※2020年3月31日に閉店されてしまいました。
こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
こちらは数々の食通の方から愛され「沖縄随一」とも言われた、「琉球料理乃山本彩香」を引き継ぐお店です。
本記事を書くにあたり、山本彩香さんの事を調べたところ、琉球料理史のみならず戦後史として大変興味深いエピソードを見つけたので、ご紹介させて頂きます。
長く、少し重たい話となりますが、こちらのお店の記事の前もしくは後に読んで頂ければ、琉球料理の魅力を一層知って頂けるのではないかと思います。
ほぼ日刊イトイ新聞 – ぼくは見ておこう「450年の記憶」
1. https://www.1101.com/watch/2009-09-01.html
2. https://www.1101.com/watch/2009-09-07.html
さて、山本彩香さんが引退された現在は、小林清高さんがお店を継がれております。
お店の特徴としては、今や出すお店が限られていると言う琉球の宮廷料理を、家庭的なアレンジを加えた上で、カジュアルに頂けるところだと感じました。
今回の沖縄訪問で琉球料理に絞って数軒お伺いしましたが、こちらは「いつもとは違う沖縄料理」を食べてみたいと思ったならば、アクセスも含めて最も訪問しやすいお店となります。
お店は通りから少し入った住宅街にあり、雰囲気はざっくばらん。
当日午前までに予約さえしていれば、非常に入りやすいお店となります。
なお、コースの内容は下記となります。
- 豆腐よう
- 黒糖もろみ酢
- みぬだるセット
- ゆし豆腐
- ゴーヤーの白和え
- どぅるわかしー
- ビラガラマチ
- ジーマーミ豆腐
- すーちきー
- ソーミンたしやー
- らふてー
- どぅんはん(豚飯)
- 漬物
- しーくびー(西国米)
料理名を見ただけで、ワクワクしませんか?
まずは、とオリオンビールから始めました。
ただ、こちらや他のお店を回って確信しましたが、琉球料理のコースでは、最初から泡盛を頂いた方がマリアージュ的に優れております。
一品目に【豆腐よう】が出てくることが多いのですが、ビールでは豆腐ようが持つ甘みを引き出すことが出来ないように感じます。
豆腐よう
豆腐ようは琉球王朝時代の18世紀に中国から伝わった豆腐乳を元に作られた料理。
こちらの豆腐ようは細かく刻んだ島豆腐を泡盛に4ヶ月漬け込まれているそう。
ふくよかな甘みの後に泡盛のコクと苦味があり、丁寧に作られていることが分かる。
豆腐ようもお店によって味が大きく異なるのが面白い。
前述の通り泡盛と頂くと、豆腐よう側の泡盛感が中和され、甘みが引き立つ。
こちらの豆腐ようは特に泡盛のアルコール感が強いので、前述の通り泡盛とのマリアージュをオススメします。
黒糖もろみ酢
酢のすえた酸味は無くすっきり味で、黒糖の穏やかな余韻が心地良い。
みぬだるセット
【みぬだる】とは、豚肉にすり黒胡麻を乗せて蒸した料理。
みぬ=蓑、だる=タレを意味するそう。
豚肉は蒸しならではなしっとりした柔らかさが有り、脂も付いた三枚肉。
黒胡麻の風味と豚の旨味が良い。
他はゴーヤーの揚げ物で、種も頂けるところが面白い。
僕もゴーヤー料理は結構作るが、中の皮を削ぎ落とすと香りが低下するため、揚げ物でクセを飛ばしつつ香りを活かすのは成る程、と思う。
サクサクに揚げており、苦味が爽快。
そして、もう一品は田芋(たーんむ)の素揚げ。
田芋は沖縄固有の水田に生える芋とのことで、甘みが非常に強い。
皮を剥いた後、黒糖を塗って揚げておられる模様。
ゆし豆腐
すっきりした鰹出汁が心地良く、ふんわり柔らかな豆腐の甘みが優しい。
山芋、アーサ、練梅を添えられており、軽く混ぜて頂く。
ここで、泡盛を。
当然、豆腐ようは残しておきました(笑)
銘柄は春雨のカリー(嘉例)です。
ゴーヤーの白和え
ゴーヤーの苦味よりも先に白胡麻の風味が届き、その後大豆の甘みに包まれる。
ゴーヤーはシャキシャキ。
本土の白和えとは大きく異なり面白い。
どぅるわかしー
山本さんの時代には、これを目当てに来るお客さんもいたとか。
届いた瞬間に食欲に訴えかける香りが立ち上がる。
田芋、豚肉、椎茸、出汁などを混ぜているとのことで、間違いの無い旨味。
食感はもっちりとしており、田芋の強い甘みに豚のコクと椎茸の旨味が絡んでいる。
何軒か回った中では最も甘みの強いどぅるわかしーだった。
グリーンピースに加えて、魚の練り物も二種類使用している模様。
なお、【どぅるわかしー】は宮廷の出産・結婚祝い、還暦古希・米寿祝いなどに出される料理とのこと。
ジーマーミ豆腐
かなりモチモチしたジーマーミ豆腐。
鰹出汁はすっきりしており、甘みが無く、塩気が控え目なところも特徴。
ビラガラマチ
沖縄蒲鉾にネギを巻き、酢味噌を掛けた料理。
ビラ=ネギ、ガラマチ=から巻く、の意。
ネギの香りが非常に鮮烈で、酢味噌は本土の味わいに近い。
蒲鉾の独特の甘みが特徴的。
セイイカ(和名:ソデイカ・アカイカ)
豆腐ようで和えており、豆腐ようの香りとねっとりした食感が良き酒肴。
サービスで頂いたので写真撮影はしませんでした。
すーちきー
豚の三枚肉を塩漬けにした、古来よりの保存食品。
豚の香りと旨味が強く、ピパーチ(島こしょう)がピリッと引き締める。
付け合せの野菜はハンダマと長命草で、細切りにして薬味として頂く。
かつて銀座のわしたショップで購入したことのある野菜だが、薬味にして頂くとは!
ソーミンたしやー
素麺を島らっきょう、島ネギとともに頂く。
鰹出汁がバシッと利いており、素朴な素麺に勢いを付ける。
島らっきょうは醤油酢に漬けられているようで、かなり美味。
また、ネギが甘いところも印象的。
ちなみに、「たしやー」とは豆腐が入っていない炒めもののことで、「いりちー」とは出汁を使って豚肉などと炒め煮にしたもの、「ちゃんぷるー」とは野菜複数種を用いた炒めもので、必ず豆腐が入るとのこと。
非常に勉強になりました。
らふてー
本土でも人気な沖縄料理の代表だが、もともとは宮廷料理だったそう。
こちらでは、甘味噌で頂くところが面白い。
じっくり火が入れられており、食感はトロトロ。
脂が程良く抜けつつ、豚の甘みを十分に味わえる。
くーぶ(昆布)の食感はシャクンシャクンと良好。
島ニンジンは人参の甘みに加えて、優しい香りと軽やかな酸味がある。
なお、ここまで頂き、全体的に豚の味わいが濃いと感じた。
豚飯(どぅんはん)と漬物
豚肉、椎茸、人参、沖縄蒲鉾などの炊き込みご飯。
ご飯に鰹の出汁を掛けて頂くが、この出汁はエッジが利いており旨い。
シークヮーサーの葉の微塵切りとピパーチが振り掛けられている。
炊き込みの具材を同じ大きさに切りそろえているところが印象的。
漬物はヘチマ、冬瓜、ハイビスカス。
西国米(しーくびー)
タピオカのデザート。
シークヮーサーのゼリーと、スターフルーツ。
スターフルーツはスイカのような食感で、独特の香りを持つ。
甘みが非常に低く、シークヮーサーの酸味と苦味が際立ち、爽快感溢れるデザート。
こんぺん
お腹に余力があれば…と言われつつ、頂きました。
胡麻たっぷりの餡を包んだ月餅風のお菓子。
41種類の薬草茶とともに頂くと、中国料理の影響を強く感じる。
コース料金は6,000円で、ビール600円、春雨カリー(1合)1,500円。
泡盛や焼酎を「合」単位で意識したことはありませんでしたが、そこそこ量があり、一人で飲むには最適でした。
水割りが基本ですしね…。
伝統的な琉球料理を試してみたい方にオススメのお店です。
店名:郷土料理の琉音(きょうどりょうりのりゅうね)
食べるべき逸品:伝統的な宮廷料理をベースとした
予算の目安:コース4,500円(10品)、6,000円(13品)
最寄駅:元田中駅から1,300m
TEL:098-868-3456
住所:沖縄県那覇市久米1-16-13
営業時間:17:00~22:00
定休日:水曜、日曜
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