こんにちは、鮨を愛する鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
2014年3月に東銀座にオープンされた鮨たかはしさん。
僕はオープン直後の5月に訪問させて頂いた事がありますが、2020年10月に日テレ系の「新・日本男児と中居」 のロケで再訪するという、奇縁に恵まれました。
そして、テレビのロケ訪問だけでは不礼かと思い、この度プライベートで再訪しました。
結果的に、オープン時の印象とはガラリと異なる内容になっていて、現代の東京の鮨を代表する味だと実感しました。
鮨たかはしの立地と雰囲気
鮨たかはしさんは銀座一丁目にあり、駅から至近の好立地にあります。
「二丁目寄りの一丁目」なので、銀座の中でも落ち着いたエリアです。
ビルの1階の、少し奥まった場所に暖簾が掛かっていて、店内はカウンター7席のみ。
2回転制で14名のみなので、プレミアムシート化しています。
席の間隔は広めなので、窮屈な感じは全くありません。
店内の照明は控えめで、鮨店としては珍しく温かみのある黄白色。
写真を撮る方は難しい色味なので、ホワイトバランスに要注意です(笑)
鮨たかはしの親方・高橋潤さんと仕事について
「鮨バブル」の現在でこそ若い方の独立が増えていますが、親方の高橋潤さんは先駆けであるように感じます。
高橋親方は、ミシュラン三ツ星でありながら訪問が困難なために星を返上して会員制に移行した「鮨さいとう」さんで修業された後、27歳で独立されました。
オープン直後に訪問した際には若々しく、初々しい雰囲気であった高橋親方も、激戦区・銀座で6年も経てば、親方の貫禄を纏っておられます。
色々な意味で「難しい」お客さんが多い銀座は、他の土地よりも人を鍛えるのかな…などと考えました。
だからこそ、銀座は今も昔も「鮨の聖地」なのかもしれません。
そして、高橋親方は風貌のみならず、仕事の方もオープン後とは比べ物にならない程に飛躍されています。
オープン時には「確かに美味しい」ものの、「酒肴に比べて握りが弱い点」、「酒肴についてもオーソドックスなものが多く型にはまっている点」が気になりましたが、現在は握りが美味しく、酒肴は個性的なものに変わっていました。
特に印象的に感じた点はタネとシャリの一体感の向上です。
鮨たかはしのシャリについて
かつてはタネとシャリが調和していないように感じましたが、現在はシャリに独自のアプローチを行い、シャリとタネの一体感を生み出しておられます。
その「独自のアプローチ」とは、シャリの温度帯です。
一般的な若手~中堅職人さんのお店よりも温度が低く、それは終始変わりません。
これは今日び珍しいアプローチ。
低温のシャリから始めて温度を上げる職人さんもいますが、高橋親方は大きな温度変化を行わず、ぬるめのシャリでタネと合わせます。
炊き加減は硬すぎない程度に硬めで、味付けは酸味がしっかりしていて、塩気は穏やかに感じます。
かつては「やや硬め、酸味は軽やかで、塩やや強め」でしたので、硬さはさておき、調味とシャリ温を調整されてきたのかな?と感じました。
親方は貫禄を纏っているとは言っても、まだまだお若い30代前半。
鮨の探求の時間がたっぷりあるので、今後が大いに楽しみな方です。
ちなみに、高橋親方は『すしのサイエンス』と言う非常に興味深い書籍の共著者です。
そして、2020年2月に発売した本なのに、1年待たずに増刷が決定したそうです。
すしログ
お値段が張るので購入時には少し悩みましたが、実際に読んでみると買って良かったと心から感じました。
僕は自宅に「鮨文庫」を作るほど様々な鮨の文献を読んでいますが、類書無しの力作です!
鮨たかはしのおまかせの詳細と予算(実際に頂いたもの)
鮨たかはしさんはおまかせ一本で、価格は税込み24,200円~とのことです。
コースは酒肴数品が出た後に握りに移行し、途中で酒肴が数品挟まれる流れです。
すし匠系列ほどに酒肴は多くなく、握り主体の構成です。
この度頂いたお酒
ヱビスビール小瓶、伯楽星・純米吟醸、大洋酒造・無想・純米、逸見酒造・至・純米
おまかせ2人分+上記お酒で58,300円です。
お一人3万円の予算と見れば良いと思います。
毛蟹
オープン時には乗せておられなかったキャヴィアを乗せておられ、初見で冷ッとしたものの、味は旨い(笑)
東京の高級店ホッパーはキャヴィアを喜ぶのかもしれないが、個人的には味の必然性が無ければ使用しなくても良いかと…。
毛蟹は蟹味噌と共にみっしりと詰められていて、物凄いボリューム!
複数の調味料を出される点がキャヴィアの使用よりも遥かに魅力的で、一つの食材で飽きずに自分の好みでたっぷりと頂ける点が嬉しい。
煮蛸
かなり柔らかく煮ていて、太い足はぷちりと軽く弾けた途端に、しっとり、ほろりとほどけ、同時にくにゅくにゅと弾力も楽しませてくれる。
単純に柔らかいだけでは興醒めなので、食感の妙を楽しませてくれるのが良い。
甘みは割と強めの調味。
鰆
藁で炙っているので香りが良い。
肉厚な魚体で血合い周りは完全に取り除いている。
鰆特有の野趣を感じる事無く、脂と旨味を楽しめる。
ガリ、若芽
ガリは甘みが割と強めなのが意外。
甘みに加えて酸味と辛味のバランス的に、フルーティな印象を抱くガリ。
鰹
叩いたトロ(中落ちをねぎった語源通りのネギトロか)を噛ませて握る個性的な手法。
トロの脂と風味を感じた後に鰹の酸味、そしてシャリの酸味が爽やかに締める味の構成は大変興味深い。
握りで異なる魚を併用するのは「飛び道具」だと思うが、味の完成度が高いため、一貫目としてキャッチ―な役割を担っている。
茶碗蒸し
いくら、五島の赤ムツ、ツブ貝を使用。
いくらと赤ムツは言わずもがなの相性だが、ツブ貝の風味と食感がアクセントになる点が面白い。
カワハギ
浅葱を噛ませて。肝はペースト状にしておらず、恐らく軽く湯引きしたものを使用している。
たっぷりと使用しているので、濃厚。
小鰭
佐賀産。脂が強めの小鰭で、酸味と塩気は穏やかながら、しっかりと〆て寝かしているので、旨い。
こなれた感じのテイストは小鰭における寝かせの重要性を感じさせてくれる。
白子
アオサと相性が良い。
ポン酢は鰹出汁が強めで、スダチを利かせた自家製。
唐墨、鮟肝
唐墨は10日。
塩抜きに麦焼酎を使用し、4日掛けているそうなので、しっとりしている。
鮟肝のペーストには定番の奈良漬を使用(微塵切り)。
鮪中トロ
神津島産。均一に脂が入っていて濃密な味わい。
12月上旬、津軽海峡のものとは大きく味わいが異なる鮪。
部位は腹カミで、仲卸は樋長との事。
鮪大トロ
中トロ以上に濃厚な脂。
ズワイガニのカニクリームコロッケ
ズワイガニを使用した贅沢な酒肴。
中トロ、大トロの後にカニクリームコロッケとは、濃厚な味わいが好まれやすい現代的な流れだ。
墨烏賊
肉厚な墨烏賊なので強いバツバツ食感を楽しめる。
鯖
大型で肉厚な鯖。
しっかりと〆たものを、提供前に周辺部を丁寧にトリミングしているため、食感は艶めかしい。
鰤
鯖の後に鰤と脂が乗ったものを繰り返し、食後感のパンチが高まる。
車海老
茹で上げが巧く、甘みを引き出していて、食感も柔らかい。
穴子
味付け穏やかな穴子に濃厚な煮ツメを合わせていて、魅力的な仕事。
太巻き
海胆トロたく大葉巻き。
非常に濃厚な味わいで最後にガツンと来る太巻き。
椀
浅蜊の赤出汁。
赤出汁ながらにまろやかな味わい。
玉子
完全に二層で、カスタードプリンとカステラを合わせたような持ち味。
海老の香りが上品に漂う。
鮨たかはしのお店情報と予約方法
予約の難易度は割と高めですが、ヒトサラを見ていると、意外にも空席を見つけられます。
直近の予約は難しいものの、少し先ならばポンと空きがある事があります。
数分前に一杯だったところが空いていて、驚きました(笑)
シャリの特徴:比較的温度が低めな点が特徴的。炊き加減は硬すぎない程度に硬めで、酸味が強めで、塩気は穏やか。
予算の目安:おまかせ24,200円〜
電話番号:03-3561-6503
住所:東京都中央区銀座1-14-14 森川ビル1F
最寄駅:銀座一丁目駅から250m
営業時間:第1部17:00〜19:15、第2部19:30〜
定休日:水曜
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