こちらは当ブログの第1回で取り上げた通り、僕にとって非常に馴染み深いお店です。
極めて良心的な価格で、本物の江戸前の仕事を楽しませて頂けるところは、何回伺っても魅力が色褪せません。
むしろ、何回か伺って更なる魅力を知るようになる、鮨店の悦びがある鮨店です。
一流のタネや飲み鮨を求める方には不向きですが、魚を旨くする仕事=「鮨」を体感出来るお店なので、若い人、鮨に興味がある人にはいつもオススメしております。
今回の訪問は8月末。
アップまで期間が空いてしまい、申し訳ありません…。
こちらではいつも酒肴を三品だけ頂き、すぐに握りを頂いております。
蛸
酢を利かせ、柚子胡椒を軽く用いており、
残暑の厳しい夏の終わりに嬉しき清涼感。
いくら
標津産の生いくらを使用。いくらは実は獲れる(=生で頂ける)時期が限られており、旬の時期以外は冷凍モノとなります。
(↑一般的に意外に知られていないので敢えて記載)
もずく
輪島産の極めて細く食感良好なもずく。
この後、握りに移行します。
鮃
利尻産。鮃特有の香りが強く、甘みがふつふつと高まる。
新烏賊
墨烏賊のこども、新烏賊。天草産。
個人的に鮨に一番合う烏賊こそ、墨烏賊。
小さくても墨烏賊の食感を感じさせてくれ、待ってました!と言う気分になる。
幸鮓さんでは8月は高確率で新烏賊を出されます。
蝦夷石影貝(エゾイシカゲ)
非常に珍しいタネ。イシガキガイとも。岩手産。
貝が弱い夏に、極めて嬉しい味わい。
貝類の甘みが強く、ほのかな苦味が凛々しく、クセは無い。
高松の鮨舳(すしとも)さんで頂いたが、東京で出されているお店は稀。
※その後、出されるお店が急増し、かなり多くの鮨店で利用されることとなりました
小鰭
天草産。こちらの小鰭は都内でも有数の仕事だと感じているが、時期によって〆加減、酢加減を結構調整されているのが面白い。
季節ごとの小鰭(ないし新子)の味わいを楽しめる。
この度は皮目の食感を割と残しつつ、それでいて噛み締めると消え去る。
初めての方には旬の時期(11〜1月頃)の小鰭をオススメしたい。
秋刀魚
根室産。〆の仕事が抜群で、強い旨味と、日本人ならば郷愁を誘われる香りを満喫!
有無を言わさぬ美味しさ。
鮪
定評あるボストン産。
いつもながら安定感のある旨味。
銀座わたなべさんと言い、ベテランの職人さんは自身の眼で鮪を仕入れられるので、安心出来る。
必ずしも超高額な国産鮪こそがベストに非ず(旬以外の時期は矢張り)。
海胆
宮城産のミョウバン無添加。
かなりしっかりした磯の香りを楽しめ、塩で頂くと尚更旨い。
鰯
岸和田産。香りと脂が良いバランス。
蝦蛄
愛知産。香りが良く、柔らかくしっとりした食感。
蝦蛄の甘みとシャリの酸味がベストマッチ。
蝦蛄(子持ち)
蝦蛄の子の有無で食べ比べ出来るとは、面白い。
子持ちはしっかりした食感で、卵の風味と食感を前面に感じる。
好みによるかと思うが、蝦蛄自体の旨味に限れば、子無しの方が旨い。
穴子
江戸前、小柴産。
こちらは穴子が弱い時期(冬)に伺っても美味く食べさせてくれる。
干瓢巻
歯応えが良く、上品な甘みを付加した仕上げ。
椀
こちらで密かな楽しみなのが、最後の椀。
潮汁ではなく味噌汁だが、これが美味い。
そして、安らぐ。
今回は宍道湖産の蜆を用い、滋味溢れる味わい。
個人的には牡蠣の味噌汁が強く印象に残っております。
渋い街の渋い雰囲気のお店ですが、江戸前鮨の魅力を教えてくれる優良店です。
店名:幸鮓(こうずし)
シャリの特徴:酢加減、塩加減ともに穏やかで、硬さは標準的。全般的に合う。
予算の目安:9,000円~12,000円
最寄駅:浅草線・蔵前駅から60m
TEL:03-3863-1622
住所:東京都台東区蔵前3-4-8
営業時間:18:00~22:00
定休日:日曜、祝日
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