
こんにちは、「日本鮨酒文化振興協会」代表の、すしログ(@sushilog01)です。
この度、白金高輪の名店「蓮香」さんで日本酒ペアリング会を行いました。
前回の開催は2023年7月だったので、約2年半ぶりとなります。
この間に日本醸造協会の「実践唎酒セミナー・清酒編」を受講し、「WSET Level 3 Award in Sake」を取得するなど、日本酒ならびに日本酒ペアリングに向き合ってきました。
その結果、前回以上に精度が高く、個性的なペアリングになったと実感しました(小山内シェフにもそのように言っていただけました!)。

ベテランの日本酒通の方に喜んでいただくとともに、ご参加いただいた鮨職人、中華料理人、酒造のプロの方々にもご満足いただけたのは心から嬉しかったです。
これからも「なんとなく合う」にはせず、理論化や言語化を行いながら実践してまいります!
コラボして頂ける職人さん、料理人さんがいらっしゃいましたら、ウェルカムです。
ぜひとも一緒に楽しい世界を切り開きましょう!
なお、当日は妻に燗酒を担当してもらいました(妻はJ.S.A. SAKE DIPLOMA、日本醸造協会「唎酒マイスター」所持)。
配偶者となりますが、深く感謝します。
妻のお陰で、プロの方々にも喜んでいただけるペアリングを実現できました。
タップできる目次
- 今回の日本酒ペアリングのお酒とイメージ
- 「蓮香」で行った日本酒ペアリングの内容
- 1. 前菜5種 × 吉川醸造「雨降 酒界先導師」冷酒
- 2. 自家製干し肉、青菜強火炒め × 三輪酒造「神雷 特別純米酒」燗酒55℃
- 3. 龍口式タコとニラの焼ギョーザ、雲南ポルチーニ入り春巻 × 今田酒造本店「海風土」冷酒
- 4. 海茸粉絲 × 土田酒造「土田 生もと」常温
- 5. 青島の干し大エビ(烤虾)・白菜の炒め煮 × 土田酒造「土田 生もと」ぬる燗40℃
- 6. 黒三剁(ヘイサンドゥオ) × 都美人酒造「うさぎ 山廃純米原酒3年熟成」常温
- 7. 家郷酸菜魚 × 平六醸造「Layer 洋ナシ 1年熟成」冷酒
- 8. 酸筍肉絲 × 水戸部酒造「山形正宗 まろら」冷酒
- 9. 三年物海老味噌、卵の焼きソバ × 大倉本家「大倉 山廃特別純米 2024/06BY」燗酒50℃
- 10. 雲南式まつたけ御飯 × 土田酒造「土田 生もと」燗60℃
- 「蓮香」のお店情報と予約方法
それでは、まず、今回の日本酒ペアリングで用意したお酒を紹介します。
そして、ペアリングのイメージをお伝えします。
まず、今回は8種類のお酒を選びました。

- 吉川醸造「雨降 酒界先導師」 (仕入先:SAKE BASE)
- 三輪酒造「神雷 特別純米酒」 (仕入先:君嶋屋)
- 今田酒造本店「海風土」 (仕入先:酒蔵)
- 土田酒造「土田 生もと」 (仕入先:酒蔵)
- 都美人酒造「うさぎ 山廃純米」 (仕入先:地酒屋こだま)
- 平六醸造「Layer 洋ナシ 1年熟成」 (仕入先:地酒屋こだま)
- 水戸部酒造「山形正宗 まろら」 (仕入先:酒蔵)
- 大倉本家「大倉 山廃特別純米 2024/06BY」 (仕入先:地酒屋こだま)
そして、お料理と日本酒の組み合わせは以下のとおりです。
- 前菜5種 × 吉川醸造「雨降 酒界先導師」冷酒
- 自家製干し肉、青菜強火炒め × 三輪酒造「神雷 特別純米酒」燗酒
- 点心:龍口式タコとニラの焼ギョーザ、雲南ポルチーニ入り春巻 × 今田酒造本店「海風土」冷酒
- 海茸粉絲 × 土田酒造「土田 生もと」常温
- 青島の干し大エビ(烤虾)・白菜の炒め煮 × 土田酒造「土田 生もと」ぬる燗
- 黒三剁(ヘイサンドゥオ) × 都美人酒造「うさぎ 山廃純米原酒3年熟成」常温
- 家郷酸菜魚 × 平六醸造「Layer 洋ナシ 1年熟成」冷酒
- 酸筍肉絲 × 水戸部酒造「山形正宗 まろら」冷酒
- 三年物海老味噌、卵の焼きソバ × 大倉本家「大倉 山廃特別純米 2024/06BY」燗酒
- 雲南式まつたけ御飯 × 土田酒造「土田 生もと」燗酒
「土田 生酛」は温度帯で味わいが大きく変わるので、3つの温度帯で提供しました。
参加者の方の多くが驚きと喜びを感じていただいたようで、これは嬉しかった!
やはり、日本酒は温度帯を変えてペアリングしてこそ、真価が発揮されます!
そして、全体を通してのペアリングのイメージは以下のとおりです。
- 全体として、味覚の同調だけでなく、味覚の相補や油脂のマスキングを狙う。
- 温度の起伏と酸の起伏を意識する。
- ワインとは異なるお酒の甘味、旨味に向き合いつつ、メリハリを付ける。
さらに、お酒選びで重視した点は以下のとおりです(前回同様)。
- 日本酒ありきではなく、お店の料理を活かすペアリングを行う
- ベタな方向性で銘柄で選ばない(あくまでも味覚で選ぶ)
- 日本酒の多様性をお伝えする(多様な造りのお酒を選ぶ)

ペアリングは十人十色の魅力があるものです。
自身は食べ歩きのプロとして、食べ歩いてきた経験をもとに、味覚と意外性を最も重視しました。
お店によっては「日本酒ありきの料理」を作ってペアリングされていますが、僕は料理ありきのペアリングを目指し、あくまでもお店の魅力を最大化するためのペアリングを行いたいと考えている次第です。

それでは「蓮香」さんで頂いたお料理と日本酒ペアリングの内容を紹介します。
料理の写真は日本酒との相性検証の際にご用意いただいたものです。
お客さまへ提供したお料理とは見た目、ポーションが異なりますので、ご了承ください!

・特定名称:純米酒
・原料米:はるみ(神奈川県・伊勢原市産)
・酵母:無添加、蔵付き乳酸菌、水酛仕込み
・精米歩合:非公開
・アルコール度数:15%
「前菜5種」については、以下の3品です。
- 冬サバ プーアル茶スモーク
- 黄瓜とチワン族醤オリーブ風味
- トラフグの皮・木姜オイルソース
- 水豆豉と白ネギ貴州式香り合え
- 自家製腸詰・馬告スパイス



・味覚と香りが異なる料理を幅広くカバーする
・お酒の乳製品的な香りとまろやかな味わいによって、全てのシンクロ率が高い同調を実現する
・油脂や旨味を受け止めつつ味わいに連続性のあるペアリング
・爽快感を泡とキレで表現。中華なのでオイルを使うため味覚的な清涼感だけだと不十分。発泡性で奥行きのあるお酒を選択

・特定名称:特別純米酒
・原料米:八反錦
・酵母:KA1-25
・精米歩合:60%
・アルコール度数:16〜17%

そして、お酒を合わせる意図については、以下のとおりです。
・燗酒でお酒の旨味を同調させつつ、前半なのでオイルを流すことを目的とする
・「柔らかい米の旨味とシャープなキレ」を両立させる神雷でペアリング。収斂味でオイルや後味を切る
・55℃の温度も相まって、お酒のブドウ様の香りが高まりラーロウの八角の香りともバランスが合う

・特定名称:純米酒
・原料米:国産米
・酵母:広島県酵母
・精米歩合:麹米 :60% 掛米 :70%
・アルコール度数:13%


そして、お酒を合わせる意図については、以下のとおりです。
・タコの香りと食感にサプライズがある餃子。レモンを軽くしぼるイメージで富久長の海風土!甘味や旨味が控えめで、酸味を加えてくれる。そして前後の流れをスイッチしてくれる
・春巻は甘味がある餡にブラックペッパーの香りと辛味があるので、クエン酸の酸味を加えると味わいに広がりが出る
・タコともポルチーニとも、香りと味わいの両面でネガティブな反応はゼロ
・熱々の揚げ物にはスッキリ冷たいドリンクでしょ!

・特定名称:純米吟醸酒
・原料米:群馬県産米
・酵母:協会701号
・精米歩合:60%
・アルコール度数:14%

そして、お酒を合わせる意図については、以下のとおりです。
・ニンニク、辛味、オイルをまとう存在感のある料理。よって、ボディの旨味を合わせつつ、自然な酸味を加えるため生酛を常温でペアリング
・燗酒にすると甘味と旨味が高まり、酸味が薄れてシンクロ率が下がるための常温

・特定名称:純米吟醸酒
・原料米:群馬県産米
・酵母:協会701号
・精米歩合:60%
・アルコール度数:14%

そして、お酒を合わせる意図については、以下のとおりです。
・まずはお酒の温度による味わいの変化を楽しんでいただく
・50℃まで上げてから40℃のぬる燗でドンピシャ!熱燗で重たくしすぎず、甘味のバランスを取る。60℃だと甘味が強すぎる
・同時にこれもまた生酛の乳酸を加える。白菜は酸菜にするぐらいなので、乳酸との相性が良い。白菜の甘味と海老の強烈な旨味とバランスを取るお酒と温度の選択、酸味が料理をブーストさせる。
・生酛、山廃の燗酒は温度を上げれば美味しくなるわけではない。モダンに仕上げる燗酒が現代においては最良である。

・特定名称:純米酒
・原料米:麹米:五百万石(兵庫県豊岡産)、掛米:一般米(兵庫県産)
・酵母:無添加
・精米歩合:70%
・アルコール度数:18%

そして、お酒を合わせる意図については、以下のとおりです。
・味わいだけでなく香りも合わせるペアリング。寝かせたお酒のドライフルーツ的な香りを添える。香りのペアリングは日本酒ペアリングで弱いが、今後メジャーになって欲しいため
・味覚もヘイサンドゥオの存在感を残しながら合う。甘味、旨味と酸味がバランス良く合う

・特定名称:純米酒
・原料:米、米麹、発芽玄米、洋ナシ果汁(全て岩手県産)
・酵母:非公開
・精米歩合:麹米50% 、掛米90%(発芽玄米除く)
・アルコール度数:14%

そして、お酒を合わせる意図については、以下のとおりです。
・希少なクラフトサケの熟成酒
・酸菜魚に酸味と旨味、油もあるので、洋ナシの甘酸っぱさを加える
・この料理には干しブドウ、干しアプリコットなどの香りが合うので、お酒で要素を加える方向性
・酸味を同調させつつ香りを加える香りのペアリング。クラフトサケの美点を活かす。
「クラフトサケに苦手意識を持っていた」と言う方から「初めて美味しいと思った!」と言っていただけたのは望外の喜びでした。

・特定名称:純米吟醸酒
・原料米:出羽燦々(山形県産)
・酵母:非公開
・精米歩合:60%
・アルコール度数:15%

そして、お酒を合わせる意図については、以下のとおりです。
・お料理の特徴は辛味に発酵タケノコの酸味、ピリピリした麻
・リンゴ酸を乳酸に変えるマロラクティック発酵の日本酒。発酵段階で生成する「ラクトン」で辛味(カプサイシン)を和らげ、まろやかに感じさせる。ラクトンの辛味を中和する能力が凄い!(エビデンスがあり、月桂冠の研究所が学会発表を行っている)
・味覚的にも、お酒の酸味とまろやかな甘味が緩衝しながら包み込んでフィニッシュへと導く
・タケノコが持つ発酵の良い意味でのクセと塩味を酒が包む優しい後味

・特定名称:純米酒
・原料米:備前朝日(岡山県産)
・酵母:きょうかい701号
・精米歩合:60%
・アルコール度数:17%

そして、お酒を合わせる意図については、以下のとおりです。
・香り高い醤の味に炒り卵が優しい印象を与える。コースの終盤であることと、発酵エビ味噌が濃厚であることを考えて重さを合わせる設計。それでいて酸味を料理に加える
・終盤に重たくしすぎない燗酒

・特定名称:純米吟醸酒
・原料米:群馬県産米
・酵母:協会701号
・精米歩合:60%
・アルコール度数:14%

そして、お酒を合わせる意図については、以下のとおりです。
・日本の松茸ご飯とは異なり油(フライドエシャロット由来)を用いてコクが加えられているので、同調させつつ軽く酸を加える
・土田がバランス取れる。60℃まで上げた土田の甘味が活きる。程良い甘味のバランスで、さらに酸を添えてくれる
・なお、大倉は麺で感じた一体感が損なわれ酒の甘味、苦みがお料理を超える

日本酒ペアリング会については、小山内シェフから「またやりましょう!」と頂いたので、ご期待ください!
中華と日本酒のペアリングを真面目に追求します!
「蓮香」のお店情報と予約方法
「蓮香」さんのお店情報は以下のとおりです。
人気店なので、余裕を持って予約をされてください。
店名:蓮香(レンシャン)
住所:東京都港区白金4-1-7
最寄駅:白金高輪駅から700m
TEL:03-5422-7373
営業時間:18:30~21:00(L.O)
定休日:不定休
日本酒ペアリングは本当に奥深いので、これからも追求していきます!
すしログ(@sushilog01)でした。
本記事のリンクには広告がふくまれています。
