沖縄で野菜や果物の「宝庫」である山原(やんばる)の大宜味村(おおぎみむら)。
やんばる産の野菜は那覇市内のお店でも多用されていて、数々の島野菜を楽しませてくれる土地です。
有名なゴーヤー、ナーベーラーに始まり、ハンダマ、ンジャナ、フーチバー、カンダバー、イーチョーバー…
皆さんはどれくらいご存知でしょうか?
ほとんどご存じでない方は、ラッキーです。
沖縄で味わう楽しみが増える事になるので!
沖縄に島野菜の魅力を伝えてくれるお店は様々ありますが、やんばるに行く方にオススメしたいのが、今回の「笑味の店(えみのみせ)」さんです。
1990年から30年の歴史を持つお店で、郷土料理のお店として非常に魅力的です。
やんばるには飲食店が決して多くはないので、貴重な一軒だと思います。
「笑味の店」の立地と雰囲気
お店のある大宜味村は「村」と言う割には広大な行政区ですが、名護寄りの「やんばるエリアの付け根」にあります。
そして、「笑味の店」は名護から辺戸岬まで続く国道58号線沿いにあり、村の中では北部に位置します。
名護市内から約40分、那覇市内からは約100分離れた場所です。
お店の目の前には広大な海が広がっています。
お店の目印としては、国道沿いの看板。
ただ、正直なところ、ロードサイドの看板↓は損している気が…
この看板に対して、お店の入口の雰囲気は冒頭の写真の通りです。
絶対に損していますよね(笑)
本当の雰囲気は南国情緒が漂う食堂的な雰囲気で素敵なので、ロードサイドの看板で躊躇する必要はありません!
店内には沖縄でも特にゆる~い雰囲気が漂っています。
やんばる時間でしょうか。
お伺いした時にスタッフの方がいらっしゃらないかもしれませんが、その時は明るく挨拶をしてみましょう。
ちなみに、店名の由来は店主のお名前、金城笑子(えみこ)さんに由来します。
「笑味の店」の御料理の魅力とは?
冒頭で島野菜とお伝えしていますが、お店をオープンされたいきさつが素敵です。
引用させて頂きます。
はじまりは、おばぁの畑の島野菜。
むかし、むかし、野菜は買うものではありませんでした。
広くなくとも土のある地面を見つければ、畑に。
種を植えて、気長に待ち、大事に野菜を育てました。
炊事のたびに、ちょっとずつ収穫しては、みずみずしい味覚を食卓にのせました。
(中略)
おばぁたちの島野菜を眺めていると、工夫して料理をしたい気もちがあふれだしてきました。
土や海とともにある暮らしのリズムや生きる知恵を伝え残していきたくて1990年「笑味の店」をオープンしました。
この言葉に全てが詰め込まれていて、お店に伺うと、実際に畑で採った多用な野菜を余すところなく楽しませて頂けます。
同時に、土地の雰囲気も何となく伝わる、癒しの御料理だと感じました。
島野菜は香りや味わいが強いイメージがあるかもしれませんが、実際にその通りだと思います。
より正確に言うと、使い方次第で個性が出すぎてしまうのが、島野菜であるように感じます。
しかし、巧く使うと、美味しいのが島野菜。
香りが強かったり、苦味が強かったりする野菜でも、巧く使えば魅力的な個性になります。
「笑味の店」さんは、一般的な「郷土料理」や「自然食」と言うくくりで語られるお店の標準を超える調理です。
つまり、塩味や甘みの使い方や野菜の活かし方が洗練されていて、決して「家庭的」ではありません。
同時に、上品でありながら味わいの力強さも持ち合わせているので、記憶に残る味わいです。
ここまで手が込んだ御料理をリーズナブルに頂けるのは、頭が下がる思いです。
食べ終えた後、精神的にも満たされる御料理だと思います。
ちなみに、野菜を主体とした御料理ですが、ボリュームはバッチリです。
お腹を空かせて訪問しましょう(笑)
「笑味の店」の御料理の詳細(実際に頂いたもの)
この度頂いたのは【まかちくみそーれランチ】1,500円です。
お店には要予約の【長寿膳】2,500円もあり、【まかちくみそーれランチ】はそれをコンパクトにしたものとの事。
十分に楽しめそうなので、予約なしで【まかちくみそーれランチ】を頂きました。
「まかちくみそーれ」とは沖縄の言葉で、「おまかせください」を意味するそうです。
また、よりコンパクトなメニューとして、【くふぁ(硬)じゅうしぃランチ】850円もあります。
名物と思われる【やんばるくふぁ(硬)じゅうしぃ】を楽しめるセットです。
【まかちくみそーれランチ】
基本的な構成は以下の通りで、季節ごとに一部変更になります。
- ニガナの白和え
- モーイドーフ
- ゴーヤーの卵とじ
- ヤンバル竹の子イリチィ
- スルルぐわー(小)のマース煮
- サワーラフテー
- クガニサクナ冷麺
- 玄米ごはん
- やんばるじゅーしー
- ハンダマの味噌汁
- タピオカアンダギー
- シークヮーサーアンダギー
- カスピ海ヨーグルトのローゼルソース掛け
ちなみに、単品料理(350円~)もあるそうなので、お腹に余力のある方は試してみてください。
WEBに掲載されている料理たちは魅力的です。
苦瓜チャンプルー、麩イリチー、筍イリチー、糸瓜ウブシー、山原味噌汁、ボロボロじゅうしぃ、ラフテー丼、ぶながやカレー、笑味の冷麺(しょうゆたれ/ごまたれ)、シークヮーサームーチー(餅)、カラキムーチー(餅)、サーターアンダギー、タピオカアンダギー、やんばるじゅぅしぃ、ひらやーちー、黒糖ひらやーちー、カラキひらやーちー、シークヮーサージュース、赤花ティー、食べる山原フルーツティー
【ハンダマの味噌汁】は鰹出汁がしっかり利いている、濃い口の赤出汁。
ハンダマは本州で「水前寺菜(すいぜんじな)」や「金時草(きんじそう)」と呼ばれる野菜で、香りが良い。
そして、加熱により軽いヌメリがあり、これも沖縄島野菜料理の魅力的な食感の一つ。
また、豆腐が風味がある点も嬉しい。
一般的な島豆腐のように硬くはなく、柔らかいので味噌汁に合う。
【ニガナの白和え】はニガナ(別名ンジャナ、イムンギャナーなど)を細切りにして、感じる苦味を軽くし、同時にシャキシャキ食感に仕上げている。
豆腐の甘みとよく合う。
【ヤンバル竹の子イリチィ】はやんばるの竹の子(ホテイチクか?)を使用していて、細い筍らしい食感があるが、柔らかく炊いてから炒めている。
【ラフテー】の美味しさもさることながら、芋と牛蒡が風味が強くて印象的。
麺料理の【クガニサクナ冷麺】は生長したシークヮーサーである「クガニ」を使用していて、香りが良くモチモチ食感で、面白い麺。
【やんばるじゅーしー】は個性的で美味しいジューシー。
野菜に豚肉、昆布、椎茸の旨味を合わせている。
黄色い色はウコン(ターメリック)由来か?
最後に、スイーツも全て手作りです。
【タピオカアンダギー】はタピオカ由来のモチモチ感と紅芋の香りが他にない味わい。
【カスピ海ヨーグルトのローゼルソース掛け】は珍しいローゼルをジャムとして頂けて満足。
全体的に素朴な味、御料理ですが、他店には無い味なので、その土地で頂く必然性がある御料理だと感じました。
「笑味の店」のお店情報・予約方法
カジュアルなお店ですが、コロナの影響もあり、完全予約制に移行されるようです。
旅程が決まったら、早い段階でお電話するのが得策かと思います。
予約はお電話のみとなります。
店名:笑味の店(えみのみせ)
予算の目安:長寿膳2,500円、まかちくみそーれランチ1,500円、くふぁ(硬)じゅうしぃランチ850円
TEL:0980-44-3220
住所:沖縄県国頭郡大宜味村字大兼久61
最寄駅:なし
営業時間:11:30~16:00
定休日:火曜、水曜、木曜
※2020年11月より完全予約制です
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