すしログ No. 8 弁天山美家古寿司@浅草

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こちらは190年前に編み出された「與兵衛寿司」の姿をうかがい知れる、「鮨の古典」とも言える老舗です。

全てのタネに仕事を施し、軍艦は出さない。

頑ななまでの老舗のポリシーです。

 

北寄貝を甘めに軽く煮たり、中トロを漬けにするなど、なかなか面白いです。

伝統的な仕事を施された握りは、今や珍しい程に実直で、鮮烈な個性があります。

正に温故知新。

「若手の人気店を巡るよりも勉強になる」と言われる所以を、身をもって実感しました。

鮨店にある程度巡った後に伺うと、斬新さを感じることが出来ます。

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シャリは程よい硬さで、塩と酢は控え目。

口の中で優しく、甘くほどけてゆく。

お江戸を感じる大ぶりのフォルムながらに、ネタを活かす味わいです。

中でも、光り物や貝類との相性が抜群でした。

弁天山美家古寿司の握り

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頂いた中で特筆すべきは穴子。

旬を外していながらに旨味を引き出し、仕事で補う江戸前の技に感服しました。

こちらは「爽煮」と呼ばれる仕事を施しており、極めて白く仕上げている。

そして、ツメは穴子以外に烏賊も煮出しているようで、濃厚で深い味わい。

手間を惜しんで穴子だけで仕上げるお店が多いので、今や貴重です。

焼き加減は香ばしく、それでいて穴子の旨味を削っておらず、完成度の高い一貫でした。

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ほんのり漂う昆布と柔らかく寝かされた身が旨い。

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赤貝

じゅわっと広がるきめ細かい濃厚な旨味は上物の証。

恐らく閖上産かと思われました。

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小鰭

強い酢〆加減で、甘めのシャリと調和する。

フォルムはやや不格好ですが、酢が強くとも小鰭らしさが活き活きと跳躍。

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車海老

強めに茹で、甘酢で洗っている。

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針魚

見事な飾り包丁(わらび付け)が光る。

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煮烏賊

大きく、硬めの茹で加減で面白い調理。

穴子とスルメイカで作られた煮ツメが格別。

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鮪中トロ

煮キリに漬けられたトロは脂分がほど良く抜け、

脂自体の旨味を素直に楽しませてくれます。

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玉子

鞍掛にあしらわれ、シャリとの間にはオボロが仕込まれ、二重の甘みが協奏する。

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煮蛤 追加

蛤の強い旨味を加速させる濃厚な煮ツメ。

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巻物

三人で伺ったところ、「三種類用意したよ」と嬉しい心配り。

浅草駅至近にありつつ、弁天山(12貫、巻物1本)コースは7,500円と、お値打ち価格。

クラシカルな江戸前鮨を食べてみたい!という人には、非常にオススメ出来るお店です。

弁天山美家古寿司のお店情報

店名:弁天山美家古寿司(べんてんやまみやこずし)

シャリの特徴:程よい硬さで、塩と酢は控え目、やや甘め。大ぶりながらにほどけ加減は良い。

予算の目安:浅芽(握り10貫)5,500円、弁天山(握り12貫+巻物)7,500円など

最寄駅:浅草駅から260m

TEL:03-3844-0034

住所:東京都台東区浅草2-1-16

営業時間:12:00~14:30、17:00~21:00、日曜11:30~18:30

定休日:月曜、第3日曜

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