すしログ No. 158 鮨よし田@久留米(福岡県)

いま、鮨に人気が集まっている全国有数の県こそが、福岡県。

福岡市、北九州市には人気鮨店が多く、予約困難店も少なくありませんが、久留米には少ない。

こちらは久留米にあって江戸前の仕事が徹底しているお店との事で関心が高まり、この度訪問しました。

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お店には看板が無く、しかも暖簾も掛けておられないので、要注意。

気付かずにしばらく右往左往してしまいました(笑)

店内に入ると非常に落ち着いた空間でカウンターは凛々しい。

お店に漂う香りも清浄で、否応無しに期待を高めてくれます。

照明は控え目で、久留米にあって大人が使える上質な空間だと感じました。

タネの多くは九州のものを使用されており、握りの構成は正統派の江戸前。

煮ものも印象的でしたが、個人的には特に〆の仕事が素晴らしいと感じました。

シャリは赤酢を用いつつ、尖ったところが無く、完成度が高い。

硬めで酢を強めに利かせ、塩気は比較的穏やか。

甘みは無く、赤酢由来の旨味がしっかりと存在するところが特徴です。

全体的にタネの構成と赤酢のシャリの味わいを考えると、東京からのお客さんよりも、九州の方が訪問されると感動が大きいのではないかと感じました。

美味しいシャリと仕事を施されたタネ、正確な握りの技術が合わさった鮨は、江戸前の魅力を感じさせてくれる事でしょう。

頂いたお任せの内容は下記の通りです。

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蛸の桜煮

蛸の食感を残しつつ、香りを楽しませてくれる。

噛み締めると旨味が横溢し、トロトロに仕上げた皮の部分が旨い。

酢橘の使用量も上品で良い。

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鮪と鱸のお造り

鮪は境港で揚がった100キロの魚体。

強い酸味が爽快で、いかにもな夏の鮪の味わい。

鱸は昆布で〆ているが、この仕事が良い。

鱸本来の旨味と昆布のグルタミン酸の旨味のバランスが良好。

昆布の香りもあまり残しておらず、脱水の状態も適度。

昆布で〆ているので、みぞれ酢を潜らせた方が甘みが引き立ち、円味のある輪郭に。

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唐津の赤海胆と鮑

鮑は火入れが良く、強い旨味が滲み、香りが鼻に抜ける。

海胆の甘みと一体し、サラリと気の利いた酒肴に。

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燻香を強めに付け、玉葱の香りと辛味をぶつけている。

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枝豆

この後握りなのですが、口直しで出汁に浸した枝豆。

スッキリ感が高まる良い手法。

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ガリ

甘みは無く、酢が強めで、辛味は程良い。

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イサキ

1日ほど寝かせているようで、旨味と香りが非常に強い。

食感はこなれている。

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アオリイカ

力強い食感を残しつつ、絶妙な包丁によってシャリと一体化。

切り付けの厚みに加えて、身に格子状に入れた包丁の間隔が良く、

噛み締めるとトロリと溶けていく。

烏賊は職人さんの包丁を見るには最適だが、間違いない事を確認。

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春子

柔らかな食感と強い旨味が印象的。

〆の仕事が奏功している。

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鮪中トロ

シャリの味によって鮪の甘みが引き立っており、相性が良好。

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非常に素晴らしい火入れで柔らかく仕上げ、漬け込みの塩梅も秀逸。

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鮪赤身

シャリがキリッと味を引き締める。

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車海老

茹で置きだが、十分甘い。

直前に茹で上げられたら更に美味しくなるかと感じたが、

茹で置きで甘みを表現する仕事もあるので、これは好みか。

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蝦蛄

これも蛤同様に優しい火入れで、美味。

旨味がシッカリとある煮ツメも好印象。

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〆加減が良く、最も印象に残った。

時期を考慮すると鯖は非常に弱い時期であるが、仕事によって魅力を補強している。

江戸前の仕事の力を感じさせてくれる一品だった。

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これは〆ずに塩で軽く脱水している模様。

香りが非常に立っており、プルッとした身を噛みしめると旨味たっぷり。

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穴子

とろとろ、ふんわりに仕上げており、西では珍しい。

特に皮目が旨く、直前に軽く炙る事で魅力を高めている。

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玉子

ここまで江戸前主体でありながら出汁巻きと言うのは些か残念だったが、

みっちり詰まった出汁巻きで美味しい。

おまかせは13,000円。

軽めの酒肴に加えて、11貫プラス玉子、椀なので、少々お高い印象。

仕事の完成度は高く満足度も上々なのですが…。

やはり立地的に高級層を狙っておられるのは致し方無いのかもしれません。

とは言え、九州の方で「江戸前鮨」に関心がある方は、一度足を運ばれて損が無い事は保証します!

東京の下手なお店で頂くよりも美味しい江戸前鮨ですので。

店名:鮨よし田(すし よしだ)

シャリの特徴:硬めで赤酢をしっかりと利かせた硬派なシャリ。塩気は低く、旨味が強い。

予算の目安:13,000円~

最寄駅:西鉄久留米から650m

TEL:0942-39-3367

住所:福岡県久留米市六ツ門町20-10

営業時間:17:00~22:30

定休日:月曜

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