松山鮓と愛媛の郷土料理について
愛媛県・松山地方には、お祝い事やお客さんをもてなす時に、「ちらし寿司」を作って歓待する文化があるそうです。
かの文豪・夏目漱石も、正岡子規の家を初めて訪れた時に、子規(の母親)から松山鮓(もぶり鮓)でおもてなしを受けたとされます。
さぞ勢いよく、食べさせられた事でしょう…
子規は松山鮓に強い思い入れがあったようで、愛情と郷愁を交えて以下のような句を詠んでおります。
・ふるさとや 親すこやかに 鮓の味
・われ愛す わが豫州 松山の鮓
見た目は単なる「ちらし寿司(ばら寿司)」である松山鮓。
頂いたお店の山葵の質はご愛嬌…
松山鮓を松山鮓足らしめる特徴は、酢飯にあるようです。
即ち、「にごり酢」と言う合わせ酢を酢飯に用いる点。
「にごり酢」とは、瀬戸内の小魚(エソやトラハゼ)で出汁を取った甘酢。
小魚の旨味を付加した酢を用いる郷土寿司は割と珍しいように感じます。
手間がかかる合わせ酢を用いるとは、まさにお祝いごと向けですね。
松山では「混ぜる」ことを「もぶる」と言うため、「もぶり鮓」や「もぶり飯」とも呼ばれるそうです。
そして、最も一般的(共通的)な具は、穴子のようです。
僕が松山市内のお店で頂いた鮓も、こんがり香り豊かに焼かれた穴子がたっぷり使われておりました。
その他の具は〆鯖、鰈、鯵、勘八、ハマチ、海老、蛸など。
握りを出すお店だったので、少し豪華な具となっているようです。
味の特徴は酢が甘く、穴子がたっぷりな他に、甘めの干瓢の微塵切りが酢飯を覆っているところです。
また、玉子も甘く、おぼろも甘い。
割と、愛媛県の料理は甘みを付ける印象でしたが、松山鮓にも同じ感想を抱いた次第です。
もともと家庭料理なので、今度自分で作ってみたいと思いました。
また、松山鮓のついでに、愛媛の旅で頂いた魚と郷土料理もご紹介します。
ホータレ
イワシの方言です(宇和海産)。
刺身で頂きましたが、臭みはなく、爽やかな香り。
水っぽさもなく、プリッとした食感です。
ぜんご鯵
真鯵の小さいものをこのように呼ぶそうです。
脂が程よく乗っており、香りが上品な鯵。
太刀魚
宇和海産の太刀魚は初めて頂きましたが、肉厚な身から脂が弾けます。
旨味、香りともに抜群でした。
そして、最後に南予の郷土料理「日向飯(ひゅうがめし)」を。
これは「白身魚丼」なのですが、かなり個性的で、美味しいです。
まず、白身魚は調味料に軽く漬けます。
漬け地調味料は醤油、味醂、酒をベースに、薬味を加えたもの。
そして、白身魚を熱々ご飯に乗せて、
漬け地調味料に鶉の卵を混ぜて、ご飯にかけて頂く料理です。
愛媛県の郷土料理と言えば、行く前は鯛めし(炊き込み)、じゃこ天、栗タルト(笑)のイメージでしたが、知られざる料理に出会えて大変面白かったです。
再訪して他の料理も食べてみたいところです。
観光名所も多いですしね…
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四国、高知の食べ物を記事にしていただき有難うございます。
足が速いので現地消費で終わる「メジカの新子(しんこ)」もあります。
https://www.kochike.pref.kochi.lg.jp/column/25546/
寿司では他に「鮎の姿寿司」など。
まなみ様
コメントありがとうございます!
高知で「シンコ」と言ったらメジカのようですね。
東京ではコハダのところ(笑)
「ゆう喜屋」さんに伺った時、美味しさを聞いて以来、脳裏に焼き付いています…
郷土寿司が生き残っているエリアは文化的で好きです。