こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
こちらは新橋で徐々に人気を高める鮨店です。
初回訪問時に「人気が高まるかも…」と感じましたが、その後、着実に人気を高められました。
同時に、個々の仕事の独自性も高め、構成も巧くなっておられました。
すしログ
立地を考えると、覚えておいて損のない貴重なお店です。
タップできる目次
新橋「鮨 神楽」と望月親方の魅力とは?
新橋「鮨 神楽」は、2021年10月下旬にオープンした鮨店です。
オープンから日にちが経っていませんが、インスタでは結構な人気を誇り、特にリーズナブルなランチは予約困難な模様です(笑)
親方は名門「銀座 久兵衛」で12年間修業された、望月将さん。
実は、この修行歴を聞いて訪問を決めました。
複数の人気店を短期間に移動するのではなく、老舗で長年続けられる職人さんならば伺う価値があるはず。
そのように判断しました。
望月親方は握りの技術が高く、所作も客あしらいもバッチリです。
手返しが少なく、速い握り方が印象的です。
久兵衛での握りの期間は短いそうですが、基礎がみっちりしている点は、老舗で修業するメリットだと感じました。
それは、握りだけでなく仕事についても同様です。
決して大味ではなく緻密。
久兵衛の仕込みの量は尋常ではないので、修業期間以上の経験値が得られるのだと実感しました。
シャリは小粒ですが、少し長いものもブレンドされているかもしれません。
綺麗にパラッとほどけ、温度はやや高めですが全体的に調和しています。
味付けは酸味も塩気も穏やか。
しかし、ともにじんわりと広がり、タネを支えます。
大人しすぎるというわけではありません。
伺ったところ、お酢はヨコ井の白寿(米酢と赤酢のブレンド)と琥珀(赤酢)をブレンドされているそうです。
得てして食べ込んでいない人が「味が弱いシャリ」と言いかねない味付けを選びつつ、決してそのように言わさないバランスなのは、シャリ切りと魚の仕事が調和している証左と見ます。
全体を通して、脂が多い当世流行りの深海魚(金目鯛やノドグロ)を用いつつ、脂が最大化する仕事を選択していない点が好印象です。
初回訪問時には「佐たけ」さんの名物である【ノドグロ小丼】などを出されていましたが、二回目には握りで出されていて、しかも仕事でノドグロの魅力を高められていました。
魚の引き立て方に加えて、連続性が考えられている構成も望月親方の魅力です。
新橋「鮨 神楽」のおまかせコースの詳細
「鮨 神楽」のコースは、おまかせ一本です。
お伺いした際は、酒肴7品、握り12貫、玉子、椀で構成されていました。
酒肴はある程度冒頭に出されつつ、一部を握りの合間に挟まれるスタイル。
「すし匠スタイル」のようにミックスされているわけではなく、握り主体の構成です。
コースの組み立て方やボリュームなどは魅力的だと感じます。
ただ、ネックとしては、費用対満足度が挙げられます。
おまかせコースが19,800円とは、いささか高額かな…と感じました。
「鮨バブル」の世の中では高額と思わない人もいるでしょうが、僕が重視しているのはタネ・仕事・構成力に対する費用対満足度です。
その上で高額だと感じ、お店にお伝えしたところ、なんと引き下げられてビックリしました!
頂いた内容は19,800円(税込)だったのですが、3月14日から15,000円(税込)で提供されるそうです。
あくまでもキャンペーン扱いのようではありますが、終了時期は未定なので、気になる方は訪問されると良いと思います。
【2022年6月追記】
キャンペーンは2022年内一杯まで続けたい、とのご意向です。
鮨は海のものなので、急激な仕入れ価格の上昇があった場合、早めに変更になる可能性はあるのでご注意!
2022年6月に訪問した際の記事
2022年6月に頂いた内容は、下記のとおりです。
この度頂いたお酒
- 天狗舞、超辛純米酒
- 松声、純米吟醸
- 楽器正宗、備前雄町
新玉ねぎのすり流し
出汁と新玉ねぎの甘みを楽しめる設計で、淡い塩気が奏功している。
初鰹
相変わらずの嬉しい厚切り!
やはり今年の初鰹は味が濃い…と実感する。
故に強い味のドレッシングでも負けない(とは言え、個人的な好みだともう少し少量でも良いかもしれないと感じた)。
煮蛸
しっとり、ホロッホロに仕上げた煮蛸。
長時間茹でたり圧力をかけたりするのではなく、マイナス60℃で冷凍して90分煮ているそう。
ホタテの磯辺焼き
かなり香ばしくて甘い。
王道のタイラギの磯辺焼きをホタテに応用している。
コスト面での工夫だけでなく味の面で確かに結実している点が良い。
極薄切りのタイラギを出されるよりも、遙かに好感度が高い。
アオリイカ
自身にとって今季初モノであった。
アオリイカらしいむちっとした弾力と柔らかい食感を楽しませてくれる。
そして、強い甘みはアオリイカならではで、甘みの強さはイカで突出していると再認識する。
産地は三宅島で、魚体はなんと5.8キロ!
金目鯛
脱水が巧く、みちっとした食感で、ブニュブニュ感は皆無。
金目鯛らしい脂が広がり、炙りの香ばしさは上品な領分を守っている。
車海老
茹で置きで甘みを楽しませる仕事だが、何よりも香りが立っていくのが魅力だ。
最後まで香りが良い車海老の仕事であった。
鮟肝と奈良漬け
「すし匠」定番の酒肴。
ノドグロ
昆布〆を行い、金目鯛に続いてみちっとした食感に仕上げている。
昆布〆を行うと、ノドグロの旨味や香りが活かせる。
強い炙りを加えると、どうしても脂の印象が強くなり、結果的に焼きものの方が美味しく感じる事が多い。
蛤
大型で、むちむちした部分ととろりとした部分が共存する。
漬け込みの塩梅は穏やかだ。
味付けが穏やかなので、中盤でも違和感が無い蛤である。
貝柱の茶碗蒸し
貝柱たっぷりで旨味と香りを楽しめる。
中トロ前に温かいものを出して、口の温度を高め、鮪の脂を即座に溶かすという配慮だ。
鮪中トロ
夏鮪らしく濃厚ではないが、脂のコクが十分にあり、美味だ。
酸味はかなり穏やか。
茶碗蒸しの目論見も奏功している。
脂とコク、そして香りも高まる仕掛けは小粋と言えよう。
産地は境港。
鮪赤身
湯霜漬けで、旨味の引き立て方が巧い。
しっとり且つほろりとした食感で、噛み締めると香りが高まる。
ねっちり感ではなくしっとりな方向性の仕上がりは湯霜漬けならではだ。
小鰭
かなりしっとりした〆加減で、身はホロッホロ。
それでも旨味を引き出す、中々に個性的な〆方だ。
マフグの白子の小丼
これは問答無用に旨い!
混ぜるとリゾット状になり、濃厚。
誰もが好む味わいだと思うが、小鰭の後、海胆の前と言う配置が良い。
海胆軍艦
小川のバフン海胆。
香りが強く、味わいも濃厚だ。
収斂味は僅かに残る。
穴子
笹の葉に乗せて炙るクラシカルな仕事。
表面は軽くサクッとしていて、身はホロッホロ。
甘みがかなり穏やかな煮加減だ。
玉子
しっとりした層の間にプリンの層がある。
スイーツ的な方向性だが、海老がほんのりと香り、鮨店の玉子焼きらしさを持つ。
椀
ノドグロ出汁のツユで、半田素麺入り。
ノドグロ出汁だが、べったりしない味わい。
鮨と同じくノドグロへの向き合い方が意識的だ。
とは言え、ゼラチン質は滲み出ているので、脂は軽くとも濃密な味わいを楽しめる。
2022年3月に訪問した際の記事
2022年3月に頂いた内容は、下記のとおりです。
この度頂いたお酒
- 七田、純米七割五分、無濾過生
- 楽器正宗、純醸 純米酒
- 屋守(おくのかみ)、純米中取り
この通り、お酒の品揃えもセンスが良いです。
のれそれ
穴子のレプトケファルスである、のれそれ。
めんつゆで頂く、今や定番のスタイルだ。
完全に生の状態で、トゥルンとした独特の舌触りと食感を楽しむ。
メジマグロのタタキ
超極厚切り!
この厚さには驚いた。
玉葱ドレッシングに茗荷で味付け。
味付けは結構濃口だが、メジマグロの旨味と脂が突き抜けて来る。
この切りつけは理に適っている。
いやはや、剛胆!
煮蛸
ひたすらホロッホロな食感。
蛸の香りと旨味を楽しませるような個人的な好みからは外れるが、ホロホロの蛸を食べたことが無い方に意外性を楽しませる仕事だと拝見する。
あん肝
定番の奈良漬けとともに。
火入れは強めで、ぷりっした食感。
甘みがやや強めだが、嫌味にならない範囲で、食後はさらりとしている味付け。
ガリ
薄切りで、甘みを付けているが気にならない範囲。
辛味が来て、酸味がふんわりと広がり、甘みが柔らかくまとめる。
鮃
しっとりほろっとした食感で、寝かせている模様。
香りを楽しませる方向性の、名残の鮃だ。
墨烏賊
ゴリッとした食感の後に、バツバツではなくブルッと感じさせる、独特の食感。
これは包丁の仕事が奏功。
斜めに包丁を入れていることで表現しているのか。
噛み締めていると、意外や意外、結構早くにとろりととろける。
そして、甘い。
包丁だけでなく熟成も掛けているようで、1週間とのことだ。
熟成しても柔らかくさせない選択が素晴らしい。
酢橘の使用量も良く、1滴のみだ。
赤貝
香りが良く、旨味もなかなかだ。
中国産とのことだが、色、香り、旨味ともに下手な国産を超える味わい。
春子
桜の葉〆と、粋。
切りつけ前から、桜の香りが漂う。
(塩〆の)〆加減は、しっとり、ふんわり、ぷるんと柔らか。
頂いてみると桜の香りは強すぎず、ふわふわ香る点が粋を超えてお洒落。
銀鱈の西京焼き
脂が乗っている銀鱈だ。
漬け地の甘みが強めだが、脂とのバランスは良好だ。
むしろ蕪の漬け物の甘みが気になる。
個人的に、味覚のバランス的には甘みが無く、酸味が利いた漬け物がベターだと感じた。
鰯
旬のピークには勿論及ばぬが、脂が高まっている事を伝えてくれる。
そして、香りがとても良い。
食欲をそそる香りである。
あと、脱水や骨切りも良い。
ボタン海老
ぷちりとちぎれ、トロトロととろける。
食感よりも甘みを先行させる仕事で、寝かせは2日との事だ。
毛蟹の茶碗蒸し
毛蟹の味噌に加えて干し貝柱も使用しているため、どことなく中華的なテイストを楽しませてくれる。
鮪中トロ
銚子産。
脂が乗っていて、赤身寄りの酸味は無い。
脂がしっかりした中トロなので、温度の高いシャリに合う。
鮪大トロ
脂が乗っているけれど、酸味もある大トロ。
上記の中トロの後なので、意外な印象を抱く。
小鰭
しっとりした〆加減だが、「なまくら」ではない。
皮が非常に柔らかい。
超モダンな〆加減と言えるが、旨味があって、香りも良い。
甘海老の酒盗漬け
酒盗漬けとは面白い!
酒盗の香りは極めて上品で、酒で伸ばして漬け込む方法が活きている。
トロトロ食感寄りの海老である甘海老だが、みちりとするところが良い。
甘み以外に旨味があり、これは酒盗故だろう。
ノドグロの小丼
意外にも一夜干し的な印象のあるノドグロだ。
塩を振って、脱水ペーパーで1日寝かせているそうで、個性的。
サッパリと頂けるノドグロの小丼で、個性を出している点が素晴らしいと感じるものの、佐竹親方が編み出したノドグロの小丼ではなく、他の魚で表現された方が個性が光るかもしれない。
海胆軍艦
佐藤の生海胆。
すっきりしつつ、甘みがあり、ミョウバンの臭みや収斂味は無い。
これは流れ的に冷たく提供しているのが良い。
穴子
笹の葉で炙る古風な仕事!
香りも良い。
穴子の仕事も魅力的で、みちっとした繊維質を楽しませる。
煮ツメは比較的強い甘みがあるが、煮る際の味付けとのバランスが良い。
玉子
みっちりしているのに、しっとりしていてプリン的。
しかし、甘みは程良く、上品な玉子焼きだ。
椀
海老出汁の赤出汁に半田素麺を加えるユニークな椀。
小技が効いている。
新橋「鮨 神楽」の立地と雰囲気
お店は新橋駅から少し離れた場所にあり、非常に好立地です。
なぜなら風情ある路地にあり、落ち着いています。
僕は昔から新橋の猥雑な雰囲気が苦手なので、これは嬉しかった。
外観も上質な雰囲気が漂っていて、店内も然り。
席の間隔は広く、落ち着いて食事が出来ます。
なぜかBGMが低音量の洋楽であった点が不思議でした(笑)
僕も、中学生の頃から邦楽よりも洋楽を聴いていますが…
新橋「鮨 神楽」のお店情報と予約方法
WEB予約については、ホットペッパーと食べログ経由で可能です。
店名:鮨 神楽(すし かぐら)
シャリの特徴:穏やかと思いきや、酢と塩がしっかりと底を支える、温かめのシャリ。
予算の目安:おまかせ15,000円(税込) ※2022年3月14日より2022年内までの予定
TEL:03-6206-1154
住所:東京都港区新橋3-2-3 千代川ビル 1F
最寄駅:新橋駅から450m
営業時間:18:00〜20:00、20:30〜22:30(2部制)
定休日:日曜、祝日
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