバランスが良い。
針魚
軽く塩で〆、酢で洗ったさより。
食感の活かし方が巧く、レモンを一滴絞る。
小鰭
浅い〆だが、酢は立ちます。
中々旨いものの、包丁により小鰭の印象を弱めている感。
鯵
太刀魚
握りとしては珍しいタネですが、個人的には好印象。
ホロッとした太刀魚の身と硬めのシャリが予想以上に合っており、
脂と酢の調和も感じます。
「食感で魅せる仕事」と私見。
鮪赤身 前掲
車海老
蛤
桑名の大ぶりな蛤で、火入れも抜群。
玉子
さっぱりジューシーな仕上げ。
鰯の軽い巻物
鰯、大葉を軽く巻いた一貫。鰯の脂と酢が海苔と合う。秀逸。
干瓢巻き
追加。食感はしっかりしており、淡い味付けですが、美味しい。
椀
アオサと岩海苔を二種類使用しているのでしょうか。力強い椀です。
三人でビール二本、日本酒四合を飲んで、一人当たり15,910円。
内容を考えると非常に満足度が高いお店でした。
店名:なかのや
シャリの特長:丁度良くほどける良い硬さ。酢はやや強めで、塩はそこまで強くない。
予算の目安:夜12,000円〜
最寄り駅:戸越銀座駅から600m、不動前駅から850m、五反田駅から1,200m
TEL: 03-6417-4180
住所: 東京都品川区西五反田6-22-11
営業時間:18:00〜22:30
定休日:月曜
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