すしログ:マリアージュを強く打ち出すスタイリッシュな鮨店!表参道「鮨m(エム)」

鮨m入口

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

神楽坂「すし ふくづか」さんで鮨とワインのマリアージュに対する偏見を砕かれました。

その後、渋谷「あじゅう田」さんで、その面白さを再認識。

もちろんソムリエさんのスキルとセンスに大きく依存する手法ですが、僕は「アリ」だと感じます。

古風な鮨通は敬遠するかもしれませんが、新たな手法と価値が生まれずして文化の進歩はあり得ないので。

 

今回ご紹介する「鮨m(エム)」は、m=marriage(マリアージュ)の意味で、ワインとのペアリングを前提とするお店です。

すしログ

親方を務める橋本純也さんとは豊洲の仲卸でご挨拶させて頂き、仲卸さんからもオススメ頂いたので、いつか訪問しようと優先度を上げました。

そして、今回、外苑前のワインバー”no.501″とコラボレーションしてイベントを行うと聞いて、速攻で申し込んだ次第です。

“no.501″は結構尖ったワインを揃えるお店なので、特に面白いだろうと判断して。

すしログ

結果的に、橋本親方の握りが奏功し、期待以上の満足感を与えてくれました!

多大な勉強になったので、その一端をご紹介します。

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表参道「鮨m(エム)」の魅力とワインペアリングの可能性

表参道の「鮨m(エム)」は、ソムリエの木村好伸よしのぶさんが開いた鮨店です。

木村さんは青山のミシュラン二ツ星店である「NARISAWAナリサワ」のヘッドソムリエとして、10年のキャリアを持つ方です。

「NARISAWA」が前衛的なイノベーティブレストランであることも影響してか、「鮨m(エム)」もまた前衛的な試みをされています。

 

鮨を握るのは橋本親方ですが、料理はフランス料理のシェフが担当されるとの事で、むしろフレンチレストランに鮨の要素を採り入れたような方向性です。

ソムリエの木村さんは無類の鮨好きとの事で、「お米と素材」をテーマにして独自のペアリングを模索されています。

 

「鮨m(エム)」のオープンは2019年で、橋本親方が参加されたのは2021年の1月。

橋本親方は「江戸前鮓 すし通」で修業された方。

すし通」は藤永親方在籍時代しか伺っていませんが、なかなか前衛的な鮨店です。

この度頂いた感想としては、鮨とワインのペアリング自体が素晴らしいのではなく、ワインに合わせられるシャリを切る職人と鮨愛のあるソムリエが出会って初めて価値を生み出すのだと感じました。

鮨m鮪中トロ

橋本親方のシャリは赤酢をしっかりと利かせたもの。

酸味が強めで、塩気は比較的穏やか。

炊き加減は柔らかめなのに、穏やかにぱらりとほどけます。

温度は人肌プラス少々の温かめ。

 

かなり独特の味付けだと感じてブレンドを伺ったところ、やはり個性的でした。

ヨコ井の與兵衛に金将を加え、さらに内堀醸造の美濃三年酢をブレンド!

これを聞いた時は興奮しました。

 

親方の目論見は奏功していて、内堀ブレンドで強化された酸味があるからこそ、ワインペアリングにも合うのだと感じました。

もちろん根底を支える與兵衛の旨味もあってこそですが。

ちなみに、塩はキリバス共和国クリスマス島の海塩を使用し、砂糖は贅沢にも和三盆との事です。

 

今回頂いたワインペアリングは、非常にエキサイティングでした。

自然派の作り手のみでセレクトされ、日本ワインも交えながら、起伏に富む味覚の変化を楽しませて頂きました。

ワインが持ち、日本酒は弱い酸味を意識し、甘味、苦味、香りをコントロールすれば、鮨にも合わせることが出来ることを再認識しました。

 

「鮨m(エム)」のコースとペアリングの内容

それでは、頂いた内容についてご紹介します。

 

「鮨m(エム)」のコースについては、以下の通りです。

  • 江戸前寿司 ランチコース(11貫、焼きもの、椀) 8,800円
  • 鮨m OMAKASEコース(11貫、酒肴4品、水菓子) 22,000円
  • 鮨m スペシャルコース 33,000円

ペアリングメニュー(計7~8種類)

  • Standard(日本酒+ワイン) 11,000円
  • Sake(日本酒) 8,800円
  • Wine(ワイン) 13,200円
  • Non-alcohol(ノンアル) 8,800円

全て税サ込との事なので、ハイエンドな鮨レストランとしては良心的です。

通常時のペアリングはクラシックなワインが中心なので、趣が変わるようです。

しかし、木村さんのサーブを見て、間違い無いことは分かりました。

「no. 501」側のサーブとはレベルが異なり、プロの技を実感しました。

特に「no. 501」の二番手さんは視野が極端に狭く、かなり厳しかったので…。

木村さんはプロのサービスマンであり、流石名店でトップを任されていた方だと感じました。

 

マリアージュの内容

  • 赤イカ:パンキスタ、ソーヴィニヨンブラン、ブラン・ド・ブラン2017(チェコ)
  • 鯵、甘鯛:no. 501×ドメーヌ・テッタ、みどりちゃん2021(日本)
  • メジマグロ、帆立:アントワーヌ・クーリィ、ガメイ、コカーニュ2018(フランス)
  • 縞海老、サクラマスの西京焼き:ジェントル・フォーク、レインボウ・ジュース(オーストラリア)
  • 鮪赤身、中トロ:アレクサンドル・バン、ソーヴィニヨン ブラン、テール ドーブ2017(フランス)
  • ノドグロ、海胆:アピウア、ヴェルディッキオ、ピスタ・ラスピ2019(イタリア)
  • トロ鉄火手巻き:森田屋、マスカット・ベーリーA、HARA HARA 2021(日本)

ワイングラスは、薄さと軽さに定評のあるリーデルのスーパーレジェーロシリーズです。

鮨mブラン・ド・ブラン2017

【ブラン・ド・ブラン2017】はチェコ・モラヴィアのシャンパーニュ製法で作られたワイン。

酸味がかなり利いていて、攻めた味わい。

 

赤イカ

鮨m赤イカ

厚みがあり、むっちりした食感で、甘い。

酢橘を少し多めに使用している点が良い。

通常であれば柑橘の多様は西日本を除き感心しない事が多いが、ワインペアリングでは奏功している。

酸味がキリリと利いていて、ワインの酸味にぴたりと合う。

そして、お米と飲んでも違和感が無い点が面白く、シャリの味付けが奏功していると感じた。

 

みどりちゃん2021

鮨mみどりちゃん2021

no. 501のオリジナルワインだが、ドメーヌ・テッタが造っているので、間違いない味わいだ。

黒ぶどうとマスカット・ベーリーAなどをブレンドしているそう。

 

鮨m鯵

むっちりと肉厚な鯵で、脂が乗っている。

包丁も良好で、脂をすぐに感じられる。

【みどりちゃん2021】はフルーティーな果実味と凝縮された果実の旨味があり、それでも甘くない。

面白いマリアージュで、印象深い。

 

甘鯛

鮨m甘鯛

昆布〆。

〆による凝縮感は抑え目だが、昆布の香りが乗っている。

グルタミン酸の過度な浸透は無いため、鮃の旨味(イノシン酸)主体で楽しめる。

喉で甘みを感じる点が印象深かった。

喉に甘みがあるため、みどりちゃんがスッキリと喉でマリアージュするのが面白い。

 

コカーニュ2018

コカーニュ2018鮨m

ガメイ100%の赤ワイン。

コカーニュ2018鮨m02

 

メジマグロ

鮨mメジマグロ

湯霜漬けで、粒マスタードを使用。

部位がトロなので脂があり、マスタードが妙に合う。

これはマリアージュの賜物だろう。

また、ワインの鉄っぽいニュアンスが鮪の香りに合い、苦味がメジマグロの脂に覆い被さり味を引き締める。

 

帆立

鮨m帆立

焼いてから軽く潰して握っている。

仕事が面白く、蛤の煮汁で煮た煮帆立だ。

帆立の強い甘みに、蛤の旨味のドライブがかかる。

シャリの酸味が好戦的なコントラストの握りだ。

 

レインボウ・ジュース

鮨mレインボウ・ジュース

オーストラリアの17種類もブレンドした複雑な味のワイン。

 

縞海老

鮨m縞海老

ぷちっと軽く弾けた後に、とろっとろと濃密にとろけゆく。

甘みが強い。

よって、ワインがスパイスのように被さり、ある意味「単調」と言える海老の味覚を拡張する。

 

サクラマスの西京焼き

鮨mサクラマスの西京焼き

肉厚なものを、みっちり、しっとりと焼き上げている。

味の浸透も程よい。

また、ワインとの相性は縞海老以上だ。

味を引き締める。

 

テール ドーブ2017

鮨mテール ドーブ2017

パイナップルを思わせる酸味と甘みと香り、鮪に白とは!

 

鮪赤身

鮨m鮪赤身

千葉勝浦産で、結乃花より。

脂が乗りつつ、赤身らしい酸味があり、香りがグンと広がっていく。

鉄の香りから血の香りに変わるグラデーションのある香りだ。

ワインを同調させるのではなく、加える発想が良いと感じる。

 

鮪中トロ

鮨m鮪中トロ

赤身以上に脂があるが、中トロの酸味とシャリの酸味で軽やかにまとまる。

着地点が良い中トロ。

 

ピスタ・ラスピ2019

鮨mピスタ・ラスピ2019

オレンジワインだが軽い方向性で、こってりしない爽やか路線だ。

 

ノドグロ(アカムツ)

鮨mノドグロ(アカムツ)

今や定番となっている脂肪が多い深海魚だが、橋本親方は香りを巧く用いている。

トロトロの脂に、海苔の香りがギアチェンとなり、炭の燻香がフィニッシュ。

ワインとの相性が抜群で驚いた!

橋本親方は「ノドグロは焼くもの」という思想を持っているようで、これには共感を覚える。

 

海胆

海胆鮨m

宮城県産の紫海胆。

口どけが良く、爽やかな香りがあり、明礬を感じさせない。

 

HARA HARA 2021

鮨mHARA HARA 2021

漬け物っぽいニュアンス、ミネラル感と酸味があり、爽やかなのにしたたか。

 

トロといぶりがっこの手巻き

鮨mトロといぶりがっこの手巻き

いぶりがっこは沢庵以上にトロに合う。

ワインも、単体で飲むとクセが強いけど合わせると美味しい。

 

鮨m椀

ナメコとアオサの赤出汁。

ワインペアリングの後でも、頂くとホッとする良き椀。

 

玉子

鮨m玉子

シフォンケーキのようにふわんふわん。

しかし、水分は飛んでおらずジューシィ。

魚介感もあるので、鮨店らしさも維持している。

 

お茶

鮨mお茶

お茶が美味しい。

マリアージュ(お酒)を重視するお店でお茶が手抜かり無いのは嬉しい限りだ。

 

「鮨m(エム)」の立地と雰囲気

お店は根津美術館の真横にあり、スタイリッシュです。

鮨m外観

ビルの表札と外観には店名が記載されていませんが、ドアには記載されていません。

鮨m入口

打ち放しコンクリートの外観も相まって東京のスノッブな客層からも愛されそうです。

 

店内もまた、スタイリッシュでラグジュアリー。

黒を貴重とした壁にグレーの天井、店内奥の大きな花瓶には優雅な花が飾られており、あたかもモダンなレストランです。

スタイリッシュな空間に木曽ヒノキのL字型カウンターが鎮座していますが、一般的な鮨店のようにカウンターの存在感が出ず、空間に馴染んでいます。

普段からマリアージュを意識しているため奧にはソムリエ用のドリンクカウンターがあります。

 

伺った時のBGMはJAZZで、ハービー・ハンコックの”Watermelon Man”や、リーモーガンの”The Sidewinder”など、ブルーノートの定番が流れていました。

 

「鮨m(エム)」のお店情報と予約方法

WEB予約が可能で、一級経由で可能です。

鮨m(一休のリンク)

今回ご紹介したようなイベントはちょくちょく行っているようで、お店の公式LINEで告知されているそうです。

 

鮨m(食べログのリンク)

店名:鮨m(エム)

シャリの特長:ヨコ井の與兵衛に内堀醸造の美濃三年酢をブレンドし、酸味を巧みにマリアージュに活かすシャリ

予算の目安:ランチ8,800円、ディナー22,000円〜、マリアージュ8,800円〜

TEL:03-6803-8436

住所:東京都港区南青山4-24-8 アットホームスクエア 2F

最寄り駅:表参道駅から600m

営業時間:ランチ(水~日曜・6席限定)12:00、17:00~20:00

定休日:月曜

※完全予約制です

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お酒と真面目に向き合おうと決意する、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

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