こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
本記事は「旬の魚」をご紹介する「旬魚の世界シリーズ」です。
当シリーズでは、旬の魚の魅力を鮨ブロガーならではな目線で解説していきます。
今回は「マダイ(真鯛)」についてご紹介します。
すしログ
楽しんで頂ければ幸いです。
▼シリーズのまとめ記事はこちらです
マダイ(真鯛)の基本情報と旬は?
標準和名:マダイ(真鯛)
小鯛の別名:カスゴ(春子)
英語名:Red snapper (Tai)
旬:春もしくは冬に定評があります
※実は秋〜冬の方が人気ですが、連載を春に始めたのでご容赦を(笑)
マダイ(真鯛)についてのすしログ的コメント
古代より神前の儀に用いられるなど、「めでたい」象徴とされてきた鯛。
春の名物「桜鯛」もいれば、秋の名物「紅葉鯛」もいて、一般的に秋から春まで美味しく頂けるので、旬の定義が大変難しい魚です。
その大きな理由は北と南で産卵期が異なるためですが、海流、水温、エサによって味を大きく変える点も影響しています。
例えば、人気が高い瀬戸内海(鳴門、明石など)の旬は3~4月(5月が産卵期)。
ただし、釣り師によっては、淡路や明石のタイについては、11月下旬~1月末のものがベストと言う意見もあります。
誰もが知っている白身魚の代表格ですが、季節によって味を大きく変える、油断のならない奥深い魚だと思います。
なお、カスゴ(春子)についてはタイの稚魚なので、「旬」と言う概念は当てはまりません(年がら年中いるので)。
とは言え、美しいピンク色の皮から春を想起するため、3月のまだ寒さの残る時期に出されると、桜を彷彿させ嬉しくなるものです。
カスゴ(春子)の握り鮨には、マダイだけでなく、チダイ(血鯛)やキダイ(黄鯛=レンコダイ)などの稚魚も用いられます。
チダイは「若狭焼き」で有名で、キダイは「小鯛の笹漬け」で有名ですね。
マダイ(真鯛)の鮨における仕事(調理法)
マダイ(真鯛)の鮨における仕事(調理法)は下記の通りです。
- 寝かせる(&熟成)
- 塩を振り軽く脱水(〆)
- 昆布〆
※いずれにせよ旨味を強くする事が目的。
※「寝かせ」とはサク取りしてから半日~2日ほど置いて、イノシン酸(旨味)を増幅させる事を指します。更に日を置く「熟成」は「寝かせ」を発展させた仕事。旨味が強くなる半面、香りと食感が低減していくため、香りと食感を巧く残し、旨味を最大化する事が熟成の要諦です。
※昆布〆については、昆布の香りが付着してはタイの魅力が霧消します。また、昆布の旨味成分であるグルタミン酸を過剰に付着させるのも無粋。あくまでもタイのイノシン酸を支える塩梅がよろしいかと思います。
食べる時はここに注目!
鮨で真鯛を食べる時に注目するポイントはこちら!
- 旨味を引き出しているか
- 旨味だけでなく、香りと食感があるかどうか
- 皮目を用いているか、そこにどう包丁を入れているか
- 柑橘の使用
※皮目を残す意義としては見た目の美しさ、食感、皮下脂肪を完全に残すと言った点が挙げられます。ただし、歯切れを良くするため、湯霜にして包丁を入れる事が前提。腕の立つ職人は皮下の旨味を残しつつ皮を引けるので、皮の有無は職人の好みに依拠し、どちらがベターと言う訳ではありません。
※東京でタイに柑橘を用いる事は少ないですが、関西では用いられる事があります。その際、酸味と香りがタイを邪魔していないかがポイントとなります。
【プライドフィッシュ登録県】(カッコ内は旬)
徳島県(3~4月)、広島県(3~5月)、福岡県(4~7月)、石川県(4~6月)、兵庫県(9~11月)、大阪府(11~3月)、愛媛県(養殖2~5月)、三重県(養殖10~2月)
なお、「明石の鯛」は実に素晴らしい味わいだと思いますが、それはイカナゴをエサにしているからだと言われます。
昨今、イカナゴが大変な不漁なので、マダイの味わいも気がかりです…
ちなみに、「〇〇タイ/〇〇ダイ」と付く魚は多いですが、その大半は「あやかり鯛」と呼ばれるタイ科ではない魚。
ゆうに150種以上もいるそうです。
「あやかり」と言っても、決して味が悪いわけではありませんので、別物として楽しむのが良いかと思います。
イシダイ(石鯛)やメイチダイ(目一鯛)などはとても美味しいです。
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