こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
今や鮨好きなら誰もが知り、日本が誇る名店「日本橋蛎殻町 すぎた」。
僕も杉田親方の仕事に惚れ込み、何回かお伺いしましたが、全く予約を取れなくなってしまいました。
そんな「すぎた」さんから、期待の職人が独立したと聞き、訪問しよう!と即座に決心。
しかし、8月30日のオープン直後に10月末まで予約一杯と言う桁外れの初速をマークし、早々に諦めていたところ、ブログの読者さんから誘って頂いて訪問が叶いました。
すしログ
「鮨処やまと」さんの親方・安井さんの鮨を頂いた感想としては、既に完成度が非常に高く、初速に納得しました。
そして、安井親方は杉田親方のもとでみっちり修業されただけあり、いわくつきの独立職人さん(数ヶ月で辞めたのにキャリアに記載するタイプの方)とは次元が違うと感じました。
「鮨処やまと」の親方・安井大和さんの仕事について
「鮨処やまと」の親方・安井大和さんは元々は和食の料理人で、銀座小十で4年間の修行をされた後、すぎたさんで5年の修行を積んだそうです。
その経歴から酒肴は料理の要素が強いのかと思っていましたが、実際には鮨店らしい質実剛健なものばかり。
これは嬉しいサプライズでした。
それでいて味付けや出汁の引き方に鮨職人とは異なる方向性を感じ、キャリアを活かされているように感じました。
「すぎた」さんの定番の酒肴も出されていますが、味は異なります。
独自の表現をされているのが素晴らしいですね。
そして、仕事で特に魅力を感じたのは〆の仕事です。
杉田親方と同じく名刺代わりの一貫目は小鰭で、春子、秋刀魚、カマス、小鰯など多彩なラインナップで魅せて頂きました。
特に秋刀魚の〆方には妙があり、他の方には無い独自性の高い魅力を感じた次第です。
おまかせは酒肴7品、握り15貫+玉子で構成され、握り中心です。
「握り原理主義者」を標榜している僕としては琴線に触れました。
生命線であるシャリはバランスタイプで長時間楽しませてくれます。
酸味がキリッと利いていて、塩気は強すぎず、粘度はそれなりにあるもののパラリとほどけます。
船底はあまり付けておらず、どっしりと存在感があるシャリです。
お酢の配合は杉田親方とほぼ同じとの事ですが、ちょっとアレンジされているそうで、それは自分も実感しました。
完全に同じではないのが素晴らしく、今後もご自身の鮨・シャリを追求して頂きたいと思います。
お疲れが見えたので、お身体に気を付けて欲しいと感じました。
「鮨処やまと」のおまかせの詳細
「鮨処やまと」さんのおまかせは、前述の通り酒肴7品、握り15貫+玉子で構成されています。
ビール小瓶1本と日本酒2合(半合ずつ4種類)頂いて税込み23,000円と言う価格は、昨今の鮨業界の中では素晴らしいコストパフォーマンスです。
仕事にも値付けにもお人柄が出ているように感じました。
入店から退店まで3時間半ほどかかったので、ペースについてはスローです。
とは言え、食べ疲れませんでした。
握りの技術が高い証左でしょう。
すしログ
なにせ米料理ですし、テンポが良い方が粋ってもんですよね。
この度頂いたお酒
- 岩清水
- 三諸杉
- 天賦
- 愛宕の松
銀杏
大ぶりな銀杏で、もっちりとした食感が魅力的で、美味しい。
鯛
香りが強く魅力的。
脂も乗っている。
寝かせは2日弱か?
しかし、ぷりぷり感はあり、旨味先行でない点が良い。
鰆
炙り加減が穏やかで、鰆の脂を率直に楽しませる。
鰹
漬け、和芥子。
肉厚で脂がノリノリ。
身の粒子がきめ細かく、ほどける。
脂だけでなく酸味も、あり味わい深い。
味わい的に間違い無く迷い鰹だと思われる。
真鱈の白子
さっと湯引きしつつ、ほぼ生に近い味を楽しませてくれる。
鰹が利いたスッキリ出汁を上品に合わせている。
蛸のやわらか煮
サクッと切れて、コリコリした弾力も楽しませつつ、ほろりとほどける。
これは杉田親方と異なる仕事。
絶妙。
香りが良く、下味の甘みも穏やか。
芯と表面の食感のギャップが極めて良い。
鮟肝
すぎたさんでも定番の酒肴。
牡蠣
産地は岩手。
火入れした物を海苔で和えて提供。
油も軽く使用している模様。
これは味付けの面で和食っぽい仕事。
ガリ
酸味、塩気、辛みがキリッと利いていて、甘みは弱く、爽やかなガリ。
小鰭
みしっと沈み、じゅわっと滲む小鰭。
酸味がやや強めで、キリッとした味わい。
さらに、香りが強め。
皮の食感を残しつつ、柔らかに切れる。
縞鯵
脂が乗っているので、シャリの酸味と乳化する。
香りも良い。
春子
昆布〆でしっとり且つ昆布の香りも馴染ませている春子。
鰆
軽い漬けでねっちりとした食感で、香りが残り香となって漂う。
酸味のあるシャリと合っている仕事だ。
鯵
身の方をサラッと酢洗いにして握る。
山葵、生姜、浅葱を別々に噛ませる。
滑らかな食感で、香りが良い。
脂そこそこながら満足度が高い味わいで、時期はずれの岩手産との事でちょっとビックリ。
鮪赤身
薄切りにして、漬けの仕事を施し、折りたたんで握る独特のスタイル。
喉で旨味を感じる赤身。
鮪中トロ
艶めかしい食感。
アッサリ目の味わい。
ただ、赤身中トロも旨味は喉に来る。
上品ながら旨味がどっしりした味の鮪。
秋刀魚
直前に酢洗い。
これは〆が上手い!
むっちりと脱水を行い、とろりととろけさせる〆加減。
秋刀魚の野趣ある香りは程よく楽しませる。
〆時間は10分ほど。
煮帆立
低温調理か?
ホロホロと柔らかいモダンな煮帆立。
漬け込みは穏やか。
煮帆立と言えばどっしりした味わいを期待してしまうが、その点は煮ツメの穴子の香りが強めなので調整出来ていると感じる。
車海老
茹で上げ。
みっちりと凝縮された食感で、甘みが強い。
優等生的な茹で上げの仕事。
シャリ温の調整もバッチリされていて、きめ細かい
カマス
〆で酢を浸透させたカマスを炙りで提供。
香ばしく、爽やかな感じに仕上げている。
小鰯
みしっとした〆が良い。
この時期の鰯なので脂が弱いが、旨味を活かす〆の仕事で感心。
海胆軍艦
味わいが濃いものの重くないのは季節ゆえか。
穴子
ホロホロした食感に、甘み強めの下味。
これはトレンドの仕事。
干瓢巻き 追加
おまかせに干瓢巻きが入っていなかったので、普及活動のため追加オーダー。
実は、鉄火巻(マグロ)よりも干瓢巻の方を嬉しがるべきだと思うのです!
なぜなら干瓢って、仕込みに手がかかり、食感や味付けによって千差万別。
鮨職人の思想が表れやすいもの?おまかせに入っていないことも増えてますが、残念すぎる…
よって、これより、干瓢普及活動を行うことを宣言します? pic.twitter.com/u0ZpgbqBmI— すしログ@鮨歴10年超えの食の求道者 (@sushilog01) August 4, 2021
食感は強めで、甘み抑えめ、醤油はキリリと割と強めに利いている。
よって、シャリの酸味が殊更に活きる。
スッキリ味で媚びたところの無い干瓢だ。
干瓢は是非ともコースに入れて頂きたいし、消費者諸氏も干瓢の魅力を再考頂きたい。
鮪(トロ)モリモリの太巻き(=脂)でキャーキャー騒ぐのは止めにして。
鮨は満腹感ではなく、綺麗な食後感が重要だと思うのだが…
玉子焼き
均一に火が入っていて、見事!
ふわしゅわな食感で構成されていて、層になっていない。
これは、実に良い。
海老の香りも良く、表面の香ばしさも魅力だ。
「鮨処やまと」の立地と雰囲気
お店は築地駅からほど近い場所にあり、夜は落ち着いている一角です。
それでいて人通りはあるので、うら寂しさはありません。
ビルの1階でもあるので、モダンです。
店内は落ち着いた雰囲気で、8席のカウンターは余裕があって優雅です。
店内のBGMはありませんが、ここ数年で最も静かなお店だったので、気づまりを覚えました。
鮨歴10数年にもかかわらず、謎の重圧感、緊張感でした(笑)
すしログ
これは、お弟子さんやヘルプがおらず、親方だけなのも影響しているのかもしれません。
お疲れも見えたので、お身体にお気を付けて頂きたいと思います。
「鮨処やまと」のお店情報と予約方法
予約については、すぎたさんと同じく電話のみです。
そして、翌月分を月初の1日に受ける方式なので、電話合戦に参戦して取るスタイルです。
店名:鮨処やまと(すしどころ やまと)
予算の目安:20,000円~25,000円
TEL:03-3543-6311
住所:東京都中央区築地3-7-2 第五銀座ウェスト築地ビル1F
最寄駅:築地駅から100m
営業時間:18:00一斉スタート
定休日:不定休
「すぎた」さんの記事
一部のお店への予約の集中に頭を悩ませる、すしログ(@sushilog01)でした。
本記事のリンクには広告がふくまれています。