こちらは風光明媚な彦根城のお膝元にあり、創業1809年、彦根で200余年の歴史を誇る老舗の和菓子屋さんです。
彦根城とひこにゃんショー(笑)を観た後に寄ってみました。
こちらの看板商品は【埋れ木】。
白餡(手芒豆)を包んだ求肥を和三盆と抹茶でコーティングした生菓子です。
名称の由来は井伊直弼が青春時代に過ごした「埋木舎」が由来。
井伊直弼と言えば、安政の大獄と桜田門外の変が想起される存在だと思いますが、彦根の青春時代を調べると、興味深いエピソードが散見します。
埋木舎(うもれぎのや)とは、自身を生涯花の咲く事がない埋もれ木に例えた自身の宅で、32歳までの間、そこで世捨て人のように過ごしていたそう。
そこで茶道を極め、和歌、禅、居合などに通じたというマニアックっぷり。
そのような井伊直弼の思い入れがあった家屋を和菓子の名前につけるとは、何とも粋ですね。
【埋れ木】の魅力とは、和三盆と抹茶の合一に尽きる。
和三盆が持つ上品な甘みと独特の香りが抹茶と非常に合っており、お互いが主張し過ぎず相手を活かす。
ともに強い風味を持つ素材でありながら、行き過ぎたところがありません。
軽やかな風味が持ち味です。
しかも、それでいて餅の食感がほのかに硬めなのが良い。
全体的に上品になり過ぎておらず、甘み、香り、食感のバランスに長けております。
そして、もう一つの銘菓が、益壽糖(えきじゅとう)。
求肥の周りに打ち粉ではなく和三盆をまぶした御菓子です。
こちらは予約販売となり、しかも注文から1週間程掛かると言う代物。
頂いてみると、極めて素朴な御菓子にも関わらず、非常に味わい深い。
噛み締めると広がってゆく印象深い味わいは、和三盆のお陰であり、求肥の食感にも目を瞠る技が活きております。
かなり通好みの御菓子となりますが、和菓子好きならば試したい味わいです。
全国的には知られていないけれども、これは本当に美味しい御菓子ですね。
城下町には隠れた名物和菓子があるので、城巡りを止められないのかもしれません。
店名:いと重菓舗(いとじゅうかほ)
予算の目安:10個1,440円
最寄駅:彦根駅から1,300m
TEL:0749-22-6003
住所:滋賀県彦根市本町1-3-37
営業時間:8:30~18:00
定休日:火曜
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