こちらは福山の中央公園に隣接し、スタイリッシュな雰囲気の蕎麦と鴨料理のお店。
食べログのスコアは低く、ネット上の情報も少ないですが、(写真を見て)鴨の火入れと盛り付けに食指が動き、長らく課題にしておりました。
この度、機会を作ってやっと訪問する事に。
そして、前菜を頂いた瞬間に、自身の眼が間違っていなかった事に笑みがこぼれました。
まずは、料理の紹介をする前に、こちらの鴨の紹介を…。
こちらは、大阪府・河内松原で生産されている、「河内鴨(かわちがも)」と言う合鴨を使っておられます。
「河内鴨」は明治初期から続く伝統的な飼育を行っておられ、餌は抗生物質を含まない無農薬の飼料で育てられており、一羽一羽の体調を綿密に管理し、通常よりも長い飼育期間で、正に手塩にかけられているそうです。
かなり手間がかかる合鴨ですが、味わいは抜群。
香り、旨味、食感の面で非常に高いレヴェルにある合鴨です。
このように、希少な「河内鴨」ですが、広島県では唯一こちらのさらざんさんが生産者である津村さんから仕入れておられ、センスみなぎる調理法を以って、「河内鴨」の魅力をたっぷりと楽しむ事が出来ます。
この度は【プチコース】3,000円に【河内鴨皮のロースト】480円、【河内鴨ロースのたたきハンバーグ仕立て】1,400円を追加。
河内鴨の様々な部位を駆使したアラカルトメニューも豊富なので、複数人で訪問しても面白いかと思います。
逆に、多すぎて迷ってしまう…と言う方は、僕と同じく【プチコース】に追加するスタイルがオススメ。
【プチコース】では河内鴨ロースと河内鴨もも肉を食べ比べ出来るので、お得感と面白さがあります。
こちらはまた、ワインを始めとするお酒のラインナップも豊富で、日本酒は広島県三次市の山岡酒造のものを多数出されております。
料理の単価は一見すると少々お高いように感じるかもしれませんが、内容的には非常に満足度が高いのでご安心を。
「河内鴨」を頂けるというだけでなく、調理法は東京都内でも通用するレヴェルにありますので、福山で非常に貴重なお店だと感じました。
「河内鴨」もこちらのシェフに出会えて幸せだと思います(笑)
頂いた料理は下記の通りです。
【プチコース】は前菜の盛り合わせ、河内鴨の焼きもの、〆の手打ち蕎麦から成ります。
お酒は先ずは瑞冠のいい風花を(純米吟醸・広島雄町)。
前菜の盛り合わせ
手前から、笹身、ロース、砂肝のアヒージョ。
笹身は塩と山葵でシンプルに頂く。
燻香が付けられており、鴨の軽い鉄の爽やかな味わいと相まってセンスを感じる。
繊維質はしっとりと柔らかい。
なお、使用されている塩はゲランド。
そして、ロースにはクレソンと味噌を合わせており、良い塩梅。
砂肝のアヒージョはガーリックの香りの残し方が良い。
押しなべて抑制を感じ、素材を活かす事に成功している。
河内鴨の焼きもの
ロースともも肉のステーキを食べ比べ。
ともに素晴らしい火入れで、河内鴨が如何に素晴らしい合鴨であるかを感じさせてくれる。
ロースはシンプルな味付けで、非常に柔らかい繊維質ながらに噛みしめると強い旨味が充満する。
合鴨では最高級の部位で、食感と旨味のバランスが素晴らしい。
もも肉にはほんのりと甘みを聞かせマスタード、ケーパーと合わせている。
肉質はもも肉に比べてしっかりと力強く、脂も多い。
より力強い部位なので、変化球的な味付けがピッタリだ。
いやはや、食べ比べの楽しさを感じさせてくれる、良きコントラスト。
ジャガイモのピュレも完成度が高く、大満足です。
【プチコース】は通常この後、〆の蕎麦ですが、もっと楽しむために【河内鴨皮のロースト】、
【河内鴨ロースのたたきハンバーグ仕立て】を追加。
日本酒も変え、瑞冠のこわっぱ(純米吟醸・亀の尾)を。
河内鴨皮のロースト
河内鴨は身も上質でしたが、鴨と言えば気になる部位が、皮。
ローストで頂いてみると、皮のパリパリ感と脂のパンチ有る旨味を共に楽しめた。
味付けも塩、胡椒と潔く、部位に合った活かし方を把握されている。
河内鴨ロースのたたきハンバーグ仕立て
オーダーの後に肉塊を叩いている音が聞こえてくる。
シェフが素材を愛している証左。
ハンバーグは表面はサクサクに、中は脂たっぷり肉汁じゅわじゅわっ!
これも技術を感じさせる、真っ当なレアだ。
一見すると生だがしっかりと火が通り旨味が引き出されているのが、真っ当なレア。
旨味だけでなく鴨の香りも満喫させてくれる。
微塵切りにしたネギと醤油ベースのソースも穏やかな味わいで良い。
蕎麦
こちらは常陸秋蕎麦8に国産小麦2の二八。
蕎麦は力強い食感で歯応えがあり、強い香りを楽しんだ後に、喉越しも良い。
切りつけにやや迷いがある点が課題か。
とは言え、今後のポテンシャルを感じさせる蕎麦であった。
ツユも結構な辛汁で、醤油、鰹ともにエッジが利いており、かえしの甘みも強めと言う、かなり個性的なツユで、シェフの変態性を感じる。
それでいて、蕎麦湯はナチュラルで、蕎麦粉を過剰に付加していない。
香りをしっかりと楽しませ、サラリと〆る良き蕎麦湯。
こちらは福山のみならず広島県下で、心からオススメ出来るお店です。
日本人の口に合う鴨を明治より目指してこられた河内鴨。
香りや味わいのクセが強くなく、鴨に苦手意識を持っておられる方でも行けるのではないか?と思わされる。
羊肉で言うところのアイスランドシープのような存在だと感じました。
ご主人のセンスある調理に感銘を覚えました。
店名:さらざん
食べるべき逸品:河内鴨を用いたセンス溢れる料理。
予算の目安:3,000円〜7,000円 ※各人の胃袋次第(笑)
最寄駅:福山駅から900m
TEL:084-983-1310
住所:広島県福山市明治町2-32
営業時間:昼11:30~14:00、夜17:30~22:00
定休日:不定休
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