すしログ日本料理編 No. 6 ふじ味@高知市(高知県)

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高知市内には鰹(のタタキ)をウリにするお店が多いですが、鰹以外の食材も頂こうと思って伺ったのが、こちらのお店です。

お店は高知の繁華街から少し離れておりますが、その道程は逆に期待を高めてくれます。

 

暖簾をくぐると、店内は落ち着いた小料理屋と言った雰囲気。

直接的に言うと、ざっくばらんに過ぎる印象です。

しかし、料理を頂いてみると、料理は確かな技術に裏打ちされており、他店では頂けない食材をご主人が考える最良の方法で楽しむことが出来ました。

 

こちらの料理は、懐石料理のように無駄を削ぎ落として素材の輪郭を際立たす調理ではありません。

しかし、地ものの食材を「あるべき姿」に変化させ、唯一無二の喜びを与えてくれるお店であることは間違いないです。

頂いて誰もが安らぎを覚える、素材への愛情に満ちた調理法だと感じます。

これぞ、敢えて高知で頂くべき土佐料理かと!

 

初夏と晩秋に二度お伺いしましたが、再訪してお店の魅力を再認識しました。

高知の食材を確たる技術で唯一無二の料理へと変えておられ、出汁の取り方や包丁の入れ方などに安定感を感じます。

二度目の訪問で同行した食通の友人たちにも喜んでもらえました。

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先付はお酒に合う酒肴が5品ほど出てきます。

 

全て丁寧な調理の逸品ですが、初夏に頂いた【花くじら】は印象深かった。

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「花くじら」とは、一般的に「さらしくじら」と呼ばれ、塩漬けにした鯨の尾(尾羽毛)に熱湯を掛けた後、冷水にさらした料理。

関西では平仮名で「おばけ」とも呼ばれます。

こちらの【花くじら】は高知に根付く鯨食文化を感じさせてくれると共に、上品な塩梅の酢味噌が鯨の魅力を軽やかに伝えてくれます。

ちなみに、高知城にある伝統的な捕鯨風景のジオラマは一見の価値有り!

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定番と思われる【酒盗】(写真左)は、酒盗を酢で和えており、爽快。

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ちびちびと頂き、バッチリお酒を盗まれました。

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こちらの料理は、ほんの僅かな薬味使い、調味料使いに妙が有ります。 

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ちなみに、バッチリ鰹のタタキも頂くことが出来ますが(笑)、使用している鰹のクオリティや味付けなど、他とは異なるタタキとなっております。

 

特に感銘を覚えた料理は以下のとおりです。

 

~初夏~

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【コウロウ(イシガキダイ)のタタキ】

肉厚なコウロウは旨味と香りをたっぷりと楽しませてくれ、適度な炙り加減が食欲を高めてくれます。 

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【地もの蛤の椀】

東京では三重産、千葉産を頂くことが多いですが、高知産の蛤も極めて上質でした。

肉厚な身を噛みしめると、小気味良い食感とともに濃密な香りが口腔を満たします。

出汁も抑制が利いており蛤を活かしております。

心から安らぐ椀でした。

 

~晩秋~

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【松茸と鱧の土瓶蒸し】

出汁に鰹を強めに利かせており高知らしい出汁の取り方だが、松茸の香りを殺していない。

 高知で鱧というのも、サプライズがあって嬉しいですね。

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【甘鯛若狭焼き】

一塩した甘鯛(グジ)を日本酒で掛けて焼いた、高知では珍しい焼き物。

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【九絵の煮付】

上品な味付けで後半戦の舌を疲労させない。 

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【海老芋饅頭】

蕩ける百合根と海老芋の甘みが絶妙に合っているが、抑制の利いた出汁によって味の輪郭が浮き彫りにされている所以。

出汁の合間に香る三ツ葉に癒やされます。

そして忘れてはならないのが【鯖の棒寿司】。

そもそも紹介頂いた方のオススメでしたので、伺うときは必ず事前予約。

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初夏バージョン

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晩秋バージョン(6人分)

 

流石に晩秋の鯖の方がモノ自体が旨いです。

しかし、仕事も独自性が高く、非常に魅力的。

酢飯の甘みが控えめなところが良く、胡麻と大葉が効果的に使用されております。

そして、酢飯は少し柔らかめですが、空気が入るようふんわりと巻かれており、口当たりが軽妙。

この口当たりこそ、こちらの鯖寿司の特長だと感じました。

ガリが全く甘くないシャープな仕様である点も琴線に触れました。

 

こちらは5,000円から1,000円刻みでコースを組み立ててくれますが、5~6,000円でも十分な満足度です。

聞くところによると、事前にお伝えすれば、仁淀川の天然鮎や天然鰻、冬の虎河豚なども頂けるそうなので、訪問のタイミングに応じて確認されると良いでしょう!

 

店名:ふじ味

食べるべき逸品:高知の食材を用いた割烹料理。鯖の棒寿司。

予算の目安:5,000円~10,000円

最寄駅:高知駅から750m、はりまや橋から800m

TEL:088-823-1146

住所:高知県高知市大川筋1-3-34

営業時間:17:00~22:00

定休日:日曜

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