こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
今回の沖縄滞在では、イタリアンをテーマにお店を訪問しました。
中でも素晴らしかったのが、沖縄市の「Areko(アレコ)」さんです。
前日に那覇市内の予約困難「BACAR」さんで意気消沈していたところ、こちらに訪問して沖縄に来て良かった!と気持ちを持ち直しました。
「BACAR」さんが食べログ3.76で沖縄県3位のところ「Areko」さんは3.09。
しかし、個人的には逆が正しい状況であると確信しました。
素晴らしい御料理で癒して頂き、伊禮シェフには感謝です。
伊禮シェフは沖縄で最も巧みに沖縄の魚の魅力を引き出していると感じました。
さらに、野菜へのアプローチも素晴らしく、真に沖縄で訪問すべきレストランです!
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「Areko(アレコ)」さんの魅力は多数あるので、まとめとして箇条書きにします。
- 意外な食材との出会い
- 沖縄の魚介の活かし方が巧い
- 沖縄の野菜の魅力も伝える
- 塩分、油脂の塩梅が上品
- 発酵の酸味や旨味を駆使
- 同一食材で異なる調理法を併用
- 食材の取り合わせが独特かつ高度
一言で述べると、オーナーシェフの伊禮 力さんは沖縄県産の食材の活かし方が抜群に巧く、味付けが秀逸です。
野菜の表情を多面的に表現するアプローチが本当に面白く、味覚的に調和する範囲でアクセントを加えるセンスも魅力です。
フランスで修行されたそうですが、御料理はフレンチ、イタリアンの要素を採り入れたイノベーティブで、唯一無二です。
筆者は鮨の専門家なので魚を見る目は厳しい方だと思いますが、伊禮シェフは魚の扱い方が巧い。
過度にいじらず最小限に抑えつつも丁寧な手を加えて、魚の魅力を引き出されています。
多くの方が過剰に手を入れるか味を乗せる世の中で、貴重なセンスです。
いわば、名作『スラムダンク』の名言を借りるならば「左手は添えるだけ」的な魚の仕事です。
そして、着目すべき点は発酵を採り入れている点。
発酵の旨味や酸味を活かすだけでなく、塩油や旨味のバランスも巧みです。
確かな味覚を持った方であれば「絶妙」と感じるバランスだと思います。
最後に、伊禮シェフは真摯な姿勢も素晴らしい。
数々の沖縄食材の魅力を伝えてくれるお店なのですが、全く押し出さずに仕事と味をもって魅力を伝えるプロ意識に惚れ惚れしました。
SNSでは情報量が多く、押し出しが強いお店が脚光を浴びがちですが、本質的ではありません。
伊禮シェフは本質を伝えてくれる料理人です。
今から再訪が楽しみです。
それでは、「Areko(アレコ)」さんで頂いた御料理をご紹介します。
おまかせコースは税込み6,000円と、異常なコストパフォーマンスです。
都会の高級店で「安い!」と叫ぶお客さんは下品で嫌いですが、流石にリーズナブル過ぎて心配になりました。
お酒を飲める方は、飲みましょう(笑)
おまかせコースの詳細
- アカジンミーバイ、バジル、オクラ、シークヮーサー、オリーブ
- 自家製パン
- 剣先イカ、カブ、スーチカー、カブの葉と発酵液
- アサヒガニ、ホワイトアスパラガス
- パスタ(ピチ)、くいまーる豚
- マクブ、椎茸、本みりん
- あやはし牛炭焼き
- お口直し:パンナコッタとブドウのグラニータ
- ドルチェ:ホワイトチョコのムース、メロンのアイス
ドリンクについては幅広くそろえておられ、良心的な価格設定です。
日本酒も置いていて、さらにトップに位置するのが面白い!
もちろん頂きました。
この度頂いたワインとお酒。
- Fabulas Malvasia
- Le Voyage Extraordinaire Muscadet
- 三井の寿 純米吟醸大辛口 山田錦
- Kendall Jackson Vintner’s Reserve Red Wine Blend 2018
- Poli Grappa Sarpa Oro
初手からアカジンミーバイ(標準和名スジアラ)とはテンションが上がる。
しかも、魚の仕事が確かだ。
脱水した上で寝かせているようだが、同時に香りと旨味を強く維持。
魚の活かし方が良い、と実感した。
さらに、「発酵チンゲンサイの茎」も魅力的で、自然な酸味を用いてチンゲンサイの青臭さを排除しつつ離れ業を達成している。
バジルの香りも良く、オリーブにはシークヮーサーを用いるなど構成要素が多いものの、塩気と油脂の塩梅もバッチリだ。
味わいが複雑で、魅了一品目から魅了される。
多様な味覚と香りをミニマムかつ上品に集約しているプレートだ。
シークヮーサーオリーブとパンの甘味が素晴らしい相性!
剣先イカの上には蕪のマリネを、下には蕪のソテーを合わせている。
同一食材で調理法を併用される手法が素晴らしい。
食材の表情の変え方、魅せ方を十分に理解しつつ、高度な味わいとして実現させるのに奏功している。
蕪のマリネで剣先イカを巻いて食べると素晴らしいとなる。
複雑な味覚と香りを一瞬で楽しめる食べ方だ。
ソテーは蕪の甘味と香りを広げる。
緑のソースは蕪の葉で、白いソースは発酵液か。
蕪はソテーする前に出汁で80℃・1時間半の低温調理を行っているそうだ。
アサヒガニのほぐし身だけでなく、泡にもアサヒガニの風味と甘味がたっぷりと含まれている。
芽キャベツのホロ苦さでアクセントを加えるとは、見事なセンスだ。
ホワイトアスパラガスもソテーのみの甘味に惰性で頼るのではなく、皮をスライスして食感を加え、下にはアサヒガニの出汁でモンテしたアスパラガスの芯を添えるなど、サプライズに満ちている!
さらに、ダイスカットしたキノコなどがアクセントとしても散られているが、味覚的に調和する範囲でアクセントを加えるセンスが秀逸だ。
ピチはバッチリ、パスタフレスカ。
そして、フォークを入れた瞬間に良いパスタだと分かる!(カトラリーに料理や食材が触れた時の指の感覚で凡庸か非凡か分かるもの)
実際に、口に運ぶと表面は滑らかで、もっちもちと気持ちが良い弾力、更には香りも良いピチであった。
ゴボウは無農薬で栽培されたもので、特有の土臭さは無い。
甘味、旨味は豚とトマトから引き出されているのか。
塩気を削ぎ落とし、旨味で構成する調味も好ましい。
椎茸でなく、幾つかのキノコが使用されていて、沖縄エノキ、エリンギ、アワビタケ。
椎茸はソテー、エリンギはピュレ、沖縄エノキはチップスにしている。
ニョッキはインカのめざめを使用。
マクブは仕立てと火入れが巧みなため、旨味と更には香りも引き出している。
これは、沖縄の魚にきっちり向き合い、魚を旨くする仕事だ。
ここで合わせて頂いた日本酒【三井の寿】が、全く誤差無く合う!
軽く寝かせた香りと料理の味醂と調和する。
味覚の面でも、旨味と苦味が寄り添いながら、同時に御料理のコクや少量使われている油脂や重さを切る。
同調とマスキングを同時に達成するペアリングである。
「あやはし牛」は経産牛で、8歳との事。
さらにドライエイジングを1ヶ月掛けている。
味わいが凝縮していて、旨味の奥から軽いミルキー香がふんわりと漂う。
サッパリした肉質なのに旨味が強い!
これは経産牛ならびにドライエイジングの魅力であると実感。
正直なところ経産牛はピンキリだが、美味い。
付け合わせの野菜は、田芋、トウモロコシ、つるむらさき。
田芋にはナーベラー(ヘチマ)を煮詰めて、更にキャラメリゼ甘味が玉ねぎを超えるそしてヘチマ臭さをマスキングするために白ワインビネガーを加え
超ミルキーなパンナコッタにブドウの香りと酸味のあるグラニータ。
そして、ブドウのコンポート。
柿、サツマイモのメレンゲ
ドルチェはストレート正攻法に美味いのが良い!
食後はカッフェではなくグラッパを。
アレコさんは沖縄市内の静かな一角にあり、かなりスタイリッシュな外観と内装です。
一見すると無機質な印象を受けるかもしれませんが、内装は植物を採り入れて軽やかにデザインされています。
将来的にビルが建て直しになる事が確定しているため、再生可能な資材でリノベーションされたとの談。
居心地が良いです。
「Areko(アレコ)」さんは、インスタのDMで予約が可能です。
店名:Areko(アレコ)
予算の目安:おまかせコース6,000円
TEL:なし
住所:沖縄県沖縄市中央3-12-2
最寄駅:なし
営業時間:12:00~15:00、18:00~
定休日:月曜、火曜
沖縄中部の名店と言えば「カナ」さん
傑作!イラブー(海ヘビ)料理!沖縄の伝説の名店カナ
沖縄食材のポテンシャルに魅了される、すしログ(@sushilog01)でした。
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