恐らく、今や日本…いや、世界で一番有名な鮨屋なのではないでしょうか。
しかも、ここ10数年の間で一気に知名度が上がった印象です。
やはり、ミシュラン三ツ星やドキュメンタリー映画化の影響はとてつもないです。
過去数回予約を試みましたが、敢えなく敗退…
諦めていたところ、友人からお誘い頂き、89歳となる小野二郎氏の握りを頂く僥倖にあずかりました。
すきやばし次郎の概観、シャリ、仕事について
頂いた感想を一言で述べると、やはり「唯一無二」。
予想外に握られるスピードはゆっくりで、しかも一見すると強めに握られているのですが、タネとの一体感は非常に高い。
シャリは思ったよりも酢が強くなく、塩分も鋭くない。
こちらのご出身の青空さんの方がアグレッシヴなシャリかと思います。
鮪に合わされているのかと思っておりましたが、必ずしもそうではないようです。
温度は完璧に近い温かみでした。
そして、流石にタネの質は非常に高いです。
上品かつ精緻な仕事が施され、香り、旨味、食感が引き出されております。
大振りな切り付けに一瞬びっくりしましたが、
シャリとぴったり一体化しておりました。
価値の判断については、やはりコストに依拠するかと思います。
20貫と玉子を頂き約35,000円という価格は、人によって判断が大きく変わってくるでしょう。
滞在時間は三ッ星でも世界最短でしょうし…。
個人的な結論として、タネのインパクトで勝負する握りもありますが、基本的には通好みの握りだと感じました。
握りを食べ歩いている人の方が、個性や仕事の凄みが分かるのではないかと思います。
頂いた握りは下記の通りです。
こちらは写真撮影がNGで、メモを取る暇もありませんので(笑)、後日記憶から文字起こししました。
すきやばし次郎のおまかせコースの詳細
真子鰈
やはり江戸前鮨には星より真子の方が旨く、何よりも食感が良い。
墨烏賊
艶のある輝きを帯びた墨烏賊。
未だあどけなさが残る食感だが、包丁で大人っぽさを引き出していた(訪問は10月)。
縞鯵
墨烏賊の後に気分を高揚させてくれる味わい。
鮪赤身、中トロ、大トロ
何よりも驚いたのが、温度管理。
大トロの蕩け方はベストに近い。
小鰭
大ぶりの小鰭を丸付け。
しかしながら柔らかく、旨味が凝縮されており、皮目の質感も楽しめる。
蒸し鮑
10月頭なのに感動的な香り。
旨味も重層的に押し寄せてきて、シャリが甘みを引き立てる。
鯵
生姜と浅葱で爽やかに。
濃厚な蒸し鮑の余韻を流してくれる。
鰹
こちらも感動的だった。
炙り方、燻香の付け方が秀逸。
当日頂いたタネの中でトップクラス。
蝦蛄
肉厚で、たっぷり子を持った蝦蛄。
卵の食感が心地良く、強い香りが記憶に残った。
鯖
〆て一週間寝かせた鯖。
ラディカルな〆加減ながらに鯖の旨味や香りを楽しめる。
車海老
極めて大きい車海老。
やや大味だったが、タネのインパクトは大きい。
鰯
とろりと蕩け、鰯の香りが上品にたなびく。
上質な脂。
海胆軍艦
酢飯を多めに使い、海胆もたっぷり。
「軍艦」という名がふさわしい軍艦に出会った。
小柱軍艦
海胆軍艦よりも酢飯の量(シャリの高さ)や海苔の幅を抑え、小柱を活かす。
いくら軍艦
シャリ、海苔との相性が抜群。
尚、いくらに限った事ではありませんが、
ご自身のシャリや仕事との合一を優先した仕入れを行っておられるのかと思われます。
穴子
ふんわり柔らかな穴子。
こちらも旬に頂いてみたい。
干瓢巻き
甘めで、食感良く戻された干瓢。
オボロ巻き
海老の香りがとても強い、美味しいおぼろ。
玉子
噂には聞いておりましたが、本当に美味。
外国人も喜ぶであろう、ジャパニーズスイーツ。
写真を撮れないのが少し残念ですが、
もの凄い貫数の握りに集中出来るというのは、鮨好き冥利に尽きます。
圧倒的なストーリー性。
再訪が困難なお店ですが、明確な個性を持った名店だと思います。
なお、小野二郎氏の著書『すきやばし次郎 旬を握る』は、ご自身の技を余すところ無く網羅した本で、読んでいて本当に楽しいです。鮨種の勉強にもなるので、鮨好きならばオススメいたします。
すきやばし次郎の店舗情報
すきやばし次郎(食べログのリンク)店名:すきやばし次郎(すきやばしじろう)シャリの特長:鮪に合わせていると聞いていたが、思いのほか優しい。温度が理想的。予算の目安:30,000円~35,000円最寄り駅:銀座駅から77m住所:東京都中央区銀座4-2-15 塚本ビル B1F営業時間:月〜金曜11:30~14:00、17:00~20:30、土曜11:30〜14:00定休日:日曜
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