大阪に若手の鮨店は多く、自身にはまだまだ課題店が複数ありますが、こちらの親方・平谷史郎さんは老舗の福喜鮨で修業されたと聞き、優先度を上げて訪問した次第です。
頂いた感想としては、リーズナブルな価格帯の中で諸々工夫されている点が好印象。
酒肴は高価な食材を用いずとも満足感を与えてくれます。
定番と言えば定番のもの中心ですが、握りをメインに頂く分には全く問題無し。
肝心の握りは江戸前らしいタネに加えて大阪らしい白身魚を多用されており、バランスが良いと思いました。
おまかせのみの構成ながらに「酒肴よりも握り多めで」と言うニーズにも応えて頂け、握り好きとしては嬉しく感じた次第です。
鮨ふみさんのシャリ
シャリは米酢で甘みがほのかにあり、炊き加減は関西としては硬め。
実にまんまるい味わいのシャリだと感じました。
親方の握りは本手返しと小手返しをタネによって使い分け。
当初立て返しかと思うほど、印象的なフォームでした。
また、捨てシャリはあるものの、一手が非常に速いです。
ただ、後になって知りましたが、捨てシャリこそが福喜鮨らしさであり、特に桶を叩いて米粒を落とす所作が福喜鮨の流儀との事でした。
きっちり大阪らしさを表している江戸前鮨であり、白身魚が強い夏場に伺ってみたいと感じた次第です。
頂いた日本酒
澄川酒造場・東洋美人純米吟醸50、相原酒造・雨後の月八反錦純米大吟醸、千代酒造・篠峯超辛口純米、平和酒造・紀土純米吟醸
鮨ふみさんのおまかせの内容
岩もずく
甘酢を利かせた定番の酒肴。
岩もずくは食感が強いものだが、殊にジャクジャクであった。
蛸の柔らか煮
非常に柔らかく仕上げており、温かさと共に寒い日に嬉しい一品。
生牡蠣
産地は兵庫県相生。
大ぶりで旨く、出汁がバシッと利いたポン酢も良い。
子持ち昆布
卵黄とカイワレを和えている点に工夫を感じさせる。
卵黄のコクとカイワレの苦味が良い塩梅。
鰹節もわずかに使用。
銀鱈の西京焼き
強めの味付けなので酒肴に良し。
ガリ
辛味と酸味があり、甘みの塩梅は大阪らしい。
ホウボウ
昆布〆。昆布の旨味と香りがしっかりしており、身も凝縮している。
しかし、この仕事は旨い。
塩昆布が一本ながらに強いアクセントとなる。
大阪らしさを表現した初手の一貫。
ハタ
当初、おろしポン酢!?と思うが食べて納得。
部位は腹側か、脂がしっかりで、食感も楽しませてくれる。
これまた西らしい一貫。
石鯛
脂が乗っている部位を塩で〆て提供。
白身ながらにトロのようなパンチがある。
鰤
辛味大根と。
鰤としては脂が多すぎない部位を用い、鰤の酸味を活かす。
辛味大根が良い脇役。
鮪赤身
漬けの仕事が良い。
鮪大トロ
脂しっかりだが、香りもある。
小鰭
ほのかな甘みを感じさせる小鰭。
〆加減はなまくらでなく、臭みも無い。
まろやかな味わいの小鰭で、シャリとの相性が良いと感じた。
剣先烏賊
大葉が良いアクセント。
鯖
脂が乗っている鯖を巧く〆ている。
生姜?と思ったが、気にならず。
強い脂を御すためだと納得出来た。
海老
茹で上げで、甘みと食感ともに十分
穴子
ふんわりしつつ、繊維質もある。
煮ツメはコクだけでなく苦みも程良くある。
玉子
卵の香りと甘みをナチュラルに活かす。
鞍掛けなのが嬉しい。
干瓢巻
干瓢にツイストを加えてから巻くため、独特の食感を楽しめる。
この食感は楽しくなる。
デフォルトで山葵を使用。
醤油は強すぎず弱すぎず。
椀
これは良い椀。
アラに鰹節と生姜を利かせスッキリ。
以上、トータルで15,000円。
おまかせは10,000円でお酒を4合頂いたので、良心的な価格です。
もちろん、お値段のみならず基本的な技術と独自のセンスがあるので、少し粗削りな部分もありますが、大阪で今後が楽しみな一軒です。
タネも雰囲気も豪奢なものを求める口には合わぬかもしれませんが、「大阪らしさ」を上品に表現されており、魅力的かと思います。
鮨ふみさんのお店の情報と予約方法
WEB予約はホットペッパー、食べログから可能です。
店名:鮨ふみ
シャリの特徴:米酢を用い、ほのかな甘みがあり、炊き加減は関西としては硬め。
予算の目安:おまかせ10,000円、13,000円~
最寄駅:福島駅から210m
TEL:06-6345-4423
住所:大阪府大阪市福島区福島7-7-24 スリーエスビル1F
営業時間:17:30~23:30
定休日:水曜、祝日(祝前日の場合は営業)
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