すしログ No. 207 鮨おくやま@目白

僕は東京の鮨店を定期的にリサーチしておりますが、3年前に見つけて以来、長らくお伺いしたかったのがこちら。

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副都心線の雑司が谷駅から少し歩いた場所にあり、鮨店の立地としてはマニアック。

外観から「食わせる店」の雰囲気を発しており、内装は虚飾が無く端正な空間。

佳き鮨店の最低条件である、店内の匂いも良いです。

訪問した結論としては、隠れた名店だと確信した次第。

生命線であるシャリが美味しく、タネのクオリティも非常に高い。

仕事にも個性があり、江戸前仕事を親方流に仕上げておられます。

こちらの鮨は誰が食べても「美味しい!」と思える味わいなのですが、使用するタネのクオリティと価格帯を考慮すると鮨を食べ込んだ鮨好きの方が琴線に触れるかと思います。

(鮨好き、日本料理好きならば食材に見合った価格だと感じる筈)

隠れた名店であり、食べログでは3.06と言うスコアですが、住宅地で7年続く実力は確かです(2010年オープンとの事)。

こちらのシャリは米酢のみを使用し、塩気が優しく、ほのかな甘みがあります。

そして、お米の風味と旨味を活かしております。

硬く炊いてないのにほどけが良い点も特徴的。

トータルとして、米酢だけを使用しつつ、攻めすぎず美味しく仕上げているシャリだと感じました。

17時半に切っているそうなので、18時台の訪問がオススメです(笑)

お櫃でバッチリ管理されておりますけれど。

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日本酒は今回3種類用意されておられ、

夜明け前ひやおろし、日高見ひやおろし、夜明け前純米を頂きました。

下記はおまかせに2種追加した内容となります。

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鮪のお造り

産地は大間。

赤身は香り良く酸味もあり、鉄の風味も強くて気持ち良い。

トロの方は甘みが強く、美味。

モノの良さを実感し、あしらいに極細切りにしたカボチャを用いているところにセンスを感じる。

特に産地を強調するでもなくサラリと出され、粋な初手。

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鯵のスープ

しっかりと鯵の出汁が利いており、鰹出汁と生姜で味を調整されている。

少し強めの塩気で胃を刺激する。

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赤貝と蝦夷石影貝

活きの状態から剥いて提供!

エゾイシカゲガイは香りが実に爽やか!

そして、甘い。

赤貝も香りがあり、グルタミン酸も強くて中々の旨味。

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鮃の肝と尻尾の煮付け

肝は食欲をそそる香りがあり、軽い苦みがお酒に合う。

火入れが良く、とろんとしている。

少量で満喫感を与える煮付けで、鮨店の酒肴として抑制が利いている。

この後、握りに移行します。

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ガリ

甘みを利かせつつ、媚びない甘さ。

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シャリ

これはマニア向けの一貫目(笑)

味わいに加えて、心意気を感じさせて頂いた。

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新烏賊

旨い。シャリの美味しさを感じさせてくれる。

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甘海老

これも鮮度が高く、良い。

名前通り甘みを満喫させてくれるのは、シャリのお陰。

甲殻類で大切な「香り」も抜群。

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アカムツ(ノドグロ)

炙る事無くしっかりした甘みを楽しませてくれる。

炙る仕事が一般化しているアカムツだが、燻香が無い分、元来の香りを十分に感じさせてくれる。

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鮪背トロ

何と「剥がし」による背トロ!

「剥がし」とは鮪の筋から身を剥がす仕事。

鮪には背ビレの下にある10cmほどの筋と筋の間に

筋肉(赤身)と脂(トロ)が混ざり合う部位があり、それこそが背トロ。

気になる味わいは、圧倒的な脂の旨味に、酸味!香り!が絶妙なバランスで混ざる!

鮪の妙味であるこれら三つを全て同時に、秀逸なバランスで楽しめる、圧巻の部位であり仕事。

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小鰭

かなりしっかりした〆でありながら旨い。

旨味に加えて小鰭の香りも心地良く楽しませてくれる。

白板昆布を用いつつ、行き過ぎていない。

ここまでの流れで、こちらは個性的や〜と感じた(笑)

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いくら軍艦

漬けだが皮のとろけ方が凄い…いくらは飲み物!

海苔も香りが良く、歯切れが素晴らしい。

食感に特筆すべきものがあったので、親方に伺ったところ、一つ一つ皮を手で取っているそう。

そして、出汁醤油に漬けてなんと10日間…

試行錯誤の過程に思いを馳せ、余韻を満喫する。

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部位は腹側。

とろんと溶けた後に旨味が横溢!

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これもしっかり〆ている。

噛み締めると、脂が炸裂!

個性的で良い〆の仕事。

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海胆軍艦

瞬時にとろけ、強い甘みが舌に媚びる。

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玉子

芝海老を用いている。

食感はみっちりしており、ジワジワと芝海老の風味が高まる。

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鮪脳天の手巻き

もの凄い量で焦る(笑)

味も秀逸で、甘みが素晴らしい。

且つ、酸味もあって、こら旨い。

海苔について賛辞を述べたところ、親方は、「海苔は仕込みが要らないので良いものを入れるようにしてます」と謙虚なコメントで頭が下がる。

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穴子

ふっくらトロトロで、野趣ある香り!

煮ツメが前面に出てこず、穴子を活かす仕事。

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北寄貝

これまた剥きたて。

柱は繊維質のほどけが良好で、甘みが強い。

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本体を頂いたところ、感銘を覚えた。

瞬時に口腔の奥に染み渡るコハク酸!

そして、半端無い甘み…!!

食感も抜群で、貝で驚嘆を覚えた。

素晴らしい仕入れである。

また、シャリの味わいも奏功しており、貝を活かしている。

個人的に貝にピッタリ合うシャリは難しいと考えるので、この点において親方の実力を確信。

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アカムツの潮味噌汁。

味噌は控え目で、ゼラチン質たっぷり。

上記を頂いて、21,000円。

単純に価格を見ると目白離れしておりますが、鮨好きであれば決して高いとは思わないと思います!

店名:鮨おくやま

シャリの特徴:米酢のみを用い、全てのタネに合う味わいを求めるシャリ。

予算の目安:15,000円~22,000円

最寄駅:副都心線・雑司が谷駅から60m、目白駅から850m

TEL:03-5950-8232

住所:東京都豊島区高田2-18-22 クレアス目白1F

営業時間:18:00~22:00

定休日:水曜、祝日の月曜

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