こんにちは、焼鳥が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
今や誰もが知る焼鳥の名店中の名店、目黒「鳥しき」。
親方の池川 義輝さんは、間違い無く焼鳥の可能性を広げた職人さんです。
実は焼鳥は江戸時代から続くものの、途中、消滅しそうになった料理ジャンル。
ここにきて焼鳥の可能性が広がり、次々と面白いお店が生まれているのは、池川さんの功績が大きいと思います。
僕は「鳥しき」のオープン時に目黒で働いていましたが、すぐに予約困難店になり訪問出来ずにいました。
今回、お誘い頂いたブログの読者さんには心からお礼申し上げます!
念願の「鳥しき」の焼鳥は、ケタ外れの存在感でした。
目黒「鳥しき」の魅力とは?
親方の池川 義輝さんはもともと会社勤めをされていた方です。
27歳の時に営業職を辞めて、都内・郊外問わずに100軒以上の焼鳥店を食べ歩きされたそうです。
そして、最も感銘を覚えた中目黒の「鳥よし」に修行に入ります。
「鳥よし」は伝統的な鮨職人なみに厳しい修業だったようで、1年間は「追いまわし」で、鶏肉を触らせてもらえなかったそうです。
焼きが出来るようになるまでに要した月日は、4年半。
トータルで7年ほど修業され、「鳥しき」をオープンされます。
「鳥しき」には「四季」と「士気」が掛けられているそうで、素敵なネーミングです。
さて、この度、頂いて感じた特徴は下記の通りです。
- 超大ぶりのポーション
- 旨味が強い肉に、塩をバシッと利かせる
- 他に類を見ない串打ち
- 上記が織りなす上品なジャンキーさ
一串目の【かしわ】をつかんだ瞬間に「おお!」と驚きました。
ポーションが超大ぶりで、いかつい串打ちだからです。
そして、イメージとは裏腹に塩気が強くて驚きましたが、頂いていても喉が渇く事はありません。
旨味と両立しているためだと感じました。
この串打ちと焼きの技術は凄い。
なにせ串の上下で印象がガラリと違います。
串の下は焼き台の手前に当たり火力が弱いため、手前のポーションを小さくするのがセオリーですが、それにしても大きい。
この巨大な鶏肉を、旨味を凝縮させつつジューシィに仕上げる技術は見事だと感じました。
炭火と串の距離は非常に近く「近火の強火」が奏功しています。
池川親方の「近火の強火」は有名ですが、一般的に10センチ以上離して焼くのがセオリーのところ、恐らく1センチ強の場所で焼き上げられていて、見ていて驚嘆を覚えました。
運良く焼き台の真横の席で、本当に嬉しかったです。
驚くべき「近火の強火」であるのに、表面のコゲや焼きムラが無いところが凄い。
雄々しい串打ちを感動に昇華させる秘訣は、随時串を回転し続けて火入れする、焼きの技術であると痛感しました。
それゆえに池川親方は既に名声を勝ち得た今も、みずから鶏をさばき、串打ちして、一人で焼き続けるのだと感じました。
すしログ
池川親方が使用する鶏は、福島の伊達鶏です。
開店時に、全国の鶏を10種類くらい試して決めたそうです。
今でも3.5キロの伊達鶏を丸(と体)の状態で入手しているそうです。
これは一般的な伊達鶏よりも大型の個体のようです。
ご参考までに鶏の情報を下記にまとめます。
体重と出荷日齢となります。
- 伊達鶏(銘柄鶏):平均3kg、平均75日
「日本三大地鶏」
- 比内地鶏(地鶏):平均平均2.2kg、平均170日
- 名古屋コーチン(地鶏):平均2.3kg、平均125日
- さつま地鶏(地鶏):平均2.3kg、平均135日
焼鳥店で人気の地鶏と銘柄鶏
- 青森シャモロック(地鶏):平均2.98kg、平均110日
- 奥久慈しゃも(地鶏):平均2.35kg、平均140日
- 熊野地鶏(地鶏):平均3.1kg、平均115日
- 京赤地どり(地鶏):平均3.2kg、平均85日
- 松風地鶏(地鶏):♂3.2kg、♀2.2kg、平均180日
- 阿波尾鶏(地鶏):平均3.5kg、平均80日
- 媛っこ地鶏(地鶏):平均2.8kg、平均80日
- 天草大王(地鶏):平均4.0kg、平均123日
- 水郷赤鶏(銘柄鶏):平均2.6kg、平均70日
- 大山どり(銘柄鶏):平均3.2kg、平均53日
- 高坂鶏:平均5.0kg、平均130~180日
なお、池川親方は公式プロフィール写真が非常にいかついので、職人気質の頑固職人だと思っていました。
しかし、実際には極めて腰が低く、鮨を含めても驚くほど丁寧な職人さんでした。
技術、味だけでなく、サービスも一流店レヴェルまで高められたからこそ、歴史に名を遺す料理人になったのだと実感しました。
「鳥しき」のおまかせコースの詳細
「鳥しき」のおまかせコースについて、ご紹介します。
正確にはコース設定はなく、ストップするまで串が出続けるシステムです。
だいたい30種類ほど用意されているそうなので、無理せず頂くようにしましょう(笑)
僕は15串頂き、うち野菜串は4本だったので、心ゆくまで鶏を満喫しました!
この度頂いたお酒
- エビス生 650円
- AKAYANE 山椒スピリッツ 1,050円
- 麦焼酎天草 650円
香の物
香の物が自家製なのは手抜かりなし!
大根おろし
口直しの大根おろしはおかわり自由。
煮込みとバゲット
7種類の部位を使用し、煮込んだ後に数日寝かせた煮込み。
シチューのような濃厚な味わいに仕上げられている。
生姜と芥子をアクセントに用いる。
かしわ
もも肉。
軽いカリカリ感と香ばしさを楽しませ、しっとりした食感ともぎゅもぎゅした肉感が波状的に訪れる。
さらに、間の皮のくにゅりとした食感とにじみ出る脂のジューシィさがパンチになる。
タレで食欲を揺さぶりながら軽やかな味にまとめるタレの味わい。
一串目からインパクトが絶大だ。
砂肝
これまた巨大なポーション!
写真のパッと見は砂肝に見えない(笑)
思わず逆方面から撮ったところ、まさしく砂肝。
表面を強火で一気に焼いて凝縮させつつ、中はジューシィ。
食感と瑞々しさをパワフルに表現している。
凄い存在感!
鶏白湯スープ
濃厚な味わいだが、塩気は強すぎない。
鶉卵
トロトロではなく、しっとりな火入れ。
炭による燻香が強めにつけられていて、香ばしい。
皮
片面はさっくり、もう片面はしっとり仕上げている。
にゅるりとした口当たりなのに、生っぽくないのが凄い。
茄子
揚げ茄子のような焼き茄子で、トロトロ、甘い。
カッパ
やげん軟骨。
コリコリ感としっとり感、そして強い脂のコクに強めの塩…パンチ最強の軟骨!
食道
いわゆるリードヴォーとのこと。
くにゅくにゅ、コリッと気管支らしい食感の後に、濃密な食感にかわり溶ける。
凄いパンチで、ボリュームも凄い。
ハツ
これまた巨大でビックリ!
もちろん臭みなど無く、血の香りがふんわりと漂う。
酸味もごく軽い。
食感とほのかな香りと極々軽い血の余韻を楽しませるハツ。
銀杏
銀杏すら大きめで、もっちりしていて、甘みが強い。
これにも塩気をしっかりと利かせている。
せせり
もぎゅもぎゅと力強い食感。
筋肉の厚みが凄くて驚いた。
オクラ
雄々しい焼鳥の合間に現れる野菜は存在感が強い。
オクラも香ばしく焼き上げられていて、美味。
ちょうちん
金柑はレアに仕上げてトロットロ。
レバーと力強い繊維を感じさせる部位を合わせる。
セオリー通りだと卵管だが、力強くて判別に自信は無い。
じゃがバター
ねっちりと凝縮されていて甘い。
白レバー
とろ~んと甘く、燻香を強く付けている。
これも素晴らしい仕事。
厚揚げ
意外なところで厚揚げが登場。
つくね
軟骨が多めで王道を行くつくね!
ふわふわでジューシィ。
醤油の利いた甘み控えめなタレが良い。
鶏スープ
先程の鶏白湯とは異なりスッキリしつつ旨味が濃いスープ。
「鳥しき」の立地と雰囲気
お店は目黒駅から非常に近く、路地の奥まった場所にあります。
結構意外性のある立地です。
ついつい入りたくなるような、期待を高める外観ですが、ふらりと立ち寄ることはまず不可能です(笑)
店内はイメージよりも狭く、年季が入ったカウンターです。
昔の小料理店のような風情があります。
「鳥しき」のお店情報と予約方法
「鳥しき」さんは予約困難ですが、予約は開けています。
お電話で予約することが可能で、下記のルールとなります。
- 毎月最初の営業日に、2ヶ月先の月の予約を受け付け
- 予約電話は、17時から21時まで
また、21時以降の遅い回の予約は、1週間前の火曜に行っているそうです。
店名:鳥しき(とりしき)
予算の目安:お酒を飲んで10,000円ほど ※追加の本数次第
TEL:03-3440-7656
住所:東京都品川区上大崎2-14-12
最寄駅:目黒駅から140m
営業時間:17:00~23:00(最終入店 21:00)
定休日:月曜、日曜
※完全予約制です
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