こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
かつては一門を形成し、今はひっそりと鮨通の訪問を待つ銀座の名店、小笹寿し。
幾つかの仕事を編み出し、特に【あたり葱】は今や鮨店のスタンダードになっています。
実は小笹寿しが発祥だと知らずに使っている職人さんすらいらっしゃるかもしれません。
その小笹寿しの仕事を受け継ぐ職人さんが独立されている事を知った時は、興奮を覚えました。
お店の名前は「鮨もりなり」で、親方はのお名前は岡崎守成さん。
今回満を持して訪問したところ、非常にユニークな握りで、古典と独創を見事に合わせ持っていると感じました。
すしログ
コストパフォーマンスも抜群なので、鮨好きには是非とも訪問して欲しい一軒です。
評論家やメディアが紹介していないのが不思議なくらいです!
築地「鮨もりなり」の魅力とは?
築地の「鮨もりなり」のオープンは2017年7月となり、既に時が経過しています。
親方の岡崎守成さんは銀座「小笹寿し」で7年の修行を積んだ方。
築地で独立するに当たり、寺嶋親方のお墨付きを得たそうなので、正当な伝承者と言えます。
それゆえに【あたり葱】だけでなく、【小鰭と甘いオボロ】や【穴子のきじ焼き】など、「小笹寿し」らしい仕事を楽しませてくれます。
また、個人的に「小笹寿し」の系譜は【真鯛】が美味しいと思っていますが、「鮨もりなり」もご多分に漏れず、鯛を仕事で美味しく仕上げてくれます。
「小笹寿し」の系譜については以下の記事をご参照ください
岡崎親方は大柄な体格で、坊主頭にねじり鉢巻きと、見た目こそワイルドです。
しかし、実際には所作も物腰も、極めてマイルド。
握りは大ぶりなのに包丁や握りの所作が穏やかで、軽やかに繰り出されます。
シャリは米酢100%で、酸味が利いていて、お米の粒感が印象的です。
粒が立っていて、もっちり、ぱらりなシャリで美味しいです。
米酢の酸味にお米の甘みを合わせていて、親しみやすさがありつつ、端正な味だと感じました。
シャリの交換は親方自らが細やかに行っておられ、温度管理が良いです。
このあたりはモダンな鮨店らしさを採り入れていると感じます。
伝統的な仕事にモダンなシャリを合わせており、進化系の古典だと言えます。
なにも流行りのタネ(金目鯛やノドグロなど)を多用せずとも、古い仕事と新しいシャリを合わせれば、十分新しい表現が出来る事を伝えてくれます。
築地「鮨もりなり」のコースの詳細
夜の【にぎりのおまかせ】は、12貫9,900円、14貫12,100円、16貫15,400円で、【つまみとにぎりのおまかせ(つまみ5品とにぎり12貫)】は16,500円とリーズナブルです。
さらに、ランチの【おきまり】は破格です。
10貫5,500円、14貫9,900円と2つあり、僕は前者を頼みました。
当日のオススメを追加しようと言う魂胆だったのですが、なんと追加は1貫に留まり、11貫で満腹になりました。
こんなことは久々です(笑)
かなり大ぶりのシャリとタネで、江戸時代の趣すら感じさせます。
この度頂いたお酒
- ビアーデザミ 660円
- 雪の五合庵 1,320円
ビアーデザミは市販価格が620円以上なので、異様に安くて驚きました。
鮨、和食にも合うベルギービールです。
ガリ
甘みがありつつ、辛みが鋭く走り、酸味がスッキリと後味を引き締めるガリ。
鯛
バシッと脱水しているため、身はぶちりと切れる。
そして、繊維がねっちりとほどけ、シャリに絡む。
これは素晴らしい。
真鯛の脂が滲み、香りも高まり、鯛の美味しさを十二分に伝えてくれる。
古典仕事にモダンな酢飯との幸福な調和を見た。
メジマグロ
非常に厚切りでビックリ!!
直前に炙るスタイルで、これは嬉しい。
リーズナブルなランチでも手抜かりなし。
皮はサクッと切れて、身がとろり、ねっちりとほどける。
もう少し薄い方がシャリとの一体感は高まるが、メジマグロの旨味と酸味を心ゆくまで楽しめる。
春子
超ふんわり、しっとりした〆加減。
これは小笹の系譜で意外だ。
しかし、それでいて水っぽくない。
オボロ噛ませて甘みを付け、昆布っぽい香りもうっすらと感じさせる。
鮪赤身
漬けの仕事で、ねっちり、とろりとした食感に。
酸味や香りは穏やかで、旨味が先行し、後から血の香りが高まる。
鮪中トロ
大トロのような脂と柔らかさの中トロだ。
産地は海外か?
香りが近海のクロマグロと少し異なる気がした次第。
脂だけでなく酸味も有り、良い。
小鰭
大型のナカズミサイズ。
産地は九州との事。
小鰭は既に子持ちも出てきているそうで、気候の変動を実感する。
〆加減は強めで、みっしり、もぎゅっとしていて、お酢の酸味も浸透させているが、脂が多いので酸味やオボロの甘みとのバランスが絶妙。
大型なので皮目には包丁を細かく入れて皮の食感を緩衝している。
オボロの魅力を再認識させてくれる小鰭の握りだ。
白子軍艦
ごく軽く炙ってからポン酢で和えている模様。
これは意外な軍艦だ。
海胆とイクラの小丼
海胆は小川の海胆。
イクラの皮は厚みがあるが、ランチのお決まりで出されるとは、嬉しい組み合わせだろう。
1貫550円換算のお決まりなのに、海胆が美味い。
軍艦よりも少量の提供方法で、上質な海胆を楽しませようと言う配慮を感じる。
槍烏賊
岩塩により、甘みが引き立つ。
細切りにして、端切れを良くする仕事も奏功している。
穴子
「煮穴子の炙り」とのご説明であったが、小笹名物の【穴子のきじ焼き】に酷似している。
まずは岩塩で頂く。
身がふっくら、しっとりしていて、純粋な煮穴子のトロトロふんわりとは異なる魅力がある。
穴子の香りを楽しめる仕事だ!
穴子
次は煮ツメで頂く。
海苔、山椒、煮ツメの組み合わせは、上質なステーキに匹敵する魅力がある。
炙りによる香ばしさとサクッと感に、煮ツメが最高の相性だ。
椀
貝類の旨味と甘みのある吸い物。
どうやら鮑の蒸し汁と蛤の煮汁を出汁にしているそうだ。
味付けは酒と塩のみ。
と言う事は、甘みは蛤由来となり、これはインパクトがある。
蛤 追加
しっとりと柔らかい火入れで、食感はシャクシャク。
蛤の旨味と風味が立ち、余韻が強い煮蛤。
実に滋味深い。
旨い。
どうやら、漬け込みは軽めにして、提供前に開いた状態で煮ツメに漬ける仕事のようだ。
細部で独自性を表現されているのは素晴らしい。
トロ鉄火巻き
中トロと赤身の両方の良さを楽しめる。
歯切れの赤身を付けてくれるところなど、下町的なサービスも嬉しい(笑)
玉子
2種類の玉子焼きをご用意されているとは珍しい(カステラ+出汁巻き玉子ではなく)。
山芋の有無で、無しの方は卵の甘みをピュアに楽しめる。
山芋入りの方は、正に小麦粉を使わないカステラそのもので、ふわんふわん。
山芋の香りを楽しませるところに、スイーツに振り切らず、鮨の範疇に収める気概を感じる。
芝海老を始めとする魚介類は用いず、卵と調味料のみで作る玉子焼きだ。
築地「鮨もりなり」の立地と雰囲気
「鮨もりなり」は築地のビルの地下1階にありますが、明るくて開放感があります。
その理由は、入口から入ってすぐの天井高が高いところと、美術作品が飾られているためです。
岡崎親方の御父上は、岡﨑画廊を経営されているとのこと。
それゆえにお店に作品を飾り、お客さんに芸術も楽しんで頂こうと設計されたそうです。
カウンターはL字で、席と席の間隔は広めです。
築地「鮨もりなり」のお店情報と予約方法
WEB予約については、一休と食べログ経由で可能です。
店名:鮨もりなり(すしもりなり)
シャリの特徴:米酢100%で、お酢の酸味とお米の甘みが見事に一致するシャリ。米粒がもっちり。
予算の目安:ランチの【おきまり】10貫5,500円、14貫9,900円、夜の【にぎりのおまかせ】12貫9,900円、14貫12,100円、16貫15,400円
TEL:03-6264-2235
住所:東京都中央区築地2-14-3 NIT築地ビル B1F
最寄駅:築地駅から200m
営業時間:12:00~15:00 (L.O 14:00)、18:00~22:30 (L.O 21:30)
定休日:水曜
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