後醍醐天皇が鎌倉幕府の倒幕計画を立てて挙兵した場所、笠置山。
歴史ある場所は今やハイキング人気があるようで、随所に巨岩があります。
そして、こちらは笠置山の頂上付近にある料理旅館で、1890年(明治23年)に創業された歴史あるお店です。
こちらの名物料理は、ずばり【キジ】。
キジは今でこそ「ジビエ」扱いとなっておりますが、元来は『古事記』に食肉として登場する程なので、郷土料理としての文化は奈良時代以来となります。
個人的にキジと言えば、かつて友人が獲ってくれた天然のキジを頂いた事があり、その美味しさにいたく感動したものです。
こちら松本亭さんのキジは畜産されたもので、地元・笠置町のナカムラポートリーさんのキジとの事。
天然モノのキジを安定的に仕入れキジのコースを作れるお店は極めて希少なので、肉が美味しければ畜産でも全く問題ありません(牛・豚・鶏は全て畜産なので)。
そして、ナカムラポートリーさんは「外剥ぎ方式」で捌かれるそうです。
この捌き方は笠置に伝わる伝統的な方法で、内臓を傷つけずに解体出来るため、安心して頂く事ができるようです。
なお、ナカムラポートリーさんは自前で「雉祥」と言うお店を営んでおられたそうですが、現在は敢え無く閉店しているようです…
松本亭さんのキジ料理の概観
御料理を頂いた感想としては、まず、キジの美味しさ自体が間違いないです。
天然モノとの大きな違いは、繊維質と野趣でしょうか。
天然モノの方が食感が強く、香りに野趣があるように感じます。
そして、畜産モノの方が皮下脂肪をたっぷりと蓄えていました。
野生の天然モノは個体差が大きいので誤差もあるかと思いますが、明かな共通点は、赤身の旨味の強さ。
肉質はあっさりとしていながら旨味が強く、これこそ古来よりキジが珍重されてきた所以だと確信を持ちました。
御料理は「料理旅館的」なものなので、突出した個性はありませんが、「肉」で勝負しておられ、「専門コース」があるのは強い魅力だと感じました。
コースは1階の食堂で頂く2,000円の【きじ定食】から用意されており、今回頂いたのは5,500円の【きじ石焼コース】となります。
他のコースを頂いていないので断言はできませんが、個人的には素材をダイレクトに感じられる【石焼コース】で
大正解だったと思いました。
他に冬季(11月中旬~3月)限定の【猪・鹿・雉コース】も気になりましたが…
石焼きは火入れを自分でコントロール出来るので楽しかったです。
【きじ石焼コース】の内容
・一品
・きじ刺身
・きじ石焼
・きじ小鍋
・きじ釜焼おにぎり
・デザート
松本亭さんのキジ料理の詳細
紅白なます
1月上旬らしい一皿。
甘みや酸味が強すぎず、塩梅にホッと安心。
きじ刺身
部位は笹身。ねっちり、もっちりした身は独特の食感で、旨味がある。
良い意味での香りも感じられる。
きじ石焼
部位は胸肉、もも肉、レバー、ハツ、砂ずりなど。
笹身に続いて胸肉も旨味が強く、前述のような感想を抱き、ナカムラポートリーさんのキジの美味しさを実感する。
もも肉はむっちり且つコリッとした食感で、脂が旨い。
そして、脂の口どけが良い。
内臓類も魅力的で、砂ずり、ハツ共に旨味がある。
レバーは香りがしっかりで、野趣を楽しめる。
きじ釜焼おにぎり
本来は〆であるが、石焼とともに楽しんだ。
その心は、キジの脂をたっぷりと染み込ませられる上、肉と一緒に楽しめるから。
その選択は大正解!
脂を染み込ませてカリッと焼き上げるのが美味しい。
おにぎり自体は出汁を利かせ、こちらにも小刻みなキジ肉が入っている。
きじ小鍋
親しみ易い味付けだが、甘過ぎない点が良い。
肉の繊維質は高温で凝縮するので火入れは要注意。
蓋のしっぱなしは禁物だ。
もともと繊維質が細かいので、火入れが長いとホロホロになってしまう。
目を光らせて、ささっと頂くのが良い。
なお、蒟蒻に特注品と言う刺身蒟蒻を用いている点は面白かった。
デザート
葛餅。奈良で一般的に販売されているものと同じく、甘みがあるもの。
旅館なので宿泊込みのプランも用意されております。
気兼ねない鄙びた雰囲気の中、日常を忘れたい方には最適かと思います。
料理旅館 松本亭さんのお店の情報
WEB予約はじゃらん、楽天トラベルから可能です。
店名:料理旅館 松本亭(りょうりりょかん まつもとてい)
予算の目安:【きじ石焼コース】5,500円の他、【きじ定食】2,000円、冬季限定【猪・鹿・雉コース】7,700円など
最寄駅:笠置駅から2,100m
TEL:0743-95-2016
住所:京都府相楽郡笠置町笠置山20
営業時間:11:00~15:00、17:00~21:30(LO.21:00)
定休日:無休
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