
こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
北九州には個性的な鮨店が多々ありますが、いま一番アツいお店が「鮨 丸喜」さんです。
食べログでは3.14ですが、訪問してみて「今後必ず伸びるはずだ!」と確信しました。
親方の仕事には江戸前鮨の古典への敬意があり、さらに女将さんが日本でも稀有な日本酒ペアリングを実践されています。
ご夫妻の二人三脚によって、唯一無二のお店に昇華されています。


これからさらに美味しく、楽しくなるのは間違いないので要チェックです!
美味しいだけでなく、お人柄やセンスを感じるコースをいただくと、確かなポテンシャルを確信します。

「鮨 丸喜」さんは、2025年5月に戸畑から小倉に移転された鮨店です。
もともとの創業は1951年にさかのぼる町の老舗で、女将さんのご実家だそうです。
そこまで歴史を持つ鮨店は北九州では少なく、「三本の指に入る歴史を持つ」との談です。
現在の3代目親方である村上 卓(むらかみ たく)さんは、なんと独学で鮨を探求してご自身の鮨を確立されている方。
独学でありながら、前述のとおり江戸前鮨の古典への敬意があるところが素晴らしいです。
僕は「地方で本当に訪問する価値のある鮨店」とは、親方が江戸前鮨の古典を実践しているか否かであると、経験則的に確信しています。

高松で僕が大好きな「鮨舳」さん然り、料理における個性とは基礎や王道が無くして成り立たないものです。
この視点は独学でなくても、有名店で修行して地方で独立された方にも言えること。
修行先が大切なのではなく、修行先で学んだ基礎や知識を応用する発想こそが、独立後に地方で大成する要諦だと確信します。
その意味において、村上親方は間違いなく応用し続けて複利的にセンスやスキルを発揮される職人さんだと感じました。

おまかせの構成については、酒肴で独創性を演出し、握りで本質を伝えるスタイル。
酒肴には燻製オイルを使用されたり、フライを提供されたりと、酒場的なエッセンスを加えつつ、肝心の握りが地に足が着いているので総合的に「上品」な方向性にまとめています。
そして、鮨の生命線であるシャリは状態が非常に良く、ぱらりとほどけ、軽いもっちり感を楽しませます。
温度や粘度に気になる点は無く、時間経過で多少落ちても、タネの仕事と構成によって持続性があるシャリです。
味付けについては、塩についてもお酢についても、タネを引き立てる塩梅です。
特に酸味が結構軽めなので、濃い味付けが好まれる九州においては極めて上品な方向性だと感じました。

最後に、断言しますが、女将さんである村上 衣代(むらかみ いよ)さんの日本酒ペアリングは秀逸です。
僕は「日本鮨酒文化振興協会」を設立して、鮨と日本酒のペアリングの普及活動を行っており、全国トップクラスである「鮨かの」さんと「みつい」さんにご参加いただきました。
自身もJ.S.A. SAKE DIPLOMAに始まり、WSET Level 3 in Sakeや日本醸造協会の「唎酒マイスター」を取得して自己研鑽に務めています。
その上で再び断言します。
女将さんの日本酒の選択と提案は、見事です。
女将さんもJ.S.A. SAKE DIPLOMAを取得されていますが、資格を取って終わりではなく実践して知識と技術を蓄積されている方。
資格は「取って終わり」だと数年で未資格の人と大して変わらなくなってしまうもの。
取得後の研鑽はアウトプットを体感すれば容易に分かります。
女将さんは超下戸でお酒をほとんど飲めないと言うので、努力と実践には頭が下がる思いです。
鮨激戦区である福岡にも、同じタイプの鮨店はありません。
これからも小倉の地で、さらなる高みを目指して欲しいご夫妻だと、心から感じました。
鮨好き、お酒好きな方は、ぜひとも訪問してみてください!
それでは、「鮨 丸喜」さんのおまかせコースの詳細をご紹介します。

先ほどお伝えしたとおり、日本酒ペアリングが非常に魅力的です。
ひたむきな女将さんなので、お茶ペアリングもきっと楽しいと思います。
味の相乗効果にご関心がある方はぜひとも付けてみてください。
訪問時にいただいたお料理と握りを紹介します。

ジャキジャキと力強い食感で快感!お酒については、親方の出汁に合わせて「西條鶴」とのことで、これは確かに合う!

出汁の塩梅に加えて、やや強めの塩のアタリともバッチリだ。日本酒の甘味を感じやすく、それでいて失速感は無い甘味のバランス。

長崎県産。皮目は強めに炙って、燻製オイルを掛けるという変則的かつ創作的な仕立て。鰹は酸味があり、旨味がじんわりと広がる。

ここに「新亀」の熱めの燗を提供し、香ばしさと旨味をピタッと合わせる。

これは魅力的な組み合わせだ。焼き茄子特有の香ばしさが魅力的。しかも、茶碗蒸しの中から茄子の中心部が表れ、卵の甘味とともに調和する。

皮はバリッと焼き、身はみっちりと強めに焼き込んでいる。火入れが強めなので酒肴的な方向性の調理だが、酒盗のクセは皆無なので多くの人が魅力を感じる塩梅だ。

合わせる「ゆきの美人」の冷酒は、味覚的に同調しつつ後味を切るペアリングで、このタイムラグが短くほぼ同時に実現している点が素晴らしい。

衣はサクサクで、身はしっとり。ツユの出汁や塩味の塩梅はバッチリで、カマスの繊細な旨味や脂を伝えてくれる範疇。合わせるお酒は「ゆきの美人」の燗酒で、温度を上げると意外にも収斂味が高まるのが面白い!温度と収斂味で後味を切りつつ、後に繋げる銘柄と温度の選択である。

中には奈良漬けを加えて良き酒肴。見た目は「珍味」であるが、塩気よりも鮎の味と効果的な甘味を用いているため重たくない。個人的には鮎特有の苔の香りと清涼感を感じさせる苦味があるとより嬉しい。

お酒は軽い熟成感に酢酸イソアミル系の香りがあり、微発泡で個性的。香りの方向性的に間違いの無いペアリングだ。酒肴の方向性的に燗酒を合わせそうなところ、良い意味で裏切ってくるのがハイコンテクストで魅力的。起伏のある提案は先が楽しみになり続ける。

秋刀魚の香ばしさや脂を上品に伝える一品。酢飯と混ぜ合わせても「マヨネーズ的」ではないところが粋である。それでいて酒肴的なのでお酒が進む。

合わせるお酒は「篠峯」。酸味と収斂味ありキリリとしたフィニッシュで、握りに接続する。

春子の甘味を感じさせる良い脱水加減!昆布を当てているが、香りも旨味も極々軽めで、春子の味に配慮されていることが分かる昆布〆の使い方である。

お酒はモダンな方向性の山廃なので、春子の香りを壊さずに味を添えて同調の方向性。

春子の後に甘鯛という構成は誰もが心躍るだろう。こちらは昆布をやや強めに当てつつ、昆布と甘鯛の甘味が合一する。仕事だけでなくシャリとのバランスと構成が魅力的だと2貫いただいて実感する。

お酒は石鎚の雄町。昆布〆による旨味が気になりつつ口に運んだところ、同調しつつ誤差無く合う。

ピュアに脂を引き立てる自然体な〆加減だ。鰯の脂に頼り切らず、〆の仕事で鰯を全体的に活かす〆加減は硬派な方向性で好感が持てる。当たり葱とも良い塩梅。

お酒は「庭のうぐいす」。甘味が広がり、旨味がある!…と思いきや、酒屋さんで熟成してもらっているとの談で納得する。伸びがある庭のうぐいすであったので。そして、木の酒器と熟成酒は相性が良いことを実感する。

北九州の地物。身質はねっちりしすぎず、しっとりとしていて、香りが高まる。これは実に美味しい仕事だ。

お酒は甘味が穏やかで、上品な酸とキレがあり、鰆の甘味を活かす方向性。冷酒での提案が奏功している。

まず、提供温度が良い。脂が重たくなく、甘味を広げて酸味と香りを楽しませてくれる。合わせるお酒は「庭のうぐいす」の燗酒で、冷酒よりも甘味が広がり、これはトロの油脂に調整されていることが分かる。

しっとり感ありつつ、ギリギリ「なまくら」手前に止めている。塩気は穏やかで酸味がほんのりと広がる。上品な〆加減は魅力だが、寝かせが浅い気がして聞いたところ、やはり一日であった。東京以外の鮨店における小鰭は仕入れの都合で仕方ないことは承知しており、ネガティブな要素は無いので、これは単に訪問のタイミングの問題であろう。

お酒は「越前岬」五百万石の生熟成。オフフレイバーはかなり少なく極々少量。オフを抑えるために温度を70℃まで上げてから提供温は穏やかにして、あくまでも熟成酒の旨味を活かす調整をされている。小鰭に対して極めて面白い提案だ!そもそも、きっちりとオフフレイバーの香りを取って的確な選択を出来る点が凄い(オフフレイバーが強いお酒を有名店で出されたことが何度かあるので…)。

味噌汁に糸島の無農薬レモンで爽やかさを加えている。生魚にレモンを合わせると香りも酸味も強すぎて下世話になり、昭和料理のテンプレのようになってしまうが、温かい汁ものにレモンはアリだ!

茹で上げで温度を落ち着かせてから提供。繊維質はもぎゅっとしつつしっとり。生っぽさが無いところが魅力的だ。

お酒は言わずと知れた「醸し人九平次」。香り系で、上品な甘味。後味にキリッとした収斂味を残して、後に繋げる。

藍島産の地物。西日本の海胆らしいスッキリとした青葉様の香りと油脂のコク。余韻は長い。殊に他の産地とは異なる香りと味のある海胆だ。

続くお酒「花邑」もカプロン酸エチル系の香りと甘味で華やかに盛り上げる方向性。

皮がプチプチ弾ける食感が非常に強く、楽しくなるいくら。浸けは2時間ほどとのことで塩梅が良い。キロ3.5万円を記録するタイミングだったので、小倉の地においてありがたい心意気だ(ちなみに、その後、いくらの値は4万円を突破した)。

香りも味わいも重たくない方向性の純米大吟醸。昨今の純米大吟醸の方向性とは異なる選択で、このようなペアリングは後半に軽やかさを加えて嬉しい。

甘味を排除した辛味と酸味があるスッキリタイプ!
※ガリについては今まで握りに入ったタイミングで紹介していたが、自身は食べることが少ないので、今後は食べたタイミングで紹介することに方針を変更。

対馬らしい皮下脂肪の甘さをシンプルに活かす味付け。気負いを感じさせない穴子の仕事だと言える。

そのような穴子の仕事故に大地の燗酒はドンピシャで合い、もはや安堵を覚える安定感抜群のペアリング。純米酒推し、燗酒推しの酒場でよく出会う銘柄であるが、ペアリングによって料理だけでなくお酒の魅力も高まることを伝えてくれる。

ゴリッとしていて歯切れが良い干瓢。醤油を効かせて魅力的な江戸前鮨の干瓢に仕上げている。

プリンでありチーズケーキなスイーツ志向の玉子。

「大七」の生酛造りの日本酒梅酒は香りも酸味もバッチリ合う!
「鮨 丸喜」さんは、お電話での予約が可能です。
店名:鮨 丸喜(すし まるき)
シャリの特徴:状態が非常に良く、ぱらりとほどけ、軽いもっちり感。塩もお酢もタネを引き立てる塩梅で、特に酸味が結構軽めの上品な設計。
予算の目安:おまかせ「幽玄」26,400円、昼の握り「趣」15,000 円
最寄駅:小倉駅から550m、モノレール平和通駅から280m
TEL:093-383-2038
住所:福岡県北九州市小倉北区鍛冶町1-8-12
営業時間:12:00〜22:30(※営業時間・コース開始時間は店舗にご確認ください)
定休日:日曜日
文中で紹介した鮨と日本酒のペアリングを楽しめる優良店
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小倉で高みを目指す気鋭のご夫妻に感銘を覚える、すしログ(@sushilog01)でした。
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