こんにちは、温泉宿が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。
松本の美ヶ原温泉にある「金宇館」さんは老舗の旅館です。
2020年4月1日に昭和初期の建物を活かして見事なリニューアルをされました。
僕は『住む。』という素敵な専門雑誌で知り、御料理にも惹かれて長らく訪問したかった次第です。
そして、訪問したところ期待以上の滞在となり大満足!
「金宇館」さんは雰囲気も温泉も素晴らしく、くつろげます。
お食事は土地の食材を活用し、幅広い世代が楽しめる方向性で美味しく調理されています(食材的に攻めると離脱する人も出てしままいますからね…旅館のご飯は難しい)。
人気が高いので、結構早めの予約が必須です!
松本の市街地からすぐ近い場所にあるオアシスです!
流れる時間も空気も素敵です。
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「金宇館」さんのある美ヶ原温泉は、松本駅から30~40分離れた場所にあります。
喧騒とは無縁な、山の裾野にある小さな温泉街です。
「金宇館」さんは以下のような来歴で開業されたそうです(西暦は著者による注記)。
時は大正一四年(1925年)。
ここ里山辺村で瓦屋を営んでいた射幸心溢れる金宇儀道司は屋根から落ちて療養中、「おぼけ」の地に温泉が出ることを信じ、温泉掘削と旅館開業を夢見る。本復すると仲間を募り私財を投じて道を開き温泉掘削が始まった。
三度の失敗を経ながらも、昭和三年(1928年)、ようやく湯脈にあたり同年一一月一日(友引)旅館開業。
金宇館の歴史がスタートした。
そして、冒頭に書いた通り2020年に改修。
モダンな意匠を取り入れつつ、もとの建物の美しさが維持されていて、到着した瞬間に心が踊りました。
昼と夜で趣が異なる素敵な建築です。
チェックインは入口そばのロビーで行われ、中庭の風景に安らぎを覚えます。
上記引用の初代がこだわった作庭とのことです。
なお、民芸好きでしたら近隣にある「松本民芸館」も合わせて訪問すると良いでしょう。
あるいは民俗学好きならば、宿の隣にある「御母家薬師堂」も面白いです(奇祭として知られる「道祖神まつり」の御神体が祀られています)。
そして、御料理については、「料理旅館」を謳っておらずとも大変魅力的です。
土地の食材を活用しつつ、海の食材など県外のものを採り入れて、幅広い世代が楽しめる料理に仕上げておられます。
味付けについてもメリハリがあり洗練されています。
昭和時代の温泉旅館にありがちな、甘味や酸味が強すぎることなく、ボリュームに関しても適量です。
個人的に心から嬉しく思ったのが、刺身で馬刺しを出されている点。
これは素晴らしいですね。
昭和や平成の時代には山の旅館なのに鯛や鮪などを出すことが横行していましたが、全くもって感心しない悪癖だと思います。
小学生の時分でも、山なのに海魚を、海なのに肉類を出すような旅館を不思議に思った次第です。
メインの焼きものについても、信州牛(黒毛和種)を用いつつ、部位がイチボである点に旅館のセンスを感じます。
サシがきめ細かく入り脂たっぷりのサーロインは今の時代に旅館のご飯としては敬遠されますよね…。
それでは、「金宇館」さんの夕食をご紹介します。
- 先付:柿とほうれん草、クルミの和えもの
- 椎茸の利休揚げ
- 八寸
- 椀:銀杏のすりながし
- 造り:馬刺し
- 焼きもの:カマスの塩焼き
- 海老入り蓮根饅頭
- メインの焼きもの:信州牛のイチボ
- お食事、留椀、香の物
- 水菓子
お酒については長野のものが複数あり、非常に良心的な価格です。
オススメをお伺いしてご提案頂いた【川中島幻舞】を頂きました。
紅葉には早かったのものの、紅葉の兆候を示す紅葉も美しいです。
柿とほうれん草、クルミの和えもの。クルミの香りが実に良い!しっかり煎って香りを高めている。塩気はほうれん草に当ててメリハリを付けている。
帆立の真薯と三ツ葉入り。椎茸は肉厚で、ジューシィかつ旨い。
帆立真薯の香りと甘味が広がり、金胡麻の香りと食感で魅力が波状的に広がる。
いくらおろし酢和えほうれん草、春菊菊花、牡蠣しぐれに、シャインマスカットの白和え、落花生、安曇野産栗の渋皮煮。地元の食材を多用して季節感を表現するために他県の魚介類を用いるスタイルは良いなぁ。味のメリハリも良し。
銀杏のすりながし、揚げジャガイモ。銀杏の香りと軽い苦味を上品に表現する仕事。出汁を効かせて銀杏を抽象的に表現しているのが良い。揚げジャガイモはサクサクでも、水気を含んでしっとりしても美味しい。
創業期から伝わる椀も嬉しい。
馬刺で、部位はヒレ。一味とニンニクを合わせた自家製のニンニク唐辛子を醤油に溶かして頂く。馬刺は柔らかくて旨い!肉に包丁を細やかに入れているためか。そして、酸味が心地良い。
カマスの塩焼き。白髪ネギの素揚げ、牛蒡のすりながしに生姜と山椒。
海の魚を用いつつ、魅力的な調理法でお店ならではな個性を与えている。牛蒡のすりながしに生姜を効かせる。牛蒡の野趣を軽やかにまとめる。
海老入りの蓮根饅頭。あられを砕いた衣揚げなので香りが良い。
信州牛のイチボ、ぼたん胡椒。炭火焼きのようで、表面はサクッとしていて、火入れが良い。イチボであるが脂は多く、赤身と脂ともに楽しめる。印象的な木製の器は三谷龍二さんのものとの事。
栗おこわ。
甘味を効かせて炊いて塩を振っている。これは郷土の味付けだろうか。もち米ながら炊き方が上手く、決して野暮ッたくない。留椀は海老出汁か。アオサ入り。香の物には野沢菜の切り漬け。
地元の洋なしのソルベ。爽快な味わい。
がんもどきと茄子の炊き合わせ、にしんの旨煮、とろろ、白菜の煮浸し、蓮根のきんぴら、香の物は瓜の粕漬けと梅の紫蘇漬け。
ご飯は安曇野産コシヒカリの新米。味噌汁は大久保醸造の玄米味噌。
豆腐のべっこう餡掛け。朝ご飯で作りたての御料理というのが嬉しい。
水菓子はシナノゴールド、オータムキュート。
「金宇館」さんは部屋数が限られているため、公式サイトの空室照会から予約するのがベストです。
店名:金宇館(かなうかん)
予算の目安:スタンダードプラン【1泊2食】1人28,600円~34,100円など
TEL:0263-32-1922
住所:長野県松本市里山辺131-2
最寄駅:松本駅から4.3km
営業時間:チェックイン15:00,チェックアウト11:00
定休日:不定休
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土地に流れる時間を楽しめる宿が好きな、すしログ(@sushilog01)でした。
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