鮨とワインペアリングの新境地を開く、期待の新星!奥渋谷「あじゅう田」

あじゅう田外観

こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。

さて、すしログ鮨会で訪れた「すしふくづか」さんで、鮨とワインのペアリングの可能性を知った自分。

すしログ

今まで日本酒一辺倒でしたが、ソムリエさん次第では大いにアリ!と体感しました。

そこで、今回、鮨とワインのペアリングで知名度を上げている渋谷の「あじゅう田」さんを訪問しました。

結果的に満足度が高く、「すしふくづか」さんとは異なる世界観を表現されていて勉強になりました。

8,600字超の大作になりましたので、お楽しみ頂ければ幸いです(笑)

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奥渋谷あじゅう田の魅力とは?

それでは、「あじゅう田」さんの魅力を挙げて行きます。

阿重田親方の独創的な仕事

まずは、阿重田博紀親方の仕事が魅力です。

阿重田親方は記事執筆時点で35歳との事ですが、キャリアが活きている印象。

独創的でありながら、精度が高く、今後が大いに楽しみです。

 

阿重田親方は「料理人は格好良い」とのピュアな憧れを抱き、19歳でフランスに渡り、フランス料理からキャリアをスタートされたとのことです。

その後、カウンターでのライブ感に魅せられて鮨職人に転向したそう。

古い言葉で表現すると「さらしの商売」に魅せられたこととなりますが、確かに漬け場での阿重田親方は接客が巧みで、全てのお客さんへの気配りが細やかです。

 

修行の仕上げは広尾の「鮨 在」(「由う」の系列店)。

2番手として個室の漬け場を任されていたそうなので、技術はお墨付きと言えます。

「由う」のグループ(株式会社真)は接客だけでなく人材育成に力を入れていることを「佐たけ」さんで実感しました。

阿重田親方も独立前に良い経験をされたのだろうと、この度頂いて感じました。

 

仕事に低温調理を用いたり、塩はゲランド(フランス)とマルドン(イギリス)を併用されたりと、少し変則的な試みをされていますが、味に必然性があるので、違和感を感じません

魚は昨今のトレンドに合わせて脂が多い魚や部位を軸に構成されていますが、構成力が高いので、野暮ッたくないのです。

構成に古典的な仕事を踏まえたオマージュを加えると、完成度が更に高まるでしょう。

 

そして、構成力を強めているのは、「鮨×ワインのペアリング」の賜物であるのも間違いありません。

バッチリ奏功する「鮨×ワインのペアリング」

次に、阿重田親方とソムリエの岡地信幸さんのタッグが絶妙です。

従来「鮨×ワインのペアリング」と言えばバブリーなイメージがつきまとうため、自分のような王道派の食べ手は忌避してきたと思います。

僕も最近まで「ワインは本当に生魚や鮨に合うのだろうか…」と懐疑的でした。

しかし、冒頭の通り「すしふくづか」さんでペアリングの意義を実感しました。

 

何が面白いかと言えば、ワインと合わせる事で香りが複雑化し、鮨が変化する点に尽きると思います。

ワイン的な表現を敷衍ふえんするならば、ワインによって鮨が広がる可能性があることを知りました。

日本酒の方が相性が良い魚や仕事も多数あるのは揺るぎない事実です。

また、日本酒でも香りが複雑化するのも事実。

しかし、センスとスキルのあるソムリエとワインに理解を示す鮨職人が出会うことで、新たな鮨の世界が拓かれるのは間違い無いと確信しました。

 

僕はあらゆるお店で能動的にワインを頼むことは今後もあり得ませんし、普通は日本酒を頂きます。

ただ、信頼できる鮨職人とソムリエがいらっしゃるお店では、積極的にチャレンジしていきたいと感じています。

 

「あじゅう田」さんのペアリングは通常コースに【ワイン+日本酒】11,000円、【ワインのみ】16,500円のオプションなので、安くはありません。

しかし、体験価値を大幅に高めてくれるので、お酒が大丈夫な方であればお願いした方がベターです。

実際に、ほぼ全ての方がペアリングを頼まれていました。

僕は【ワイン+日本酒】を頂きましたが、内容的に非常にクオリティが高く、提案が面白く、さらには量も450cc強あるそうなので、満足度は高いと判断します。

 

ソムリエの岡地さんは通常とは異なる提案を模索されています。

一般的に鮨店で用いられがちなシャルドネやピノ・ノワールよりも他の品種を積極的に用います。

アクセント的に日本ワインの赤を入れるところは、すしふくづかの藤森さんと同じで「おお!」と思いました。

 

岡地さんの経歴は不明ですが、立ち居振る舞いはオーセンティックバーのBarマンのようです。

ジェントルであり、ユーモアも持ち合わせた接客。

適度な距離感と緊張感がありつつお客を楽しまるサービスには、高級店のサービスマンたる矜持きょうじすら感じました。

「鮨バブル量産型」の高級店はベタベタな接客のお店が散見されますが、そのような接客では本質的な癒しは得られません。

ちなみに、最近、和食でもサービス料を取るお店が徐々に増えています。

ただ、サービスの何たるかを知らないお店も多々あり残念です。

飲食店のサービスとは、接客技術だけでなく空間の演出技術も必要であり、さらに確かな食の知識や文化的な教養が必須。

岡地さんに接客頂き、そのように再認識しました。

 

頂いたお酒のリスト

  • RUINART BLANC DE BLANC(シャンパーニュ、シャルドネ)
  • 七本鎗 無農薬生もと純米 無有むう 冨田酒造2019(玉栄、無農薬米)
  • Condrieu E.Guigal 2013(ヴィオニエ)
  • 而今 純米大吟醸 NABARI 木屋正酒造 2020(山田錦)
  • Côtes du Jura Savagnin 2013(サヴァニャン)
  • 益荒男 山廃純米 鹿野酒造(五百万石)
  • Savennieres Les Vieux Clos 2018(シュナン・ブラン)
  • Martin Schaetzel Grand Cru Kaefferkopf(リースリング)
  • Au Bon Climat Hildegard 2017(ピノ・ブラン、ピノ・グリ、アリゴテ)
  • Funky Château La Première Fois Cabernet Franc(カベルネ・フラン)
  • Chateau Croizet Bages 2012(カベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、カベルネ・フラン)
  • Marc Bredif Vouvray Rich 2010(シュナン・ブラン)
  • Chateau Suduiraut Sauternes 2008(セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン)

凄いラインナップですね(笑)

少し前までの僕と同じように偏見がある方は、是非ともチャレンジしてみてください。

独自性がある「あじゅう田」のシャリ

最後に挙げさせて頂く「あじゅう田」さんの魅力は、鮨の生命線であるシャリです。

「あじゅう田」さんのシャリは、一貫目から美味しく、個性を感じました。

塩気を利かせ、キレのある酸味ながら、独特のコクを感じる味の配合。

「シャープなのに旨い」そんなシャリです。

これについては、シャリに用いる塩がゲランドだと聞いて納得しました。

 

ゲランドはフランスの塩なので、軟派だと思う人もいるかもしれませんが、実は生の魚との相性が良い塩です。

「あじゅう田」さんのようにモダンなお店ならずとも、神奈川の名店「おとわ」さんでも鯖を〆る際に使われています。

 

さらに、お酢にヨコ井の與兵衛よへえを使用していないことも独特の味に貢献しています。

実は、開店前は與兵衛を使いたかったそうなのですが、在庫が僅少ゆえに取引できなかったとのこと。

赤酢人気は留まることを知らず、赤酢=與兵衛のイメージが強すぎることが原因ですね。

 

しかし、怪我の功名と言うべきか、それが逆に良かったと個人的には感じます。

阿重田親方は江戸丹念酢と珠玉をブレンドし、自分の仕事に合うシャリを切られていて、ワインともマリアージュする独自のシャリに仕上げています。

 

お米の炊き加減は標準的で、モダンな鮨としては「柔らかめ」だと感じる人もいるかもしれません。

しかし、軽やかにほどけて、お米の甘みも感じます。

もっちり感と嫌味にならない粘度があります。

その理由はお米の品種で、「幻の米」と呼ばれる岐阜県産ハツシモに加えて、なんとミルキークイーンをブレンドされているそう!

これには心から驚きました。

 

ミルキークイーンは鮨店ではあまり使わないコシヒカリよりも軟らかく、さらに粘りが強い品種。

強い甘みとモッチリ感、そして冷めても美味しいと言う特徴を持ちますが、つまり鮨のシャリには向いていない要素を持ちます。

これを巧みにブレンドしている点に、阿重田親方のセンスを感じた次第です。

かなり冒険的な試みです。

 

僕は「シャリは鮨の生命線であり魂」と考えているので、シャリの観点より「じつが伴ったお店である」と感じました。

あとは、仕入れに自身の経験と眼力を加えていけば、さらに面白くなると思います。

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「あじゅう田」のおまかせコースの詳細

「あじゅう田」さんのおまかせは27,500円で、酒肴と握りで15~20品になります。

そして、ドリンクペアリングのメニューは以下の通りです。

  • ティーペアリング 5,500円
  • ワイン+日本酒ペアリング 11,000円
  • ワインのみペアリング 16,500円

2021年7月に訪問した際の記事

ある盛夏に訪れた際の記録です。

 

ガリ

あじゅう田ガリ

比較的強めの甘みがあるが、辛味もあり、酸味が後味を引き締める。

見た目はぎゅっとしているけれど、食感も強いガリ。

少量で満足出来る味だ。

 

RUINART BLANC DE BLANC(シャンパーニュ、シャルドネ)

あじゅう田RUINART BLANC DE BLANC

ペアリングの期待をググっと高めてくれる味わい!

 

青森産岩もずくの椀

あじゅう田青森産岩もずくの椀

夏でも温かいものからスタートなのは嬉しい。

酷暑の外からクーラーが効いた店内に入った直後は温かいものの方が配慮を感じる。

出汁はノドグロ(アカムツ)の出汁との事だが、重たくはない。

梅か柑橘由来のほのかな酸味のある吸い地が、温かくとも爽やかだ。

 

穴子

あじゅう田穴子の白焼

「名刺代わりの一貫目」が穴子の白焼きとは見事!

意外性があり、旬モノをストレートに楽しませる試み。

食感はむっちりしていて、穴子の香りも楽しませる。

硬派な方向性で、スタイリッシュなスタートだと感じた。

 

七本鎗 無農薬生もと純米 無有むう 冨田酒造2019(玉栄、無農薬米)

あじゅう田七本鎗 無農薬生もと純米 無有むう 冨田酒造2019

お酒は七本鎗の生もとの2年熟成。

軽く鄙びたニュアンスだが、キリリと冷やされた温度帯が軽やかに楽しませる。

予想外に渋いチョイスで驚いたが、阿重田親方も さんも滋賀県木之本の冨田酒造にお伺いされたそうだ。

この点においても、ただのペアリングではなく、熱量が込められたペアリングであることが分かるだろう。

 

ボタンエビ、白エビ、海胆

あじゅう田ボタンエビ

ボタンエビは軽く炙ってタタキにして、昆布〆の白エビ、

ボタンエビはむっちりと反発を示した後にトロトロととろけ、昆布〆の白エビと一体化する。

炙りの香ばしさが加わっているところ、異なる3つの甘みと香りが絡み合うところが良い。

なお、「塩はどちらのですか?」と聞いたところ、「どちらだと思いますか?」と聞き返されたので、形状と味わいからマルドンと推察。

正解であった。

イベントに足を運び、水、塩、米などのブラインドを行ってきて良かった(笑)

 

Condrieu E.Guigal 2013(ヴィオニエ)

あじゅう田Condrieu E.Guigal 2013

イタリアンのアンティパストである「海老と桃」に合わせるイメージで、ヴィオニエを選択されたとのこと。

樽で長期熟成されているワインだが、御料理と合わせる事でピンクペッパーのような華やかな香りが生み出され、ワインは香りが複雑なので合わせる可能性があると実感した。

 

アメーラトマト、じゅんさい

あじゅう田アメーラトマト

秋田産と思われるじゅんさい(ブラインドは他のお客様に失礼と思い質問を自重した)は、やや食感が弱く、枝豆ももう少し固ゆでの方が粋であるが、見た目に美しく、味わいに爽快感があり、前半の口直しとして魅力的だと感じた。

 

而今 純米大吟醸 NABARI 木屋正酒造 2020(山田錦)

あじゅう田而今 純米大吟醸 NABARI 木屋正酒造 2020

超プレミアムな而今が登場!

あじゅう田而今

 

白甘鯛

あじゅう田白甘鯛

豊後水道の4キロほどのシラカワ。

むっちりで旨味が強い。

力強い脂と旨味が印象的だが、上品な後味である。

この上品な印象は脱水によって実現されている。

親方は白身魚の脱水を塩で行わないポリシーを持っているそうで、冷蔵庫で脱水シートを用いて行っている。

マルドンの塩も合っている。

食後に塩部分の旨味が舌に残り、旨味のコントラストでシラカワの印象を強めてくれる。

 

あじゅう田蛤

前半で煮蛤!

親方はコースの途中に甘いものを入れたくなるそうだ。

見た目は生っぽいが、決して生々しくなく、これは良い低温調理だ。

くにゅっ、しゃくっ、とろりと変化する食感が面白い。

さらに、貝の香りがフルーティーに感じる。

僕も魚介類の低温調理を行うので分かるが、これは技術が奏功している。

聞けば、40℃40分であった。

 

あじゅう田鯖

銚子産の胡麻鯖。

しっとりとジューシィな〆加減に、極薄で軽い甘みの白板昆布が絶妙なバランス。

浅葱と生姜を合わせた調味料を噛ませている。

 

そして、サバに合わせるお酒は…

あじゅう田Côtes du Jura Savagnin 2013

Côtes du Jura Savagnin 2013(サヴァニャン)

サバニャン。

フランス版シェリーのような味わいのお酒で、香りの相性が良く、ワインの酸味が〆鯖の酸味を追いかけて、最後しっとりと引き締める。

ワインとのマリアージュが最も難しいのが日本の光物であり〆物であると思うので、これは大変魅力的であった。

 

鮟肝

あじゅう田鮟肝

みじん切りのいぶりがっこで薫香を加えている。

奈良漬けでない点と細かく叩いている点に阿重田親方の美意識を感じる

※鮟肝+奈良漬けは鉄板の組み合わせで抜群に美味しいが、すし匠の中澤親方が生み出して以来、多用され過ぎてすし匠系列以外のお店で出すと少しダサい状況になっている。酒肴を出すならば紋切型ではなく自身の哲学で作って頂きたいものである

 

益荒男 山廃純米 鹿野酒造(五百万石)

あじゅう田益荒男 山廃純米 鹿野酒造

日本酒、益荒男と合わせると薫香と鰹節的な印象が強まり、面白い。

あじゅう田あん肝と益荒男

特に香りを増幅させるのがマリアージュの魅力であると、ワインのみならず日本酒でも実感する。

 

鮪カマトロの漬け焼き

あじゅう田鮪カマトロの漬け焼き

脂が強い部位だが、漬けによって程良く脂を楽しめる。

とは言え、たっぷりの山葵を超える濃厚な味だ。

 

アラのしゃぶしゃぶ

あじゅう田アラのしゃぶしゃぶ

佐渡産、7キロのアラ(九州名のアラ=標準和名クエではない)。

むっちりとした、アラらしい歯ごたえを楽しませつつ、ほろりとほどける良い火入れ。

強い出汁のポン酢に柚子胡椒を利かせてスッキリと。

 

ノドグロ

あじゅう田ノドグロ

最近よく聞くアカムツのブランドである、紅瞳ベニヒトミ

これは冷蔵庫で風を当てつつ、皮を縮まらないようにして脱水しているそうだ。

脱水させてもトロトロととろけるのはノドグロならでは。

得てして脂に印象で終わる可能性があるタネであるが、脱水方法が奏功しており、安易ではない。

 

小鰭

あじゅう田小鰭

ジューシィな方向性の小鰭で、浅めの〆だが、旨味を凝縮させている。

臭みは無い。

15分13分ながら、なまくらではない。

…ただ、狙ってかどうか分からないが、骨が結構残っている点が好みを分けそうだ。

個人的には、溶かすほど寝かさないならば、除去した方が得策だと考える。

小鰭は「鮨は小鰭にとどめを刺す」と断言できる程に重要なタネ。

鮨職人の技量を最も表すメルクマールなので、他のタネ以上に精進頂けると幸いである。

 

Savennieres Les Vieux Clos 2018(シュナン・ブラン)

あじゅう田Savennieres Les Vieux Clos 2018

これをノドグロと小鰭の両方に合わせるのが面白い。

方向性が完全に異なる2種類の魚に。

特に小鰭との相性が良く、香りと幽玄な後味を楽しませてくれた。

 

赤海胆

あじゅう田赤海胆

東沢水産のスペシャルとイチカワ北海食品の赤利尻ピンク三特、天草産の3種類の中から選べた。

あじゅう田海胆

僕は、食べたことが無く一番地味な天草産を選択。

あじゅう田赤海胆のパック

道の駅で売られていそうなパックが、逆に魅力的ではないか?

味わいとしては、殊のほか甘みが強く口溶けが良い。

香りは鋭いキレがあって西日本の海胆らしく、後味は良い意味での苦味が軽くジリジリと感じられる。

なお、東沢とイチカワは軍艦で提供されていた。

 

Martin Schaetzel Grand Cru Kaefferkopf(リースリング)

あじゅう田Martin Schaetzel Grand Cru Kaefferkopf

海胆にはアルザスの個性的なワインを。

 

太刀魚

あじゅう田太刀魚

産地は江戸前。

調理法がユニークで、鮎の肝醤油を掛けながら焼いているそうだ。

よって、太刀魚のホロホロでジューシィな身に、香りと苦味を加えている。

ペアリングは台湾烏龍茶にオレンジピールをブレンドしたもの。

こちらを頂き、ティーペアリングも面白い筈だと感じた。

 

そして、対鮪用のワインが登場。

あじゅう田鮪用のワイン

Au Bon Climat Hildegard 2017(ピノ・ブラン、ピノ・グリ、アリゴテ)

Funky Château La Première Fois Cabernet Franc(カベルネ・フラン)

Chateau Croizet Bages 2012(カベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、カベルネ・フラン)

あじゅう田鮪用のワイン02

右から大トロ、赤身、中トロに合わせる。

Au Bon Climat Hildegardは、なんて個性的なセパージュ!

あじゅう田鮪

鮪の魚体は鳥取県境港のまき網133.2kg。

乱獲ゆえに苦手意識のある産地×漁法では、ある。

 

鮪大トロ

あじゅう田鮪大トロ

みっちりとした身質で、脂は強く濃厚な味わい。

煮キリの味が変わったので伺ったところ、薄口と濃口の2種類を用意されているそうだ。

大トロには濃口の方を合わせている。

ノドグロには薄口とのこと。

 

鮪赤身

あじゅう田鮪赤身

みしみしとした食感で、鮪自体は夏鮪なのに酸味、香りともに弱いが、ワインによって救われていた。

 

鮪中トロ

あじゅう田鮪中トロ

脂、香りともに割とある中トロで、シャリ温を高めて合わせている。

同価格帯のお店と比べると鮪は少し弱い(が、ちょうど河岸に鮪が少ないタイミングだったので、仕方ないのかもしれない)。

 

茶碗蒸し

あじゅう田茶碗蒸し

桜エビは素揚げにして、香りを立てている。

塩気が穏やかな点が良い。

 

穴子

あじゅう田穴子

ウエケンSP穴子。

トロトロなだけでなく皮のむっちり感を味わわせる煮加減なので、脂がノリノリだが重たくない。

冒頭の白焼きとのコントラストがあり、魅力的な仕事だ。

 

Marc Bredif Vouvray Rich 2010(シュナン・ブラン)

あじゅう田Marc Bredif Vouvray Rich 2010

穴子に対して、フルーティーさ、軽い渋み、酸味を合わせる。

単体だと甘口であるが、穴子と頂くと印象が強まる。

 

干瓢巻き 追加

あじゅう田干瓢巻

硬すぎず、それでいてじゃくっとした食感を残し、甘みは弱く、醤油を利かせたキリッとした干瓢。

煮キリを塗っているので、シャリの塩気と合わさり、コースの流れに合っている味付けだ。

なお、コースに巻物が無い場合、あるいは干瓢以外の巻物である場合、干瓢を追加しない人は多いだろう。

しかし、これは大変もったいない!

干瓢とは、手がかかり、鮨職人の思想が表れやすい巻物なのだ。

食感や味付けにより、お店ごとに千差万別。

大衆的なお店の干瓢とは全く別。

その理由は調理と調味もあるけれど、シャリの違いが大きい。

「シャリが美味しい!」と思ったお店ほど、干瓢を頼むことをオススメする。

きっと干瓢の異なる魅力を知るきっかけになるだろう。

 

Chateau Suduiraut Sauternes 2008(セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン)貴腐ワイン

あじゅう田Chateau Suduiraut Sauternes 2008

非常に上質な貴腐ワインが登場し、物語が終わることを予感する。

 

玉子

あじゅう田玉子

プリン的な玉子だが、海老の香りが強いため、「鮨店の玉子」の範疇に収めている。

そして、アガベシロップと塩を振りかけている。

あじゅう田玉子02

最後までマリアージュの面白さを感じさせてくれた。

 

あじゅう田椀

甲殻類の旨味を感じる味噌汁。

「あじゅう田」の立地と雰囲気

お店はいわゆる「奥渋谷」エリアにあります。

この界隈は急速に鮨店が増えていますね。

上質な江戸前鮨のイメージが弱かった渋谷が変わりつつあります。

 

お店は瀟洒なビルの地下にあります。

店内は、渋谷の道路沿いにある地階のお店とは思えない上質な空間です。

黒を基調としていて、漬け台も黒御影石で重厚です。

カウンターとまな板が、空間にまばゆく輝いています。

カウンターは8席で、他に個室が4席あります。

「あじゅう田」のお店情報と予約方法

WEB予約は食べログ、一休の両方で可能です。

あじゅう田(食べログのリンク)

あじゅう田(一休のリンク)

 

店名:あじゅう田(あじゅうた)

シャリの特徴:塩気を利かせ、キレのある酸味ながら、独特のコクを感じるシャリ

予算の目安:おまかせ27,500円、、ティーペアリング5,500円、ワイン+日本酒ペアリング11,000円、ワインのみペアリング16,500円

最寄駅:渋谷駅から750m、神泉駅から750m

TEL:03-6804-7095

住所:東京都渋谷区宇田川町37-15 ARISTO渋谷 B1F

営業時間:[一部] 17:30~20:00、[二部] 20:30~23:00

定休日:日曜、平日は場合によって不定休

 

【関連する記事】

文中で何度か言及した、神楽坂の鬼才「すしふくづか」

 

実は現在、鮨の歴史で非常に重要な地殻変動が起きているのではないか?と感じる、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

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