こちらは札幌中心街から少し離れたサッポロビール博物館(苗穂 or バスセンター前)の近くにある老舗です。
創業は1934年(昭和9年)と、札幌では断トツの歴史。
(知名度では最高峰であろう、すし善さんが1971年となります)
店内は昔の風情を残しており、お客同士が肩を寄せ合って頂くところも、今になってはあまり体験できない街場寿司の味わい。
こちらは雰囲気こそが最大の魅力だと感じました。
そして、優しさは雰囲気だけでなく、お会計も然り。
一番高いおまかせが16貫で5,600円。
もっとリーズナブルなコースもありますので、ランチは予約必須な程に人気となっております。
僕はもちろん、東京からなので16貫にしました。
こちらのシャリは味付けが穏やかで、酸味も塩気も優しく、甘みがあります。
オーソドックスな酢飯だと思いますが、温度が非常に低い点は好みを分けるかと思います。
僕は個人的に、現代的あるいは当世流の「鮨」であるか否かは、シャリによって決定付けられると感じます。
とりわけ、温度と硬さは生命線。
酢の酸味、塩気、甘みと言った味付け以上に、舌が敏感に反応する温度と硬さは握りの印象を決定付けます。
味付けがオーソドックスであっても、温度と硬さが良く、軽やかにほどける酢飯であれば、食の満足度は一気に高くなり、美味しさの連鎖を生み出す事になります。
今回は二番手の方に担当頂きました。
まず、隣の親方の握りを見てみると、手数は少なく6手ほどで、捨てシャリと掌ポンはされていません。
二番手の方の握りも非常に親しく、こちらの握りの印象は、上記のシャリによって規定されていると感じました。
また、親方が常連さん4人を相手にされているところ、二番手さんは6人以上対応されており、頼れるポジションを担っておられました。
頂いた握りは下記の通りです。
ガリ
甘みがあり古典的な感じだが、辛みも強い。
鮃
昆布〆。寝かせてから〆ているのか?
身はホロッと柔らかく、老舗の〆の仕事としては意外。
(しっかりと〆て、みっちりした食感である事が多い為)
北寄貝
網で炙っており、香ばしさの後に甘みが来る。
アラ汁
ジャガイモが入っている点は北海道らしい。
これはこれで嬉しい。
帆立
手割き。甘くて美味しい。
ツブ貝
香りと甘みが弱い。
しかし、シャリの温度が上がり、交換か!?と期待が高まった。
鰹
藁で燻したものを、塩で。
ねっとりと旨く、藁の香りも良い。
タネを室温に馴染ませ、温度を上げると更に良いかと。
鰤
知床産。脂がかなり乗っており、酸味もあって美味い。
ただ、シャリがまた冷たくなり、気になる。
ズワイガニ
ストレートに美味しい。
が、腱(透明のスジ)が入っていたのが、気になる。
鮪赤身
漬け。包丁を入れて軽く筋を断つと更に美味しいかと。
鮪中トロ
端を炙り、細切りの壺漬を噛ませる。
壺漬の存在は謎だが、炙りが良い。
香ばしさを付加している。
スルメイカ
三升漬けと供する点が北海道らしい
(三升漬け→唐辛子と麹、醤油を漬け込んだもの)
とろとろで甘いスルメイカに、青唐辛子の香りと辛味がぴったり合っている。
秋刀魚
〆の塩梅が中々で美味いものの、矢張り低温が気になる。
穴子
炙ってタネの温度が上がる事で、シャリの低温が余計に気になってしまう悲劇。
蝦蛄
香り良く、美味しい。
穴子よりも厚みがあるので、シャリの低温が少し緩和される。
いくら軍艦
ねっちりと強めに漬け込んでいるが、塩気は穏やか。
不格好なのが気になる。
海胆
シャリ玉を整形して海胆を詰める、おにぎり。
海胆は低温のシャリだと辛いところ。
甘海老の頭の塩辛
塩辛部分を軍艦の酢飯で拭って頂くと言う、創作的な一品でフィニッシュ。
「面白さ」はあるが、一体感には欠ける。
店名:金寿司(きんずし)
シャリの特徴:オーソドックスな味わいで、冷たいシャリ。
予算の目安:にぎり梅1,500円〜おまかせ16貫5,500円
最寄駅:バスセンター前駅から850m
TEL:011-221-2808
住所:北海道札幌市中央区北2条東7丁目
営業時間:11:30~21:20
定休日:日曜
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