こちらのご主人の松波順一郎氏は京橋・与志乃ご出身。
つまり、すきやばし次郎の小野二郎氏と同門と言う事になります。
しかも、松波氏は、今では殆ど使われていない「本手返し」の使い手。
鮨好きとしては、長らく行きたかった憧れのお店です。
お店の雰囲気は、浅草にあって豪華絢爛。
暖簾をくぐると玉砂利が敷き詰められており、足を進めると小気味良い音を立てる。
二階へ、との事なので螺旋階段を登ると、
檜のカウンターにスポットライトが当てられ、燦々と煌めいております。
しかも、カウンターの前には巨大な丸鏡。
「つけ場は舞台」だと考えておりますが、ここまで演出されているお店は珍しいです。
浅草では、デートに使える鮨店の筆頭かと思います。
(ただ、料理写真は撮りにくく、ピンボケしまくりますが)
こちらはお任せのみなので、松波氏に全てを委ねます。
まずは酒肴から始まり、寒鰤、ナマコ、鮃、〆鯖と続く。
刺身は大ぶりな切り付けですが、食感、旨味ともにバランスが良い。
包丁の妙を感じます。
と、そこへ蒸し鮑が届きます。
これは極薄に切られており、鮮烈な印象を与えてくれました。
食感が豊かで、薄さが旨味を引き立てている。
同時に蒸し汁がショットグラスで供されるのも嬉しい限りです。
滋味深い。
そして、肝心の握りについては、舞のような「本手返し」の美しさに心を奪われます。
他店では見られない程の手数の多さなのに、速度は早く、綺麗に形を成します。
シャリの硬さとほどけ具合は理想に近い。
硬さにおいてはかなり好みの、気持ちよくほどけるシャリです。
ただ、甘みが極めて強く、酢と塩が穏やかな点、温度がやや低い点が気になりました。
甘みが仇となるタネもあり、味わい的には好みが分かれそうです。
とは言え、「本手返し」の妙を味わうべく、再訪したい気持ちは残りました。
総じて、明確な個性を持った鮨屋かと感じましたが、
握りが少ない点、お好みが出来ない点が残念に思います。
鮪大トロ
桁外れに良い鮪では無いものの、シャリとの相性が良く、蕩けながら一体化。
小鰭
味付けはあっさりですが、結構強く〆ており、食感は硬め。
赤貝
大ぶりな赤貝ですが、シャリとの一体感があり、噛みしめるのが気持ち良い。
墨烏賊
スパッと切れた後に、ねっとりと濃厚な余韻が残る、独特の庖丁。
海胆
すし通 なみにタップリ使うところが老舗離れしております。ワイルド…。
シャリ玉が通常の握りと同じサイズである点も面白い。
穴子
穴子がシャリを包み込む、更なるワイルドネス。
玉子
しっとりふわふわタイプで美味しい。
干瓢巻き
穴子で言えば爽煮のような白くてさっぱりした干瓢。
ただ、シャリの甘みが一番強いというのは…。
店名:松波(まつなみ)
シャリの特長:硬さは理想的だが、甘みが極めて強い点で好みが分かれる。
予算の目安:20,000円~30,000円
最寄り駅: 浅草駅から372m
TEL: 03-3841-4317
住所: 東京都台東区駒形1-9-5
営業時間:17:00~21:00
定休日:土曜、日曜、祝日
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