こんにちは、キノコと山菜が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
こちらは今やすっかり予約困難店になりましたが、初めてお伺いした時は「知る人ぞ知る名店」…と言うよりも、「知る人しか知らない名店」でした。
隠れた名店を見つける名人である友人に紹介して頂き、訪問すること複数回。
しかし、2017年まで秘密にしていました。
なにせ使用する食材の稀少性が高いので、人気が出過ぎると困るなぁ…と思った次第です。
その後、ご主人・清水滋人さんがdancyuに「キノコ採り名人」として紹介されたり、東海地方のテレビに紹介される機会が増えたため、2017年10月に初めて記事にしました。
結果的に、食べログのスコアは4.0を軽々と超え、友人が懸念していた通り人気が出すぎてしまいました。
こうなると、面白いぐらいに全国から著名人やフーディーが殺到します。
世の中には「有名になってからしか訪問しない自称グルメ」が大勢いるのです(言葉はキツいですが、悲しきかな紛れもない事実です)。
そして、僕も訪問予定日の1ヶ月半以上前に予約を試みたのですが、2回断られたため、再訪を諦めていました。
…しかし、コロナ禍が続き、岐阜県も禁酒法の憂き目に遭っている折のある日に、清水さんからSMSが入りました。
「元気ですか?コロナで少し暇してます」との談。
4年ぶりくらいのSMSでしたので、即座に駆けつけることを決め、東京から車を走らせてお伺いしました。
「摘草料理かたつむり」は、ご主人が山に入り、奥様が(主に)調理を担当されるお店。
素晴らしき二人三脚で岐阜の山と川の魅力を伝えてくれる名店です。
すしログ
山菜、キノコ、川魚、ジビエがお好きな方ならばヒットするはずです。
タップできる目次
「摘草料理かたつむり」の魅力
こちらの魅力を端的に述べると「未知の食材との出会い」
です。
山菜、キノコ、川魚、ジビエ(野獣肉)のどれを取っても素晴らしい質を誇り、印象深い味わいです。
ご主人自ら獲って/採ってくる摘草スタイルのお店としては、全国でもトップクラスではないかと思います。
特にキノコとジビエについては突出しています。
さらに限定すると、ジビエについてはアナグマ、ハクビシンと鴨がオススメです(キノコは全てオススメ!)。
そして、素材のクオリティのみならず調理技術も高く、山菜料理や漁師料理を出す一般的なお店とは料理の満足度が段違いです。
雰囲気や素材が良くとも、火入れが不適切であったり、醤油が強かったりすると、折角の食材も台無しと言うもの。
こちらは焼きものはしっとりと焼き上げられ、揚げものはサクッと軽やかに揚げられております。
不適切なサイズや厚みに切りつける事もありません。
トータルとして言えることは、東京や大阪などの大都市では決して頂けない食材力です。
これぞ地方の面白さであり、遠方から伺う喜びです。
すしログ
都市部の格好良い空間で地方の食材を頂いても、どこか腑に落ちないんですよねえ。
2017年時点で伺う度にレベルアップされていると感じましたが、今回伺った際にも更なる飛躍を感じました。
価格は18,000円に値上がりされていて少し驚いたものの(笑)、未知の食材との出会いによる感動は色あせていません。
コース内で使用する食材の種類が増えている印象すら受けました。
「摘草料理かたつむり」のコースの詳細
まずは、この度9月下旬に訪問した際のコース内容をご紹介します。
2021年はキノコが全国的に不作でしたが、満足度が高い内容なのは流石です!
9月下旬に訪問した際の記事
ある年の9月下旬に訪問した際の御料理をご紹介します。
先付
お皿の右から川海老、大根、天然鰻の肝と胃袋の山椒炊き、里芋、ズイキ、宿儺南瓜すくなかぼちゃ、ほおずき、天然鰻の骨煎餅。
昔から定番のものが多々あり、思わず笑顔になる。
しかも、前よりも上品になっていて、進化を感じた。
鮎の塩焼き
序盤で主役級の食材が現れて、思わず歓喜!
郡上の天然モノで、大ぶり!
頂く前から香りが良い!
味わいは更に感動的で、濃厚な香りは海苔すら彷彿させる。
周りはカリッと仕上げられているが、肝はとろり、身はしっとり。
肝だけでなく身の方も皮目から香りを楽しませる力強さに恍惚となる。
初夏に島根の「美加登家」さんで頂いた鮎と並び、2021年の印象に残った。
サラダ
見た目こそ家庭的だが、野菜は瑞々しくて美味しい。
バジルなど西洋のハーブが少し入っているのが面白い。
こちらはボリューム感のあるコースなので、前半に野菜が出てくるのは嬉しい…とダイエットをするようになった自分は感じた。
猪の焼きもの
骨無しのスペアリブで、付け合わせはインカのめざめ、棗。
赤身部分は柔らかくて上品な野趣があり、脂は矢張り旨く、とろける。
炭火焼きの香ばしさも良い。
実に美味しい猪!
棗は乾燥モノではなく、生を煮たもので嬉しい。
松茸の焼きもの
高山産で、香りが強く、旨味も強い。
みっちりした凝縮感、強い食感や瑞々しさは都会では味わいにくいクオリティだと再認識する。
天麩羅、揚げもの
大変具だくさんな、山・川の幸の天麩羅。
鮎、鰻、香茸、黒舞茸、花咲栗、銀杏、ムカゴ、牛蒡、トウモロコシ、マコモダケ。
タネが「摘草料理」らしくて魅力的だが、味も印象深いものばかりだ。
鮎は小さくても肝の旨味をたっぷり楽しめる。
鰻は肉厚で、味わい深い。
黒舞茸は香りも旨味もあり、香茸は抜群に良い香り。
他の野菜も全て美味しい。
鹿のスペアリブ煮込み
少量の生姜で煮ていて、塩気は穏やか。
シンプルに調理されている。
なお、鹿の脂身はベットリくっ付くようなクドさがあるので、「どうしたものか…」と思案した末に赤身の部分のみ頂いたが、隣のお客さんにご主人が「鹿の脂は不味すぎて、胃にこびりつくような感じが嫌だ!」と仰っていて、自分が正解だったことを知る(笑)
そう、天然が入っているご主人なのだ。
こちらのお店を教えてくれた食通の友人の言葉を借りると、「かたつむりは食材も店主も天然モノ」となる。
青菜とアミタケの和えもの
胡麻油と胡麻で和えている。
ほうれん草だけでなく三ツ葉も入っている点が小粋。
アミタケは旨味や香りではなく食感を楽しむもので、ぷるんと艶めかしい食感ゆえに和え物にピッタリだ。
天然鰻 追加
オプションで追加する。
時価で8,000円~10,000円ほどだが、こちらの鰻は食べ応えがある。
今回頂いたものは訪問当日に入荷した330グラムの鰻。
繊維質はみっちりしていて、ただただ濃厚な味わい。
ぶりぶりと力強い身は、もの凄く脂が乗っていて、パンチがある。
さらに野趣ある香りも楽しめ、決して泥臭くはない。
とにかく脂がトロトロと横溢し、養殖モノとは異なる力強い味に圧倒される。
キノコ鍋
盛りだくさん!
頂く前からヤマドリタケ(ポルチーニ)が香る。
様々な香りと食感が魅力的で、旨味がどんどん高まる鍋。
不作であっても数多く採ってくるご主人の手腕に惚れる。
肉は月の輪熊、ハクビシン。
ハクビシンは香りが良い!
生ハムのような旨さも印象深く、身はきめ細かく、脂は甘い。
軽くしゃぶしゃぶすると、もっちり、くにゅりと良い弾力を生み出し、脂の甘みが活性化する。
月の輪熊の旨さは鉄板だ。
炊き込みご飯、香の物
天然黒舞茸の炊き込みご飯で、香りが良い!
水菓子
右からキーツマンゴー、秋月(梨)、レディーパーシモン、ピオーネとハニートリュフ、シャインマスカット。
ハニートリュフは非常に珍しい生で食べられるトリュフ。
トリュフ香が強く、甘みがあるところが面白い。
レディーパーシモンも個性的な味で、小さいのに甘い。
10月上旬に訪問した際の記事
ある年の10月上旬に訪問した際の御料理をご紹介します。
先付
鹿肉の漬け、猪の旨煮、豆腐の味噌漬け、あじめどじょうの天麩羅、ロウジ(老茸、クロカワ)、稚鮎、サルナシ(キウイの原種)、手長海老、宿儺南瓜(すくなかぼちゃ、高山の伝統野菜)、冬わらび。
鹿肉の漬けは旨味が凝縮されており、爽やかな香り!
冬わらびは卵のようなプチプチした食感が面白く、野趣を感じさせる土の香りも一興。
鮎の塩焼き
高山の荘川産。
ホクホクした身に、苦味が低く甘みのある肝。
香りは力強い。
尻尾近くまでしっかりと香り、落ち鮎としては印象深い。
猪のハム
とにかく旨い(笑)
ジャクジャクと力強い身を咀嚼すると、どんどん脂が滲み出る!
燻香を強めに付し、猪の力強さをワイルドに味わわせる。
キノコの椀
ハナビラタケ、ホンシメジ、天然舞茸。
舞茸の香りと酸味が溜まらない(天然舞茸には酸味がある)。
そこに、ホンシメジの旨味が浸透し、ハナビラタケは食感面で活躍。
キノコの複合的な旨味と香りが堪らない。
ただ、鶏のせせりや海老については蛇足。
入れぬ方が美味。
今回、これだけが残念!
椀は具ではなく旨味で食わすものだと思うので、過剰な足し算は避けた方がベター。
茹で落花生
でかっ!と思わず呟いた。
風味が強く、あたかもピーナッツバターの如し(笑)
松茸
かなり大きめだが、ご主人いわく「MLくらいのサイズ」との事。
2017年は全国で松茸が不作であり、
京都でも東京でも外国産で難を凌いでいた次第…
しかし、こちらにとっては何処吹く風。
確かに不作であるそうだが、バッチリと極太サイズを採ってこられる。
いやはや、香りがもの凄い!
そして、雄々しい食感!
繊維が明確に存在を示し、自身の噛み締める音に食欲が高まる始末。
格別であり贅沢。
特に不作の年ゆえに感動した次第。
鰻の焼きもの
400g。近場の河川の天然モノ。
脂はたっぷりで、香りは天然モノとしては上品。
繊維質がホロリとほどける点は火入れの妙なり。
マコモダケ、天然舞茸、草餅の天麩羅
こちらの天然舞茸は、(天然の)一般的なモノよりも香りに渋さがあった(良い意味で)。
養殖モノに比べて酸味が強いのは共通。
マコモダケ、草餅も良い揚げ加減であったが、矢張り印象深いのは舞茸だった。
舞茸は天麩羅にすこぶる映える。
舞茸の最良の調理法は天麩羅か炊き込みご飯であろう。
パスタやピッツァにしたり、ペーストにしてスープにした事もあったが、香り、瑞々しさ、食感のバランスでは天麩羅が良い。
旨味の流出も無いし。
高山産月の輪熊(冷凍)の焼きもの
陶板プレートで各々好きなように焼くのが、こちらのスタイル。
脂が旨い!肉厚で満足感たっぷり。
キノコ鍋と猪のしゃぶしゃぶ
具材はキノコ、ゴボウ、水菜、白菜などとシンプル。
生姜が利いており、滋味深い上品な出汁。
キノコはハナイグチ、ショウゲンジ、アラゲキクラゲ。
ご主人が採ってこられるキノコは肉厚で香り高く絶品です。
イノシシは肩ロースで、身はぷりぷり、脂はとろろんと申し分無く旨い。
香茸の炊き込みご飯
いつもながら、塩気が強いのはご愛嬌(笑) →2021年訪問時に改良されていました!
僕も塩漬けや乾燥モノで炊き込みご飯を作るが、醤油よりも塩味に寄せて、柚子などの柑橘類の酸味を付するのが個人的に腑に落ちる。
水菓子
こちらの果物は美味しく、珍しい果物が入っているのが嬉しい。
10月が旬のポポーは初めて頂いた。
自家製栗きんとんも素朴な味わいで美味しい。
過去に頂いた御料理のダイジェスト版
リライトする前の記事に書いた、過去訪問時の御料理をご紹介します。
真鮒(標準和名:ギンブナ)のお造り(胡麻和え)
フナを生で頂いたのは初めてだった。
恐らくそのままでも臭みが無く美味しいのだろうが、胡麻を用いて一般的な抵抗感を下げている点に工夫を感じる。
ロウジの炭火焼き
苦味と独特の旨味がある。
ボソッとした見た目とは裏腹にジューシィ。
大人の味覚に合う渋めのキノコである。
香茸のリゾット
香茸は抜群の香りに妙が有るキノコだが、その香りを心置きなく楽しませてくれる一品。
ベーコンがアクセントに用いられている。
猪の膵臓の燻製
超絶!圧巻!の旨味!
大和岩魚の燻製
古くから山間部でスモークにして食されてきたヤマトイワナ。
強めの燻香でワイルドな味わい。
猪の山賊焼き
厚切りの荒々しい味わいで、猪の脂を楽しませてくれる。
鴨の首皮、レバー、砂肝、ハツ、ヌートリアのもも肉とロースの陶板焼き。
鴨肉の貴重なモツ類に加えて、面白食材のヌートリア。
ヌートリアを食べられる機会なんて、そうそう無いだろう。
ヌートリアは鶏のささみ肉に味覚の質も食感も似ている。
淡白な味わいである。
熟成4日鴨肉の陶板焼き
美しい小豆色!悶絶するほど美味しかった。
柳家の旬の小鴨と双璧をなす味わい。
鴨の内臓のみの団子の鍋と穴熊のしゃぶしゃぶ
これも秀逸だった。
上記の鴨肉と合わせて、今までにこちらで頂いた肉類でトップクラス。
熊鍋
熊肉のつみれに和製ポルチーニであるヤマドリタケと黒舞茸を。
変態的な組み合わせ(笑)
熊は脂が多い食材だが、重たさやクセは無く、ひたすら旨い。
万人受けではなくマニア受けするお店なので、殺到しないでください(笑)
「摘草料理かたつむり」のお店情報と予約方法
予約はお電話のみです。
パンデミック前は予約困難店でしたので、休日の場合、訪問の2ヶ月ほど前にご連絡するのが望ましいと思います。
店名:摘草料理かたつむり(つみくさりょうり かたつむり)
予算の目安:おまかせ18,000円
TEL:0581-36-3621
住所:岐阜県山県市長滝502
最寄駅:なし
営業時間:12:00~15:00、18:00~21:00
定休日:不定休
※完全予約制です
ちなみに、お店の先にある伊自良湖の「甘南美寺」は風情があってオススメです。
【関連する記事】
岐阜県でオススメのお店です。
岐阜最高峰の鮨店「寿司 松岡」
岐阜の個性派鮎料理店「川原町泉屋」
関でオススメの鰻丼「しげ吉」と「辻屋」
摘草料理は土地の風の中で頂きたいと思う、すしログ(@sushilog01)でした。
本記事のリンクには広告がふくまれています。