すしログ No. 236 喜邑(㐂邑)@二子玉川

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初めて訪問した2016年8月から約2年ぶりの訪問となりました。

その間にも再訪したいと思っていたのですが、なかなか予約が取れず、今回念願の再訪となった次第です。

喜邑(㐂邑)さんの概観

時を経て改めて頂いた感想としては、木村さんの熟成仕事は更に先を行っており、端的に驚きました。

世に定着する熟成とは一味も二味も異なる熟成。

今まで頂いた熟成の中で最も旨味を最大化しつつ、魚の香りと食感と言う個性も活かしておられるのが圧巻!です。

 

特に今回は脂が乗ったタネを3連発で頂く流れがありましたが、それでもメリハリがあり、木村さんの仕事とストーリーテリングに感銘を覚えました。

一般的な旬のイメージを覆しつつ、季節感も盛り込んだ独特の世界観です。

 

そして、生命線のシャリはやっぱり美味しい。

酢の風味がスーッと抜けた後に酸味がこみ上げてきて、旨味でまとめるシャリで、己が熟成仕事にピタリと合わせておられます。

硬さについて、前回は「やや硬め」だと感じましたが、今回は「結構硬め」に感じました。

芯が残る手前まで攻めておられる印象です。

 

喜邑(㐂邑)さんの詳細

頂いたものの詳細をご紹介します。

 

今回頂いた日本酒

  • 澤屋まつもと守破離
  • 元坂酒造、酒屋八兵衛
  • 仁井田本家、にいだしぜんしゅ

 

頂いた酒肴は下記の通りです。

なお、前回にも増して創作的かつ洋風なメニュー構成でしたが、こちらで頂くと違和感が無いように感じます。

熟成仕事が個性を貫いており、完成されておりますので、酒肴で遊んでも硬派に感じられるのではないでしょうか。

 

蛤酒

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提供前に熱燗酒を少々垂らした濃厚蛤スープ。

 

焼き鮎のペースト

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肝の香りと甘みを楽しめ、粉砕された骨が香ばしい。

バターも使用されているらしいが、気にならない。

 

海胆のカペリーニ

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カペリーニ!?と驚いたが頂いて納得。

海胆の使用量が半端無く、クオリティ的にも鮨店ならではの一品。

イタリア料理店で塩水海胆を使用されているならば良いものの、明礬が強い海胆を使用されると厳しいので。

アオサを混ぜて和風テイストを高めている。

 

穴子の焼きもの

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皮はパリッとではなく、バリッと弾ける。

そして、肉厚な身はホロホロ、しっとり。

旨味が強く、何よりも香りが良い。

軽く風干ししてから焼いているようで、魅力が凝縮されている。

産地を伺ったところ岩手だった。

 

鮑の冷製リゾット

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鮑は柔らかく蒸されており、強い風味を楽しめる。

個人的に鮑は温かい方が好みだが、これはこれで美味しい。

と言うのも、肝のソースが旨味は濃厚でありながらくどくなくサラッとしており、鮑の量が大量なので、食べごたえが有る。

 

魚介のスープ

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香りは甲殻類ずどん、しかし旨味は複雑なビスク的スープ。

それでいて上品な食後感。

ワタリガニに加えて鰯などなど様々な魚を用い、塩気は酢飯の塩分のみ。

塩気が低くても旨みで牽引する。

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バゲットまで登場(笑)

 

カンジャンケジャン

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山椒の風味に加えてブランデーの風味が魅力。

上品に纏めている。

食べ方は下品な方が美味しいけれど。

 

この後、握りに移行します。

 

ガリ

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酢と塩を両方強く用いており、甘みはゼロ。

旨味が強いため赤酢を用いているのかと推察。

硬さは過去には柔らかく感じたが、今回はそう思わず。

 

酢飯の試食

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まず、海苔の良い香りが伝わる。

酢飯は一粒一粒に存在感があり、美味しい事を痛感する。

 

白烏賊

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極薄切りにして細切り。

よって、舌に瞬時に絡み、とにかく甘い。

シャリと合わせる事を前提にしている包丁仕事だと感じた。

(塩よりも煮キリの方がこちらのシャリに合っている印象)

 

黒ムツ

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あたかもトロのようにねっちりと脂が絡むが、シャリの酸味と合わさり乳化する。

魚自体の酸味と香りも感じられる。

 

カンパチ

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これまた凄い脂で、濃厚!

わずか2貫で夏のイメージを覆す。

あたかも冬の白身魚のようなパンチ力。

 

イサキ

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3週間熟成。

イサキらしいバツッとした食感と雄々しい香りを残しつつ、半端ない脂!

冬の一般的な寒鰤を超える程に脂が回っている。

香りは夏のイサキなのに、味は夏離れしていると言うギャップと意外性が魅力だ。

魚体を聞いたところ、約3.2キロ!

 

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ゴマサバなので脂はサッパリだが、香りが引き立ち美味しい。

寝かせて脂を回している。

シャリの酸味も引き立ち、パンチ有る3貫の後に少しリセットしてくれる。

 

金目鯛

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銚子産、3週間熟成。

ぷりぷりな食感の後に脂がどんどん広がり、凄い余韻。

脂質過多と言う訳ではないのに、金目鯛の仕事として独特で素晴らしいと再認識。

 

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波打つ包丁は絶妙。

旨味の合間に香ばしさが感じられ、蒸した後に炙っているのだろうか?

シャリの酸味がサポートし、引き締める。

 

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漬けではなく、煮キリで洗って暫く置く仕事。

ネギと生姜を合わせた調味料を噛ませる。

脱水感が強めでハムのような食感!

そして非常に強いスモーキーフレーバー。

しかし、脂も強いのでバランスが良い。

 

きむら鰯

青魚でありながら10日熟成!

皮、脂、身の三重の食感の後に強い脂!

そして、それを超える香り…

熟成で鰯の香りを引き出してるのが極めてマニアック!

 

マカジキ

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濃密なとろけ具合!

もはやソース的なとろけ具合のマカジキ。

漬けにしており、熟成は5〜6日ほど。

江戸前の古典的なタネであるマカジキをこのように仕上げるとは、凄い。

 

玉子

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今まで頂いた中で最もトロトロかもしれない玉子。

極めてスイーツ的に仕上げつつ、表面は食感があるので、「鮨屋の玉子」になっている。

 

以上、お会計は28,000円。

庶民の自分には頻繁にお伺いできる価格帯ではありませんが、伺って良かった!と思わされる内容でした。

問答無用に美味しく、唯一無二の世界観を持ったお店です。

喜邑(㐂邑)さんのお店情報と予約方法

WEB予約はOMAKASEのみです。

ただ、空席は少ないので、ツテをたどる方が簡単かもしれません。

喜邑(OMAKSEのリンク)

喜邑(食べログのリンク)

 

店名:喜邑(㐂邑、きむら)

シャリの特徴:赤酢の酸味を上品に立て、塩気は穏やかで、硬め。熟成種との相性が抜群。

予算の目安:15,000円~20,000円→25,000円〜30,000円

TEL:092-726-6289

住所:東京都世田谷区玉川3-21-8

最寄駅:二子玉川駅から600m

営業時間:お昼は水曜、日曜のみで12:00~の1回転、夜は17:30~19:30 19:30~21:30の2回転

定休日:月曜

 

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