歴史ある建物が現存する山間の街、小川町(おがわちょう)。
こちらの街には二大名物料理があります。
即ち、割烹旅館福助(1855年創業)さんの【女郎うなぎ】と、割烹旅館二葉(1748年創業)さんの【忠七めし】。
この度ご紹介するのは、後者の【忠七めし】です。
【忠七めし】は1939年に宮内庁により選定された「日本五大銘飯」に数えられ、今なお昔と同じ味わいを楽しませてくれます。
ちなみに、「日本五大銘飯」とは他に、大阪府難波の【かやくめし】、島根県津和野地方の【うずめめし】、岐阜県可児の【さよりめし】、東京都深川の【深川めし】となります。
全てに共通するところは、知らなければどんな料理なのか分からない点でしょうか。
割烹旅館二葉は前述の通り260年超の歴史を誇り、北辰一刀流に通ずる武士であり粋人であった、山岡鐵舟ゆかりの宿。
有形文化財の建物を2棟有し、お昼に伺うとちょっとした旅気分を味わえます。
実は過去にもお伺いし、千円台後半の【松花堂】を頼んだことがあるのですが、こちらはかなりお粗末な内容でした。
ハンペンの青海苔揚げ、ポテサラ、冷凍モノの刺身、粉末山葵…
看板の【忠七めし】以外は「割烹旅館」と呼ぶには残念なクオリティでした。
しかし、この度リニューアルされたようで、イメージが一新。
ハッキリ言って、【松花堂】とは別物の満足感を抱きました。
コースは3,500円の【ミニ会席】からとなりましたが、英断だと感じます。
中途半端なものを出して名声を貶めるよりも、お値段が張っても上質なものの方が格段に良い。
【ミニ会席】は素材に季節感があり、料理ごとに出汁も使い分けており、過剰な期待さえ抱かなければ雰囲気も含めて中々の満足度。
水菓子だけ前回の悲哀を呼び起こすクオリティでしたが、全体的には〆の【忠七めし】を頂くまでに盛り上げてくれる構成でした。
頂いた御料理は下記の通りです。
空豆豆腐と菜の花
春らしい一品が出て、嬉しい。
山葵も本山葵を直前に摺り下ろしたもので、ホッと安心。
春菊と山菜のお浸し
山菜はわらび、わけぎ。
海老真薯の椀
全体的に出汁が中々だと感じました。
お造り
カンパチを寝かせて旨味を引き出している。
山葵は本山葵を使用し、少しだけ砂糖を混ぜている。
八寸
鯛の西京焼き。白酒に桜粉を混ぜたソースを使用しており、桜が香る。
忠七めし
海苔の香りと出汁を楽しむ料理。
頂いた感想としては、素朴ながらに工夫に富んだ料理だと感じた。
出汁は昆布の旨味が強く、淡い鰹の風味。
塩気は結構利かせており、シンプルな味付けながらに箸を進める。
海苔は上等なものではないけれど、むしろ、さっぱり目だからこそ主張が少なく出汁に合う。
また、薬味の柚子(地産らしいです)が良い感じに味をまとめてくれます。
添えられた山牛蒡と浜納豆も良きパートナー。
限られた素材を組み合わせる事で作り出される妙があり、質素な中に喜びがありました。
鐵舟の「剣・禅・書」を表すだけある…かもしれません。
食後は庭園でリラックス
店名:割烹旅館二葉(かっぽうりょかんふたば)
予算の目安:ランチ3,500円
最寄駅:小川町駅から360m
TEL:0493-72-0038
住所:埼玉県比企郡小川町大塚32
営業時間:11:30~14:00、17:00~20:00
定休日:月曜
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