こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
今回ご紹介する郷土寿司は和歌山県の【じゃこ寿司】です。
【じゃこ寿司】は和歌山の中でも、海から離れた紀の川市周辺(旧貴志川町、旧桃山町、岩出市)で食される郷土寿司です。
「郷土寿司王国」の和歌山県が誇る、マニアックな郷土寿司だと言えます(笑)
そもそも、「じゃこ」と聞くと「ちりめんじゃこ」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
僕自身、和歌山に【じゃこ寿司】があると聞いた時、稚魚で覆われた寿司をイメージしました。
しかし、調べてみると、じゃこ=雑魚であり、川魚であるオイカワ(別名ハヤ、ハエなど)を用いた寿司でした。
夏祭りの頃には握りで、秋になると箱寿司にして食されてきたとの事です。
行事に基づいている郷土寿司…ロマンがあって良いですねえ!
東京はおろか和歌山周辺の大阪、奈良でも食されない、ご当地限定のレアな郷土寿司。
どうしても頂きたくなり、調べたところ、こちらの「じゅげむ」さんで頂ける事が分かりました。
「じゅげむ」とは不思議な響きの店名ですが、落語の寿限無から来ているのでしょうか。
こちらは旧店舗の看板です。
渋い郷土寿司なのにポップなのがツボに入りました。
移転後はまさかのコロニアル様式?な洋風の外観になっていました!
【じゃこ寿司】は郷土寿司なので、基本的には家庭料理となるため、商業目的で作られているお店は決して多くありません。
「じゅげむ」さんは貴重な一軒だと言えます。
【じゃこ寿司】の伝統的な作り方は、意外に手が込んでおります。
内臓を取り除いた川じゃこを炭火で焼き、その後1日風干しする。
その上で、番茶で1時間炊き、さらに調味料を合わせて1時間弱火で煮詰めるそうです。
この調理法は和歌山市内にある弥助寿司さんの【鮎甘露寿司】とほぼ同じです。
作るとなると手数が多いのが郷土寿司の常ですが、それ故に特別なタイミングで皆の力を合わせて作られてきたのだろう…と想像すると、妙にノスタルジックな温かみを覚え、是非とも将来に継承していって欲しいと感じます。
そして、自分自身でも作ってみたくなります。
自作は別の機会にするとして、この度は頂いた寿司の紹介を。
この安っぽいパックに、郷土感が高まります(笑)
郷土寿司が根付いた地域の道の駅には、パックが雑然と並んでいて面白いもの。
日常に根付いているところが素敵ですよね。
【じゃこ寿司】自体のフォルムもまたワイルドな感じでグッと来ます。
上記が過去に訪問時のフォルムで、下記が最新訪問時のフォルムです。
頂いてみると、じゃこの甘辛い醤油味に酢飯の酸味が混ざり、素朴ながらに個性的な味わいです。
酢飯は完全に家で作ったような味わい。
非常に穏やかな味わいの酢飯。
そこに醤油、味醂、酒の味付けが混ざるので、郷愁が高まります。
…とは言え素晴らしいのが、醤油と砂糖を用いつつも味わいがベッタベタではないところです。
特筆すべき点はじゃこの柔らかさで、焼き、干してからじっくりと炊いているために特徴的な食感となっています。
そして、ふわっと漂う柚子の香りが爽やかです。
旧態依然とした街場寿司店でレモンを多用する文化が残っていますが、レモンは食材を超える香りが強いので、こちらは柚子である点が素晴らしいです。
ちなみに、付け合わせに紅生姜が付いており、しかもクラシカルな色合いの紅生姜でしたが……相性抜群です(笑)
全体的に頂いた良かったと思わされるレアな郷土寿司でした。
じゃこの魅力、即ちホロ苦さを活かす郷土寿司です。
こういった意外性があり、「そこでしか頂けない味」の料理に出会える事は実に幸せですね。
以下が、「じゅげむ」さんのお店情報です。
店名:じゅげむ
予算の目安:700円〜
TEL:0736-66-2023
住所:和歌山県紀の川市桃山町元328
最寄駅:下井阪駅から2,600m
営業時間:8:00〜17:00 ※売切れ次第終了なので、事前に電話確認が望ましい
定休日:火曜
見知らぬ郷土寿司に出会うとテンションが上がる、すしログ(@sushilog01)でした。
※本記事はNo. 150(2016年6月15日公開)に最新情報を追記しました
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