すしログ日本料理編 No. 99 佳肴岡もと@東山(京都府)

こちらは広島の野趣拓さんでお伺いして訪問したかったお店です。

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清水寺に程近い、清水五条の辺りにあり、主張し過ぎぬ暖簾と外観が好印象です。

店内に入ると、モダン且つカジュアルなカウンターがあり、間取りが広いので、非常に落ち着けます。

しかも、一回転のみで営んでおられるので、客人としては寛げる事この上無し。

ご主人の岡本さんは嵐山吉兆で修行された経歴を持つ模様。

湖里庵さんの話が出た折に、修行先が判明した次第です(笑)

接客は大変朗らかで、常連さんを盛り上げつつ、一見客への心配りもされる方です。

 

料理は日本料理の確かな技術に裏打ちされたオリジナリティ溢れるものばかり。

個人的に魅力だと感じたのは、

1. 包丁の妙、

2. 食材の組み合わせの妙、

3. そして、酒。

包丁は精確かつ速く、若手の料理人さんでは、目を瞠る程でした。

包丁に加えて串打ちもスピーディで見ていて気持ち良かった。

そして、食材。

高級食材のみに頼らず、面白い素材を組み合わせ、調理技術と調味で独自性の高い日本料理へと仕上げておられます。

1、2、即ち技術とセンスが合わさる事で、3の酒が旨くなる。

60種類程のお酒を常備されており、料理に合わせて2〜3種提示されるのは心ニクい演出。

ついついお酒が進んでしまいます。

この度頂いたお酒。

西條鶴・純米原酒プレミアム13、雪の茅舎美酒の設計・純吟、

天明・瑞穂黄金88純米無濾過生原酒、不老泉・山廃純米、

新澤醸造店・超濃厚ジャージーヨーグルト酒。

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【天明・瑞穂黄金88】は旨味が強く、

まろみの中に端正な甘みと軽やかな苦味があり印象深い。

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新澤醸造店は【愛宕の松】、【伯楽星】で有名な酒蔵さんですが、こんなに変なお酒も作っていたなんて(笑)

「デザート酒」として頂きました。

再訪時の記事もございます。

この度頂いた御料理たち。

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バターカボチャの冷製スープ

一品目から変化球!

それでいて、しっかり和食の枠組みに納めている。

椀種(?)は汲み上げ湯葉。

この汲み上げ湯葉が大豆の風味を強く付加し、大徳寺納豆をまぶす事で洋食方向に行っていない。

期待がググっと高まる。

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鱧、海胆のソースで

実に印象的な盛り付け。

そして、骨切りのスピードと串打ちの精度は前述の通り。

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鱧の産地は済州島で、ソースの海胆は北海道産。

鱧は流石、済州島産。

旨味が非常に強く、焼き霜の香ばしさと十分張り合う。

海胆のソースには酢橘の酸味が付加され、これは良いバランス感覚。

鰹が少々使用されているよう。

あしらいがピスタチオと言うのもビックリ(笑)

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明石産オニオコゼと翡翠茄子。

スッキリでキレのある吸い地。

出汁の塩梅は雄々しく、塩気は穏やか。

鰹は香りと旨味が強調されており、やや酸味も出している。

オコゼの仕事も良い。

ホロホロした食感を楽しませてくれるのは、包丁の妙。

食感のみならず香りも楽しめる。

そして、皮と肝も使用されている点が嬉しい。

素晴らしい「オコゼ料理」だと感じた。

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お造り

剣先烏賊とイサキ、海素麺(ウミゾウメン)と共に。

剣先烏賊は3日寝かせたものを糸造りにしている。

よって、甘みが強い。

イサキは五島産で、焼き霜で皮下脂肪を活性化させている。

海素麺(能登産)はミョウガと出汁、やや強めの塩気で仕上げている。

香りが海苔に近い点も含めて、やや強い印象を受けるかもしれないが、お造りの素材が強いので合っている。

花穂紫蘇をたっぷり使用しているのも計算の内だろう。

「酒肴になるお造り」と言う印象を覚えた。

八寸に当たる小皿料理

「八寸を始めます」との一言のもと、開始。

作り置きではなく、その都度調理を施し、小皿で順次供される。

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鰯の辛煮

じっくり炊いた鰯に鰹粉をまぶしている。

鰯は食感ホロホロで、酢と生姜の酸味並びに風味が利いており、これが鰹粉と合う。

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鱧の子の玉締め

細かく削ったものは、乾燥梅干しのフレークか。

優しい甘みとプチプチ食感を楽しめる。

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穴子水晶

水晶と聞くと水晶寄せを浮かべるが、南蛮漬けのような穴子。

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新秋刀魚の昆布〆

秋刀魚に入れられた包丁はほぼ均等で素晴らしい。

昆布で〆た後に酢橘を絞って、鰆の唐墨をあしらっている。

人によっては↑この文章を読んだだけでお酒を飲みたくなるのではないでしょうか?笑

実際、こちらの「八寸」はお酒を進めて進めてかなわない。

味覚的には酢橘の酸味が届いた後、唐墨の風味、昆布の旨味の順に伝わる。

昆布〆の塩梅が良く、旨味を凝縮しつつ秋刀魚の香りも楽しませてくれる。

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清滝川(きよたきがわ)の天然鮎

串打ちした後、炭火焼き。

てっきり塩焼きかと思いきや、予想を裏切られる。

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頭と尾は落として出汁に用い、お米を加えてリゾット的雑炊として提供。

頂いてみると、何て美味しいんだ。

お米には大麦も混ぜており、これが良い。

鮎の苦みと香りに麦の香りが滲み、麦の食感がアクセントになる。

素晴らしい鮎の使い方である。

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白ずいきと素麺南瓜

あしらいはツルムラサキ。

生姜と出汁の利いたスッキリ味に加えて、煎ったお米の香ばしさが良い。

温度帯は低く、冷え冷え。

残暑が残る中の訪問だったので、キリッと爽やかに口直し。

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鯖寿司

2種類あり、柴漬けと大葉、スグキとスグキの葉。

スグキは京都特有の漬物。

使用する鯖は五島産。

圧倒的な脂と優雅な香りで大満足。

初秋でありつつ鯖が非常に不漁と聞いている折だったので、嬉しい。

スグキの鯖寿司が特に印象に残り、酸味と発酵感、更には食感が強い味わいの鯖に合っている。

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フカヒレ米粉麺

定番の〆ものとの事。

幻のシャポーン鹿児島鶏の出汁に、気仙沼産のフカヒレを合わせる。

とろけ出たゼラチン質がもの凄く、旨味に悶絶するスープ。

麺は米粉の平打ち麺なので、サッパリと軽やかに頂ける。

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水菓子

山形産大峰のカシス漬け。

カシスの浸透具合、甘みの加減が良く、葡萄を壊していない。

あしらいがイタリアンパセリとお洒落。

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即興で作る饅頭

その場で作られる饅頭。何て引き出しの多い!

皮には黄粉と白味噌を混ぜ、餡は丹波の大納言に干し葡萄、胡麻。

干し葡萄の香りが少し洋風な印象を与え、これまたお洒落。

前の水菓子(フルーツ)からの流れも素敵。

またお伺いするのが心より楽しみです。

 

店名:佳肴岡もと(かこうおかもと)

食べるべき料理:確かな日本料理の技術に裏打ちされた個性的な岡本料理たち。

予算の目安:10,000円〜17,000円 ※お酒の量次第です(笑)

最寄駅:清水五条駅から900m

TEL:075-551-1055

住所:京都府京都市東山区常盤町470-4

営業時間:17:30~22:00、17:00~20:00

定休日:月曜、最終日曜

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