こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
高級化が止まらない鮨シーンにおいて、自身のミッションは「誰もが安心して食べられる価格帯の優良店開拓」だととらえています。
noteで「予約可能でコストパフォーマンスが高い東京・神奈川の鮨・寿司」を更新し続けているのも、その一環です。
「高級価格帯で誰もが実現し得なかった至高の鮨」を生み出す職人さんのお店にも通いつつ、僕は幅広い価格帯と用途の鮨店を開拓するのがミッションだなと。
発信の目的は鮨の人気を高め、鮨文化の隆盛に寄与するため、これは生涯変わらないでしょう。
さて、前置きが少し長くなってしまいましたが、今回訪問した浅草橋の「鮨處あじま」さんは、価格、味わい、雰囲気、接客を兼ね揃えた今の時代に貴重な街の鮨店です。
(観光地を除く)下町の鮨店としては珍しく、日曜営業なのも嬉しい。
春先の風物詩である【子持ち槍烏賊】を握りで出されてシビれました。
伝統にモダンな感性を採り入れている職人さんです!
現状、食べログ3.10ですが、伸びるのは間違いありません。
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「鮨處あじま」の親方である安島 秋則さんは叩き上げだと分かる雰囲気を放つ職人さんです。
所作も客あしらいもいかにも鮨職人らしい。
僕は修行先を伺いませんでしたが、どうやら人形町の「六兵衛」さんご出身とのことです(「鮨 一條」さんの弟弟子)。
お店は浅草橋駅から至近の場所にあり、外観は落ち着いていて、いかにも下町のお鮨屋さんです。
鮨好きにはかなりグッと来る面構えのお店です。
そして、暖簾が上がり、いざ店内に入ると、「これは良い鮨店だ」と瞬時に分かります。
店内の空気は清浄そのもの。
来店時のお香を焚かれていますが、非常に上品な範疇です。
たまにお香をガンガン焚いている鮨店、日本料理店がありますが、これはダメですね。
料理人の嗅覚が弱い事実を明確に表しています。
そして、店内の空気のみならず、カウンターの上には整然と並べられた美しい漆器の盆。
包丁の管理を見ても、抜かり無しだと直ぐに分かります。
なお、山葵についても本山葵を使用し、直前におろされています。
香りも辛味も鮮烈です。
仕事については、冒頭に書いたとおり、子持ち槍烏賊を握りで供されるなど、オリジナリティを有します。
鮃は寝かせずむっちりしていたり、閂(大型の針魚)を〆るなど古典的な仕事を用いつつ、薬味に木ノ芽を使われたり、〆鯖を手巻きで出されたりと、意外性もあります。
そして、生命線のシャリは粒がもっちりしつつ、ぱらり。
塩気とともに甘味を感じさせる味付けです。
今日びとしては珍しい白いシャリで、酸味をやや先行させつつ、多くのタネに合う方向性です。
温度と粘度は問題ありません。
使用するお酢についてお伺いしたところ、ミツカンの超特級との事。
まさかの回答で、合わせ酢なのは意外でした。
超特級の原材料は「穀物酢、砂糖、食塩、みりん/酸味料、調味料(有機酸等)」で、「有機酸」は一般的にクエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、コハク酸ナトリウム(貝類の旨味成分)などを指します。
個人的には、お米のコクがあるお酢を使用することで、親方の表現の幅が広がるように思います。
ただ、またお伺いしたいと強く感じたので、魅力を毀損する範疇ではないかなと。
「鮨處あじま」さんは、平日限定のランチコースと、休日の昼夜それぞれのコースがあります。
僕は休日のランチにお伺いしましたが、12,000円のおまかせは握り16貫+玉子、椀で構成されていて、食べごたえが十分でした。
タネのクオリティや仕事も「回らない鮨」のそれであり、腕利き職人さんの個人店の強みを実感しました。
日本酒はおまかせでお願いして、出して頂いたのは【黒龍 あどそ さかほまれ2023】。
これは福井県が開発した酒⽶「さかほまれ」を使用した40%精米の純⽶⼤吟醸酒。
甘味、酸味、苦味のバランスが良く、キリッとしたフィニッシュは黒龍らしい。
甘味がありつつドライで最初のご提案として実に良い。
変わった名前の由来は「さかほまれ」を生み出した篤農家の所在地が⼤野市「阿難祖」地区であるためだ。
お酒を頼んだところ「アテです」の言葉とともに出して頂いた。
実に粋なはからいだ。
スチームものではなく生から茹でたのか、プチプチ、とろりと良い食感。
香り良くて、美味しい!
甘味が強めながら、シャリや仕事と合うバランスで下世話ではない。
食感はシャキシャキ。
大型の針魚を軽く脱水して、みちっとしていてプチプチと快感の食感。
木ノ芽とは爽やか!
むちむちしていて、味も香り良い。
厚い切りつけで、味が広がる。
〆て脱水及び塩気を含ませて、そこに当たり葱を合わせている。
薬味の使用量と味わいのバランスに長けている。
鯵自体もねっちりした食感で旨い。
皮目を炙りつつ、スモーキーフレイバーは控えめで、軽いサクサク食感がある。
味わいはスッキリした酸味があり、爽やか。
産地は鹿児島とのことだが、初鰹の味わい。
時化の後にちょうど入ったとの談で幸運であった。
柔らかくねっちりした食感で、甘味がある。
芥子を穏やかに用い、これもバランスが良い。
鯖で手巻きとは、当初予想したお店の方向性から意外な提供だ。
大葉と浅葱を使用。
海苔は厚みが有り香りも食感も良い。
赤身ではなく大トロとは意外。
脂がじんわりと広がる大トロ。
塩気も酸味も良い塩梅で、脂と香りが広がる。
〆てから3日か?
厚みが有り、香りも味も良い。
登場した際には「え、小鰭の後に真鯛??」と思ったが、頂いて味を確認して理由に納得した。
甘い!
そして、香りも良い。
大ぶりで、甘くて香りが良い。
青柳、トリ貝と春らしくて嬉しい。
キリッとした出汁に、ふんわり食感の鰯のつみれ、三ツ葉。
濃密な甘味とコクを楽しめる。
ほんのりと温かみを残す茹で置きの仕事。
実に甘い。
しっとり、ホロホロな繊維で、蛸の香りが広がる。
嬉しい一貫であった。
表面はむっちり、もちもちで、子はとろりとした食感のため、握りでメリハリと調和がある仕事だ。
ホロホロに煮たものをカリッと焼いて、木ノ芽で爽やかに提供。
穴子にも春らしさを加えているのが良い。
聞けば、木ノ芽は旬の僅かな時期のみ使用されているそうだ。
木ノ芽好きとしては嬉しかった。
しっとりな方向性ではなく、大きめの気泡を含んだ玉子焼き。
古風な仕事の干瓢!
味が強く、香りも深い。
甘味も醤油も効かせているので、力強い干瓢である。
「鮨處あじま」さんの予約については、「一休」経由でWEB予約が可能です。
店名:鮨處 あじま(すしどころ あじま)
シャリの特徴:塩気とともに甘味を感じ、酸味をやや先行させつつ、多くのタネに合う方向性のシャリ。
予算の目安:ランチ5,500円〜、夜12,000円〜
TEL:03-5846-9436
住所:東京都台東区浅草橋1-11-3 小柳ビル1F
最寄駅:浅草橋駅から100m
営業時間:12:00~14:00、17:30~22:00
定休日:月曜
下町の鮨店の懐に惚れ惚れする、すしログ(@sushilog01)でした。
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