こちらは大塚で創業60年超を誇る江戸前鮨の老舗です。
昔ながらの割烹が点在するエリアにあり、外観が極めて渋い。
ひなびた雰囲気の一戸建ては、古く良き鮨屋を偲ばせ、心に響くものがあります。
しかし、内装はあたかも街場の寿司店です。
カウンターがメラミン化粧板とは驚きました(笑)
しかも、お店の奥からお婆ちゃんの声が響いてきます。
個人的にはかなり琴線に触れる空間です。
お昼のお決まりは1,300円、1,800円、2,500円、3,500円と、
バリエーション豊かかつリーズナブル。
謎に、ちらし寿司が4,000円です。
価格帯を見て逆にちらし寿司が気になりましたが、握りに魅入られている自分はお決まり3,500円を…
3,500円で8貫と巻物だったので、価格の差はタネのクオリティでしょうか。
こちらのシャリは、温度が良いです。
老舗は結構冷たいことが多いものの、人肌にコントロールされており美味しい。
やや柔らかめでしたがさして気にならず、塩気、酢は控えめ。
穏やかな味わいながらに温度が良いので、気持ち良く頂けます。
また、ガリも甘みが極めて低く、シャキッとした食感で美味しい。
シャリ、ガリを見て、当店の個性を確認できました。
頂いた中では、煮ものが旨く、〆も個性的な仕事。
穴子が素晴らしく、昆布〆にする春子なども結構珍しい味わいでした。
墨烏賊
少ない包丁でパツッと切れる良い食感。
鯛
厚切りで柔らかな食感。
身の締まりには欠けますが、皮目を残して旨味を楽しませる。
車海老
茹で置きですが、中々良い歯切れです。
鮑
トコブシでしょうか。
生ですが、ほど良いコリコリ感で、舌に障ることは無いです。
旨味はしっかり。
鮪中トロ
時期的なものもありますが、赤身よりもコクと香りに秀でております。
白魚軍艦
白魚特有の、ほのかに漂う爽やかな苦味。
海胆
はだてですが、少し苦味(ミョウバンによる収斂味)を感じました。
鉄火巻き
前の二貫でも感じましたが、中々美味しい海苔です。
小鰭
浅めの〆で、香りは爽やかに、ジューシーな旨味を立たす。
春子
これも浅めの〆で、小鰭よりも浅いでしょうか。
ふんわりとした食感が美味。
酢と塩で〆るのが一般的ですが、こちらは昆布〆と独特の仕事です。
蛤
食感と旨味を残した火入れに、深い味わいの煮ツメを。
蛤自体も中々良いものを仕入れているように感じます。
煮ツメも仕事に合ったほど良い濃厚さ。
穴子
白眉。炙らない穴子。
穴子の香りを立て、脂を旨く食わせる火入れ。
柔らかく蕩けます。
都合、3,500円のお決まりに4貫追加して、5,670円。
内容を考慮すると満足度が高く、渋すぎる雰囲気が気にならなければオススメのお店です。
こういった質実剛健な江戸前仕事を楽しめるお店こそ、若者にも行って欲しいなと思います。
同じく大塚にある高勢さんが独創的な仕事を施すのに対し、こちらは江戸前のストレートな仕事を楽しめるお店です。
店名:鮨勝
シャリの特長:塩気、酢が控えめで穏やかな味わいながら、温度が良好なシャリ。
予算の目安:1,500円〜8,000円
最寄り駅:大塚駅から170m
TEL: 03-3941-4639
住所: 東京都豊島区南大塚1-53-5
営業時間:11:30~22:00
定休日:日曜、祝日
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