こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
本記事は「旬の魚」をご紹介する「旬魚の世界シリーズ」です。
当シリーズでは、旬の魚の魅力を鮨ブロガーならではな目線で解説していきます。
今回は「カスゴ(春子)」についてご紹介します。
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カスゴ(春子)の基本情報
標準和名:なし ※複数種の鯛の幼魚であるため、和名は無い
通称・別称:カスゴダイ(春子鯛)
英語名:Young sea bream
旬: ※幼魚であるため厳密には無いが、鮨においては一般的に春(3~4月)
カスゴ(春子)についてのすしログ的コメント
美しい皮目と可憐な身から、春めいた期待を想起させるカスゴ。
上記の通り鯛の幼魚なので、厳密な旬は無く、一年中どこかで旬を迎えている魚です。
ただ、そう言ってしまっては無粋…
矢張り寒さが薄れゆく春先や桜が咲く初春に頂くのが嬉しいタネです。
季節を感じさせてくれる魚の中でも、トップクラスの姿を持っているように感じます。
上記で「複数種の鯛の稚魚」と書きましたが、具体的には以下の3種が該当します。
- マダイ(真鯛)
- キダイ(黄鯛)
- チダイ(血鯛)
キダイ(黄鯛)はエリアによってはレンコダイ(連子鯛)とも呼ばれます。
これらは3種とも美しいピンク色の皮目なので、必然的に桜をイメージさせてくれます。
鮨種としては、成魚は白身に分類されますが、稚魚は光物に分類されるのが面白いところ。
〆の仕事がモノを言う魚であり、成魚とは全く別の味わいを楽しませてくれるタネです。
ちなみに、春子としてみなされるのは大体100g以下(14cm以下)とされています。
カスゴ(春子)の鮨における仕事(調理法)
カスゴ(春子)の鮨における仕事(調理法)は以下の通りです。
- 〆
- オボロの使用
「光物」らしく塩で脱水したり、昆布で脱水したりする事が一般的です。また、酢に当てて、身を凝縮させることも大切です。関西の小鯛の雀鮓や福井の小鯛の笹漬けなども〆る事が前提ですね(〆加減は握りよりも圧倒的に強いですが)。
昨今は強く〆る事が少ないため、オボロを噛ませる事も少なくなりました。〆に塩だけでなく酢も用いると塩と酸味で強い味わいとなるので、味覚的緩衝材としてオボロが大変合います。しっとり仕上げたカスゴにはオボロの甘みは野暮ッたくなりますが、〆加減次第では違った味わいを楽しませてくれるように思います。
食べる時はここに注目!
鮨で春子を食べる時に注目するポイントはこちら!
- 見た目
- 〆加減
- 皮目の食感
何よりも見た目が良い魚なので、一瞬でパクリとやらず、姿を鑑賞してから賞味するのが良いです(笑)
春子の切り付けは西洋料理における盛り付けに等しく、鮨職人の美意識が大きく反映されるように思います。「鑑賞」と書くと時間が掛かりそうに見えますが、「意識して見る」事が美の鑑賞では重要なだけで、別に短時間でも鑑賞する事は可能です。
塩気はそこまで利かせない魚ですが、酢の酸味を加える事で味わいが複雑になります。成魚の真鯛に比べて味わいが淡く身が柔らかなので、巧く〆る事で初めて魅力を発揮する魚です。柔らかさを殺すのではなく活かす〆の仕事が、現代的な魅力かと思います。
柔らかくも、くにゅっとした食感、もしくはしっとりとほどけるような食感が、春子の皮の持ち味。見た目の美しさに加えて皮目の優しい食感を楽しむ事で、一層春らしいタネだと感じるように思います。
成魚についてはこちらの記事となります。
掲載した写真のお店
・鮨みずかみ(東京都)
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