前々から訪問したかった市原にある鶏料理のお店です
こちらは知る人ぞ知る名店であり、数年前に偶然知った時から、いつか必ず訪問しようと決心しておりました。
しかし、市原と言う立地であるばかりか、2人以上の予約となるため、中々機会を得られなかった次第。
しかし、2人以上しか受け付けない理由は極めて妥当で、鶏を来客に合わせて丸々捌かれるため、一人では頂けないのです。
お店は市原駅から少し歩いた場所にあり、牧歌的な風景が続き、穏やかな空気が流れております。
道すがら、郷愁を抱かぬ人はいないのではないでしょうか…
さらに、お店に到着すると、女将さんや店員さんが門のそばで待っておられる。
誠実なもてなしを感じ、すぐに心からの安らぎを覚えました。
さらに、案内される「離れ」は非日常的な空間。
温かみのある内装で、窓からは四季折々の表情を楽しめるよう、多様な植物、樹木が植えられております。
こちらは四季を味わい、もてなしを感じる事の出来る、親しい方と訪問するのがよろしいかと思います。
そして、今回は「10月であれば松茸の持込みが自由」との情報に基づき、松茸をとり市老舗さんで入手して訪問しました。
とり市老舗さんは京都市内で間違いの無い松茸を扱うお店。
瀬戸の女将さんも、「とり市さんの京都産の松茸は別格」と仰っておりました。
また、「離れの外にも良い香りが漂ってはる」との事でした。
朝〆の絶品の鶏と松茸の共演。
この季節にこちらでしか頂けない至高の食卓に、季節を頂く喜びを心からひたる事が出来ました。
こちらは自然、もてなし、食の喜びに満ちた、日本の原風景的な食事を頂ける稀有なお店だと感じました。
数年後、忘れられず再訪した際の記事もございます。
先付
胡麻合え、三角(鳥の尾)、茄子の揚げ浸し。
三角の旨味が絶品で、食欲を強く刺激。
トロッと仕上げた茄子の揚げ浸しには、揚げた人参葉があしらわれており、面白い。
そして、先ずは松茸…。
持込みであっても調理頂けるのが嬉しい限りです。
もぎたての柚子を添えて。
頂いた感想としては、圧倒的な香りと旨味。
瑞々しさが横溢し、口当たりはしっとりしており、シャクシャクした食感は躍動感に満ちている。
朝採りの松茸の香りは圧倒的で、口腔を満たす旨味は圧感。
「香り松茸、味シメジ」と言われるように、松茸のグアニル酸は天然モノの本シメジや椎茸に負けるのが常だが、本当に良い松茸は圧倒的な量のグアニル酸(旨味)を含有している。
強烈に優雅な香りとともに、味蕾に浸透する旨味は瞬時に心を虜にする。
各部位の焼きもの
もも肉:力強い旨味で、脂の質は上品。
笹身:旨味に加えて心地良い酸味。
砂ずり:繊維のほどけ方が素晴らしい!!シャクシャク、さらり。そして豊かな香り。
レバー:しっかり目の火入れだが、ふくよかな甘みを楽しめ、溶けゆく。
皮:極めて上質な脂で、きめ細かい粒子、さらっと流れ、歯応えも快感の一言。
胸肉:力強い食感で、旨味が溢れ、気持ち良い酸味が混ざる。
次々と頂くと、生命に感謝し命を頂く喜びを感じさせてくれる。
なお、日本酒は伏見の銘酒・澤屋まつもと。
鶏すき
粗糖、醤油、鶏スープで作るすき焼き。
個人的にすき焼きは肉を頂くには味が濃く、温度も高いため、ベストの調理法と感じる事は少ないのだが、こちらの鶏すきは味わい深い。
甘みがあるものの控え目であり、かなり上品なすき焼きと言う印象。
自家製の九条ネギが良きバランサーに。
そして、松茸も香りと旨味が十分あり、鍋に深みを与えてくれる。
肝心の鶏は焼きとは異なる魅力があり、特に腸が印象深かった。
旨味が実に深く、食感は柔らかで、クセは皆無。
また、レアな産む前の卵も絶品。
超濃厚でありながら上品な旨味で、さらりと舌に馴染む。
卵特有のにおいも全く無い。
ちなみに、つけるための卵も濃厚な旨味であった。
焼きとは異なる楽しみが喜びを増幅させ、鶏を余すところ無く頂いたと言う感動を与えてくれる。
野菜も美味しいので、伺ったところ、全て自家製であり、鶏糞と卵の殻のみで作っており合成肥料は不使用との事であった。
鶏雑炊
これもまた濃厚ながらに上品な味わい。
塩気も丁度良い。
上質な鶏をじっくり炊く事で生まれる味わいである。
果物
柿、梨ともに美味しい。
精神的に豊かな気持ちになれる、素晴らしきお店だと感じ入りました。
店名:とり料理瀬戸(とりりょうりせと)
食べるべき逸品:お客の訪問に合わせて捌く鶏料理
最寄駅:市原駅から600m
TEL:075-741-2667
住所:京都府京都市左京区静市市原町336
営業時間:12:00~21:00
定休日:月曜
※前述の通りのスタイルなので、完全予約制です
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