すしログ:焼鳥と日本料理を組み合わせる新しいスタイルの鶏懐石!銀座・月や

こんにちは、焼鳥大好き鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

ここ数年における、焼鳥は進歩のスピードには目をみはるものがあります。

コースで提供するお店が市民権を得たのは、2000年代後半ころでしょうか。

さらに、2010年代に名店出身の職人さんが独立し、2020年以降、更に加熱している状況だと踏んでいます。  

 

少し前までは焼き鳥と言えば、「ファストフード」や「ちょっとジャンキーなお酒のための料理(=大衆的な料理)」と言ったイメージがありましたが、現在は「職人技を楽しむ料理」としての焼鳥も定着しています。

すしログ

僕は大衆的な焼鳥も好きですが、焼鳥の進歩に従い、さらに焼鳥が好きになりました。

明らかに、「食材の魅力を引き上げる料理」としての領域に突入しているので!

「鶏肉に串を刺して、焼いて、味が濃いタレで食べる料理」ではなく、鶏の銘柄ごと・部位ごとの特性を知る職人がその個性を引き立てるために串打ち、火入れ、味付けの方法を試行錯誤する時代に入ったのは間違いありません。  

月やせせり

今回ご紹介する銀座の「月や」さんは、焼鳥と日本料理を組み合わせたコースがウリの高級店です。

結構大きな資本系のお店ですが、提供する料理には個人技が光ります。

板長の加藤丈法さんのキャリアが活かされている新たなスタイルなので、鶏好きならば訪問する価値がある一軒だと思います。

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本題の前に現在の焼鳥の状況を整理

まずは、「月や」さんの面白さをより知って頂くために、焼鳥を取り巻く変遷を簡単にまとめたいと思います。

ただ、僕は鮨通ではありますが、焼鳥通レベルではないと自認しています。

肌感覚と勉強に基づく断片的な知識なので、焼鳥ヒストリーに精通している方は躊躇なく突っ込んでください!

(なお、言及店舗数が多いので、店舗への敬称は省略させて頂くことをご了承ください)  

 

まず、現在の焼鳥を価格帯別に考えると、下記のように分類されるのではないでしょうか?

  1. 街場の焼鳥(1本~150円ほど、客単価2,000円)
  2. チェーン系焼鳥(1本~150円ほど、客単価3,000円)
  3. 街場の良い焼鳥(1本200円~、客単価5,000円)
  4. 高級焼鳥(コース仕立て、客単価8,000円~15,000円)
  5. 最高級焼鳥(コース仕立て、客単価15,000円~)

4と5が最近増えている業態です。

ただ価格が上がるのではなく、表現方法が広がっている点が興味深い。

 

ちなみに、焼鳥チェーンと言えば、以下のグループが有名ですね。

  • やきとり大吉(店舗数:約640店、1本150円ほど)
  • 鳥貴族(店舗数:約615店、1本140円ほど)
  • 秋吉(店舗数:約108店、1本80円ほど)

 

そして、現在「誰もが知る焼鳥店」をまとめると、以下の通りです。

  • バードランド:創業1987年(2001年に銀座に移転)
  • 鳥よし:創業1995年
  • 鳥しき:創業2007年1月
  • 蒼天:創業2009年6月

「街場の良い焼鳥」から「高級焼鳥」へとブレイクスルーさせたお店は、鳥しきなのではないかと思います。

オーナーの池川義輝さんは中目黒の鳥よし(現在6店舗展開)で感動を覚え、7年の修行の後に鳥しきをオープンされました。

 

そして、御存知の通り、ご出身のお弟子さんは多く、一門を形成しつつあります。

これは蒼天も同様ですね(さらに、弟子の鳥恵から孫弟子も大勢出ている状況)。

焼鳥の技を広げ、値段(価値)を上げ、「高級焼鳥」ブームを生み出した立役者こそが、上記のお店のように感じます。  

 

これは自身の食べ歩きに加えて、下記の3冊の情報から推察しました。

  1. やきとり 11店の技術と串バリエーション(柴田書店・2008.08)
  2. やきとり本(エイ出版社・2011.01)
  3. やきとり大全(ナツメ社・2016.04)

これらは自身が焼鳥を好きになったバイブル的な書籍です。

柴田書店の『やきとり』でモダン焼鳥店の技術の奥深さを知り、『やきとり本』で食べ歩きました。

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レビューを書く前の話なので、記事にしていないお店が多々ありますが…

 

柴田書店の『やきとり』とナツメ社の『やきとり大全』は必携の書籍。

焼鳥の生命線である、串打ちと火入れについて分かるので、焼鳥好きならば必読です!

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それでは、焼鳥を取り巻く変遷をお伝えしたところで、本題の「月や」さんについて、ご紹介します。

 

銀座「月や」の親方・加藤丈法さんとその魅力について

「月や」さんは銀座で新しい業態を試みる高級店なので、WEB上の料理写真を見るとバブリーな印象を受けます。

すしログ

例えば、金箔を多用しているところには戦慄を覚えました(笑)

いつの時代だよ!と。

ただ、頂いた感想としては、ベースの仕事がしっかりしているので、嫌味に感じませんでした(バブリーな装飾を無視できます)。

個人的には、勿体無いのでバブリーな方向性は止めた方が良いと思います…  

 

加藤さんは、なだ万、パークホテル東京 花山椒、リッツ・カールトン東京などで修行された経歴を持ち、名店・京味の料理人さんとの繋がりも深いようです。

グループ自体は巨大なので調理技術は人によりけりだと思われますが、少なくとも加藤さんは基礎が徹底されている日本料理人なので、モダンなアレンジを行っても嫌味にならないのだと感じました。

すしログ

焼鳥の技については、お店のオープンに合わせて独学で学ばれたと言うので驚きました。

日本料理人が独学で焼鳥を学ばれたからこそ、独自性のある串打ちも見られるのだと納得しました。

銀座「月や」の魅力

銀座「月や」さんの魅力を簡単に挙げると、以下の通りです。

  • 焼鳥とモダンな日本料理の融合
  • あくまでも焼鳥をメインに据える
  • 多種の塩を使い分ける
  • 塩以外の調味料にも配慮

僕は焼鳥茜さんのような鶏を徹底的に主題にしてコースを構成するお店も大好きです。

しかし、今後の鳥料理の可能性として、日本料理との融合は一つの主題になると感じています。

 

「月や」さんで使用している鶏は福島県の銘柄鶏、伊達鶏です。

月や伊達鶏

伊達鶏の出荷日齢は平均75日です。

飼育方法は平飼い、飼料は穀物主体の無薬専用飼料と、銘柄鶏としてバッチリ管理されています。

実際に丸鶏を見せて頂き、良い鶏だな…と感じました。

月やさんでは、特に上質なものを仕入れているようです。  

 

結論として、全般的に想像以上に満足させて頂きました。

今後の進歩と業界への影響が楽しみになります。

 

…ただ、課題も2点感じました。

 

1つは、「鶏懐石」として見ると後半の構成が弱い点です。

例えば海胆が出てくるのですが、流石に焼鳥店では海胆は求めないのではないでしょうか?

海胆は日本料理店でもなく、鮨店か産地の海胆丼のお店で食べるのが正解なので。

海胆を出すならば、鶏串をプラス2品頂いた方が、コースの印象が強まります。

そして、【合鴨すき焼き】や【苫小牧毛蟹釜炊きご飯】も美味しいのですが、【鶏すき】や【鶏の炊き込みご飯】で良いのでは?と感じました。

あるいはご飯モノについては、土鍋で炊きたての白米で頂く鶏の照り焼きなども魅力的です。

このあたりは好みにもよるので、僕が断定することは避けますが、後半の「鶏要素」を増やした方がベターなのは間違い無いかと思います。

 

そして、もう1つの改善点はペアリングです。

日本酒のペアリングを頂いたのですが、品数が多いコースにも関わらず日本酒は4種でした。

これは「ペアリング」ではありません(笑)

「ペアリング」を謳うならば、6~8種用いて料理に対して必然性のあるマリアージュを行って頂きたい。

日本酒の銘柄にしても、もう少しマニア路線で揃えられると良いかと感じました。

 

まあ、これらの改善点は調整すれば簡単に直ることなので、本質の部分では魅力的であると最後に特記します。

親方の調味料使いや食材の選び方は、必ずしも全ての日本料理人がされていることではなく、親方らしさが出ているので、これからも上質な食材にこだわって追求し続けて頂きたいと感じました。

 

それでは、コースの詳細について、ご紹介します。

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銀座「月や」のコースの詳細

この度頂いたものは日本酒ペアリング付きのコースで15,750円です。

実は当初はティーペアリング付きのコース12,000円だったのですが、大して差額がないのでアルコールにしました。

そして、ペアリングは日本酒コースとワインコースが同額とのこと。

なので、出されるワインについて伺ったところ、シャンパーニュ、ニュージーランド、チリとのことでしたので、日本酒を選択しました。  

 

ただ、記事執筆時点で確認したところ、おまかせコースは3種類になっていました。

それぞれ、12,000円、16,000円、20,000円です。

コース内容は試行錯誤のうえ変更されているようです。  

 

この度頂いた日本酒

  • 新澤醸造店・飛龍・純米大吟醸
  • 山城屋・First-Class 純米大吟醸
  • 八百新酒造・雁木・純米無濾過生原酒
  • 西田酒造店・田酒・特別純米酒

月や飛龍

「飛龍」の文字と焼き台の富士山が絶妙な一体感(笑)  

 

頂いたコースの内容

  • 伊達鶏鼈白湯
  • 純白白胡麻茶巾豆腐
  • 伊達鶏のメスもも肉(串)
  • 香の物
  • 丸はつ(串)
  • 口直しの大根おろし
  • せせり(串)
  • ちょうちん(串)
  • 菊花蕪
  • 伊達鶏のメス手羽先(串)
  • 唐墨大根
  • 伊達鶏の白レバー
  • シャラン鴨のロースト
  • 加藤の生海胆
  • 伊達鶏のメスのつくね(串)
  • 新銀杏、むかご(串)
  • 伊達鶏のメスのふりそで(串)
  • 合鴨すき焼き
  • 苫小牧毛蟹釜炊きご飯、はらこ醤油漬け
  • 鰊蕎麦の鶏鰹出汁
  • 留椀代わりの蕎麦の鶏汁
  • わらび餅
  • 季節の水菓子

伊達鶏鼈白湯

月や伊達鶏鼈白湯

生姜がほのかに香る。

中々期待が高まるスッポンのスープ。  

 

純白白胡麻茶巾豆腐

月や純白白胡麻茶巾豆腐

タピオカ粉で固めた胡麻豆腐なので、もっちり感が強い。

しかし、もちもちしすぎず、とろりとした食感もあるところが良い。

重陽の節句なので菊花をあしらっている点が好印象だが、キャヴィアと金箔を添えているのは流石にバブリーで下品なのではないか?

餡は吉野葛で葛打ちされていて、塩気が利いている。  

 

香の物

月や香の物

糠漬けで、きっちり作っているようで嬉しい。  

 

伊達鶏のもも肉(メス)

月や伊達鶏メスもも肉

使用する塩は、田野屋塩二郎。

絞められてから3日寝かせて使用しているそう。

身質はしっとりホロホロにほどけ、ジューシーさも印象的。  

 

口直しの大根おろし

月や口直しの大根おろし

お代わり自由の口直し。

 

丸はつ

月や丸はつ

使用する塩はマルドンシーソルトで、生黒胡椒を添えて。

ぷりっぷりでジューシーな焼き加減。

ハツらしい香りはふわりと漂い、上品ながらに血の野趣を楽しませる。

 

せせり

月やせせり

使用する塩はワイルドグレープソルトで、添えているのはキャビアライム。

面白い串打ちだ。

串打ちによってカリッとした食感と、ぷりっとした食感の二つを効果的に楽しめ、じゅわりと肉汁と脂が溢れ、魅力的なせせり。  

 

ちょうちん

月やちょうちん

金柑(未成熟卵)にレバーと卵管を組み合わせた串。

レバーのペーストぽい食感と卵管のプリプリした食感のコントラストが良い。

金柑のとろとろ感は裏切らない美味しさ。

上品なコースのお店ながら、タレの串を序盤で配置するのが面白いと感じた。

高級焼鳥店は塩一辺倒だが、タレの焼鳥には誰もが抗えない魅力があるのは事実でなかろうか?

郷愁を誘うタレがかすかに焦げた香りこそが焼鳥の香りだと思う次第。

むろん淡白な部位にタレを合わせたり、  濃厚なタレを前半で連発するのは論外であるが、コース内のアクセントとしてタレ串を配置するストーリーテリングは嫌いではない。

レバーの火入れがレア寄りだとさらに魅力がアップするだろう。

 

菊花蕪

月や菊花蕪

干し貝の餡掛けで、針柚子をあしらっている。

干し貝柱の旨味が想像以上に出ていて、さらに鰹節の香りがキリッと引き締める。

餡の甘みはやや強め。

個人的にはもう少し端正な味わいだと嬉しい。

蕪の中に入っているつくねは細かく叩いている。

細かさが大衆感を覚えるため、細かいものと粗いものを2種類合わせるとメリハリが付くだろう。

 

伊達鶏の手羽先(メス)

月や手羽先

焼鳥の修行がある職人さんならば手羽先は終盤に出すことが多いだろう。

中盤に出される点が、個性的だ。

肉の骨離れは良く、原了郭の黒七味が香ばしさを添える。

 

唐墨大根

月や唐墨大根

自家製の唐墨大根で、なんと食べ放題とのこと!

僕は尿酸値が9を超えているのでおかわりしなかったが…

 

伊達鶏の白レバー、シャランの鴨ロースト、九条葱

月や白レバーシャラン鴨ロースト

白レバーには紀奥山椒、シャラン鴨には黒胡椒を合わせている。

調味料の使い分けは実に魅力的だ。

シャラン鴨がジューシィできっちりローストになっている。

 

加藤の生海胆

加藤の生海胆

濃密な味わいの海胆をたっぷり、手巻きで頂く。  

加藤の生海胆02

海胆は高額な食材なので、原価は鶏に回して頂きたい!

 

伊達鶏のつくね(メス)

月や伊達鶏雌つくね

胸肉とやげん軟骨を使用したつくね。

タレが粘度高めで、どことなく懐かしい。  

一味唐辛子に西家のものを使用するなど、終始魅力的な調味料使いだ。

 

伊達鶏のふりそで(メス)

月や伊達鶏ふりそで

使用する塩は舳倉島の塩。

むっちりした肉質だが、しっとり感があり、ジューシィに肉汁があふれる。

ふりそでは手羽先と胸肉の境目あたりの肉で「レア部位」に当たる。

胸肉に似た味の特徴を持つが瑞々しさや旨味は胸肉よりも強い。

 

合鴨すき焼き

月や合鴨すき焼き01

合鴨に松茸を合わせていて、ゴージャス。

月や合鴨すき焼き02

他の食材も魅力的で、玉葱は淡路産、春菊、長葱、八ヶ岳産の卵黄を合わせる。

松茸は外国産と思われるが香りは良く、卵黄も超濃厚で印象深い味わい。

…ただ、前述の通り鶏肉でも良いのかなと思ったり。

 

苫小牧毛蟹釜炊きご飯

月や苫小牧毛蟹釜炊きご飯

使用するお米も抜かりなく、新潟県魚沼産のコシヒカリで特別栽培米【雪椿】を使用。

さらに、水も同じ産地の同じブランドを使用していて、この配慮は素晴らしい。

月や新潟県魚沼産コシヒカリ特別栽培米【雪椿】

はらこ醤油漬けを掛けて頂く。

月や苫小牧毛蟹釜炊きご飯02

お米の炊き加減や味付けなどはバッチリで、完成度の高いご飯だと感じた。

ただ、具材は鶏に徹しても良いのでは??と思った次第である。

お客の方で選べるシステムでも良いかもしれない。

 

留椀代わりの蕎麦の鶏汁

月や留椀代わりの蕎麦の鶏汁

これについては蛇足に感じた。

普通に留椀で綺麗にまとめた方が日本料理らしい食後感だろう。

 

わらび餅

月やわらび餅

なんと黒川本家の本わらび粉を使用し、作りたてで提供する。

これは京味っぽくて素敵な試みだ。

黒蜜も沖縄産の黒糖を使用していて香りが良い。

わらび餅はとろ〜り柔らかく、間違いなく美味しい。 

 

季節の水菓子

月や季節の水菓子

シャインマスカット。

金箔は…(苦笑)

 

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銀座「月や」の立地と雰囲気

お店は銀座の中心地のビルに入っています。

小体なビルで上品な印象を受けます。

EVで上がったらすぐにお店で、高級感が漂っています。

月や飛龍

前掲のこの写真の通り、ちょっと派手な意匠ですが、カウンター席は広く、リラックスできます。

デート客を多分に意識した内装です。

 

サービスの技術が高いスタッフの方が多く、その点は資本系の強みだと実感。

しかし、親方の前職からの付き合いの方もいらっしゃるためか、資本系と言ってもマニュアルっぽさが無いところは魅力です。

 

銀座「月や」のお店情報と予約方法

お店は各種WEB予約システムに対応されていて、予約しやすいです。

月や(ヒトサラのリンク)

月や(食べログのリンク)

 

店名:焼鳥 月や(やきとり つきや)

予算の目安:コース12,000円~

TEL:03-6264-5248

住所:東京都中央区銀座7-4-5 銀座745ビル10F

最寄駅:銀座駅から350m

営業時間:17:00~22:00(L.O21:30)

定休日:日曜

 

焼鳥の進歩から目が離せない、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)でした。

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