精緻な料理に宿る力強い存在感!軽井沢「Restaurant Naz(レストラン・ナズ)」

ナズ外観

こんにちは、長野県が大好きな、すしログ(@sushilog01)です。

さて、この度、念願の「Restaurant Naz(レストラン・ナズ)」さんへの訪問を果たしました。

ナズさんは2020年9月のオープン後に気になっていたものの、コロナ下にも関わらず圧倒的なスピードで予約困難になってしまいました。

訪問を半ば諦めていたところ、長野の「すし崇」の久保親方よりお誘いを頂き、訪問が叶った次第です。

 

訪問して、類まれなる世界観と長野県の食材の恵に驚嘆を覚えました。

見た目こそ精緻で美しいですが、味わいは力強く、存在感のある御料理ばかり。

発酵食が好きな方なら強烈なインスピレーションを得られるお店です。

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軽井沢「Restaurant Naz(レストラン・ナズ)」の魅力とは?

軽井沢「Restaurant Naz(レストラン・ナズ)」さんの魅力は、特定の系統に属さない「独自の世界観」に尽きると思います。

オーナーシェフの鈴木夏暉さんのセンスがお店の原動力。

 

鈴木シェフは長野の「ピッツェリア・ジンガラ」からイタリア「Pizzeria Dal Presidente」に渡り、その後、デンマークの「noma」で研修を積んだと言う独特の経歴です。

「noma」では、ペイストリー部門とデザート部門で3ヶ月間働いていたそうですが、コロナ禍でお店が一旦クローズ。

その後、同じくコペンハーゲンの「Kadeau」に勤めたものの、こちらも一旦クローズとなり、帰国されたそうです。

デンマークの修業期間は半年たらずですが、研修の中で多大な事を学ばれたのは、御料理を頂けば分かります。

しかも、イタリア、デンマークでもスタージュ(無給スタッフ)での採用だったそうなので、ガッツが凄いと感じます。

この点については、流石、元・暴走族です(笑)

 

鈴木シェフの御料理は、発酵の技法を多用し、それを長野県の食材に落とし込みます。

「発酵」と聞くと苦手意識を持つ人が未だに多いかもしれませんが、鈴木シェフの発酵料理は万人に訴求するものだと思います。

具体的には、発酵料理で万人の障壁となりうる酸味や独特の香りを上品に採り入れ、他の味覚や香りと巧みに調和させています。

つまり、発酵の良い部分を引き出す事に成功しています。

 

そして、1~3品目が脂や旨味が強烈な構成であったので、これも幅広い人に受けるストーリーテリングだと感じます。

これは鈴木シェフがお若いためのパワフルな構成なのだろう…と思いました。

…とは言え、そこに発酵のエッセンスを加える事で御料理に重たさは無く、その独自性をピュアに楽しめます。

 

また、鈴木シェフを支える生産者さん達も素晴らしいようで、Amazonプライムの“The art of plate”を観て「チームプレイ」となっている事を実感しました。

生産者、料理人、消費者の好循環を生み出している点は、地方のグルメの理想とも言える形で素晴らしい。

スターシェフ一人の力で地域のグルメと経済は変わるのだ…と、希望を抱いた次第です。

 

最後に、こちらはペアリングを選択するシステムなのですが、ノンアルコールペアリングに用いる「発酵ドリンク」が非常に面白いです。

様々な食材を発酵させてエキス化するドリンクで、完全に料理のパーツとして設計されています。

これは、こちらでしか出来ない体験となります。

ただ、ワインペアリングとは異なり、甘味を持つドリンクが多いので、この点はより抑えてもバランスが良くなるだろうと感じました。

「Restaurant Naz(レストラン・ナズ)」のコースの詳細

「Restaurant Naz(レストラン・ナズ)」さんのコースについては、1つに絞られていて分かりやすいです。

それにワインペアリング or ノンアルコールペアリングを付けるスタイルです。

 

コースの価格(税込サ別)

  • 季節のシェフおまかせコース16,500円
  • ワインペアリング15,000円~
  • ノンアルコールペアリング9,900円~

 

この度頂いた、【季節のシェフおまかせコース】の内容

  • 生ハム、ピッツァフリッタ
  • ルブロ、にしん
  • 鮟鱇
  • フォカッチャ
  • 信州サーモン
  • 根セロリ
  • 佐久鯉
  • マトン
  • にえばなイメージのリゾット
  • 松のアイスクリーム

 

【ノンアルコールペアリング】の内容

  • ローズヒップベリーのスパークリング
  • ラズベリーの発酵エキス、スパークリングウォーター、ラム酒の香り
  • イチゴの発酵エキス、ダージリン、紫蘇
  • パイナップルの発酵エキス
  • 紅玉、五郎兵衛玄米茶
  • ブルーベリーの発酵エキス
  • コンブチャ、金柑の皮

それでは、個々の紹介に入ります。

生ハム、ピッツァフリッタ

生ハム、ピッツァフリッタ

ピッツァフリッタが下に、リコッタチーズが中に仕込んである。

パウダーは発酵ラズベリー。

まず、頂く前から店内に広がる、強い熟成香にノックアウト!

シャルキュトリー好きにとっては堪らない芳香だ。

特別に八ヶ岳の生産者さんに作ってもらっているそうで、豚は三元豚だが、生ハム仕様に肥育され、塩分濃度は3%、30ヶ月以上の熟成を経ているそうだ。

しかも、真澄(宮坂酒造)の麹菌で発酵熟成させているとの事で面白い。

 

生ハムは塩気が穏やかで、旨味が非常に強い。

熟成タイプとしては低い塩分濃度での長期熟成が奏功している。

ラズベリーパウダーの酸味とリコッタのコク、ローズヒップベリードリンクの甘味や香りがベストの相性だ!

パンチの強い一品目からスタートを切ったのは、意外であった。

 

ローズヒップベリーのスパークリング

ローズヒップベリーのスパークリング

果肉から作った発酵ドリンク。

ローズヒップベリーのスパークリング02

バラのエキスを蒸留して香りを付けているそうで、甘味とバラの力強くも自然な香りが魅力だ。

ルブロ、にしん

【ルブロ】はデンマークやスウェーデンのライ麦の黒パン。

ルブロ

色合いはデンマーク麦芽の色に起因する。

デンマークでは、鰊のオープンサンドが一般的なので、日本では「鮨」をオマージュして再構築したそうだ。

鮨職人である久保親方の訪問に合わせて提供されるとは、実に意欲的なスタンス。

ルブロにしん02

白いソースは安曇野産の山葵を2ヶ月発酵させて、サワークリームに刻み山葵を混ぜたもの。

鰊は氷温で2日寝かせ、生醤油と穂紫蘇とともに提供。

脂が非常に強い鰊に山葵ソースとパンの香りが実に合う。

さらに、パンの粒の食感や旨味がリズムと余韻を生み出す。

 

意表を突くワンツーである。

 

ラズベリーの発酵エキス、スパークリングウォーター、ラム酒の香り

発酵ラズベリーアルコールを飛ばしたラム酒の香りスパークリングウォーター

甘味と香りだけでなく、塩を用いて軽い塩味を加えている模様。

これが持続性に繋がる。

鮟鱇

鮟鱇

鮟鱇は余市産の4.5キロのもので、なんと、5日間干して水分を飛ばす仕事だ。

ソースには、北海道十勝の百合根の希少品種である「月光」を使用。

黒みのあるソースは、生のポルチーニを発酵させて1年熟成させたソースで、バルサミコ酢と叩いたトマトと合わせている。

鮟鱇の表面はグリルを施し、九条ネギ、ローストしたヘーゼルナッツと合わせて提供。

調理に入る前の鮟鱇の仕事が良く、みちみち、プチプチした独特のテクスチャー。

そして、強い旨味とソースの酸味や甘味が複雑に絡む!

フォカッチャ

フォカッチャ

バッチリ美味しい焼きたてフォカッチャ。

 

イチゴの発酵エキス、ダージリン、紫蘇

イチゴの発酵エキス、ダージリン、紫蘇

濃密なイチゴの香りが印象深い。

信州サーモン

信州サーモン01

こちらのシグネチャー。

信州サーモンは八千穂漁業で2年以上かけて養殖されている特別なもの。

信州サーモン02

燻製を掛けてサーモンを常温で2週間熟成させ、薄切りの蕪と美しく合わせる。

信州サーモン02

ソースは、いちじくと発酵トマトのソース。

訪問した2月下旬は、(信州サーモンに関して)鈴木シェフが「1年で一番好きな時期」だと言う。

「水面は凍っているけれど、水中でサーモンが活き活きと泳ぎ、脂が乗る時期」のためだ。

実際に、味わい深く、これは言葉を失う。

信州サーモン03

シグネチャーの一皿とは別に提供されるフィンガーフード2種類も面白い。

左がサーモンの表面の乾いた部分に発酵させたすぐりと金柑を合わせたもので、右が奈良漬けをと合わせたもの。

信州サーモンの異なる表情を知れる。

根セロリ

根セロリ

同じ食材で調理法が異なる2種類を合わせられるのが面白い。

左は澄ましバターで揚げていて、右は蒸してミルクのアイスクリームと合わせている。

上に添えられているのは、発酵パイナップルの漬け物、マイクロパセリ。

香ばしさ、甘味、酸味、苦味の絶妙なバランス。

これは野菜料理としての満足感が凄く、力強い味わいだ。

想像できないテクスチャーも面白い。

 

パイナップルの発酵エキス

発酵パイナップル

マリアージュと言うよりは口直しを意識したドリンク。

発酵パイナップル、フレッシュミント。

塩分を感じる理由は、塩を加えてアルコール発酵を抑えるとの事で、なるほど!

佐久鯉

こちらも蓋の上と椀で2種類、別々の料理で構成されている。

佐久鯉01

蓋の上は、なめろうだ。

腹身を4日ほど寝かせて、叩いた上でミニトマトの梅干しと合わせている。

佐久鯉02

椀の方の鯉は一週間少々寝かせて、皮面を炭火焼きにしている。

鰹節、昆布、蜆の出汁とともに頂く。

佐久鯉03

この料理が面白いのが、鯉のサクを縦に薄切りして後から張り合わせ、皮も別途乾かしてから張り合わせた身に乗せている。

要は再構築した鯉だ。

旨味が強く、癖は無く、ゼラチン質が豊富。

佐久鯉の持ち味を最大化する技術が光る調理法である。

蜆出汁を感じる吸い地も相まって印象的な余韻を残す。

 

紅玉、五郎兵衛玄米茶

紅玉五郎兵衛玄米茶

紅玉のプレスジュースで、五郎兵衛玄米と合わせている点が面白い!

リンゴの皮と玄米の香りを合わせている点が良い!

御料理に用いられているトマトの酸味に紅玉の酸味も味覚的に調和する。

信州新町のマトン

信州新町のマトン01

牛肉よりも羊肉を頂きたかったので、これは嬉しかった。

信州新町のマトン02

八割がた火入れした後に、牧草で炙って提供する。

ソースは発酵ブルーベリーと黒ニンニクのソースと、ジュのソース。

羊肉は、柔らかくて実に旨い。

4日間風を当てて水分を脱水しているそうだ。

火入れは2時間かけて行っている。

よって、脂があたかもソースのように溶ける。

ソースも濃密な旨味とゼラチン質を有していて旨い。

付け合わせのサツマイモは11月から熟成させたもの(4ヶ月)。

 

ブルーベリーの発酵エキス

ブルーベリーの発酵エキス

ワインペアリングの場合、合わせておられたのはメルローとカベルネフランのアサンブラージュだったので、成程と感じるノンアルドリンク。

にえばなイメージのリゾット

にえばなイメージのリゾット

油脂でとろみをつけない方向性で、油脂は完全に不使用。

出汁、じゃこ山椒の実、山葵の茎の三杯酢漬け、三年モノ野沢菜漬けのパウダー。

パウダーに発酵の香りがバッチリ効いていて、旨味もある。

 

コンブチャ、金柑の皮

コンブチャ金柑の皮

ご飯の山椒の香りに連結するイメージ。

発酵の香りと金柑の香りのパンチがある。

松のアイスクリーム

松のアイスクリーム

松とはサプライズだ。

松ヤニとミルクを合わせ、唐松の葉のパウダー、もみの木の新芽のピクルス、松ぼっくり、紅玉、砕いたクッキー。

ホロ苦い香りが魅力的なデザート。

かなり琴線に触れるデセールで、長野で頂く意義を感じ、記憶に強く残る。

珈琲

珈琲

ヘーゼルナッツの焼き菓子

ヘーゼルナッツの焼き菓子

ヘーゼルナッツのみで造られていて、小麦粉は不使用。

濃密な味わいと独特の口どけが魅力。

ねっちりしているが、溶けながら味わいと印象を強めていく。

「Restaurant Naz(レストラン・ナズ)」の立地と雰囲気

「Restaurant Naz(レストラン・ナズ)」さんは、信濃追分駅から2.5kmほど離れた場所にあります。

ナズ外観

一棟貸切の宿「GREEN SEED KARUIZAWA」の敷地内にあり、「軽井沢らしさ」を感じる雰囲気です。

店内は意外にもイノベーティブ系のレストランよりも、伝統的なフランス料理店のようなテーブルスタイル。

落ち着いて食事と向き合うことが出来る雰囲気で、和みます。

「Restaurant Naz(レストラン・ナズ)」のお店情報と予約方法

「Restaurant Naz(レストラン・ナズ)」さんは、公式サイトのリンクから予約が可能です。

キャンセル情報はインスタのストーリーズで流されるので、訪問されたい方はフォローの上、チェックすると良いでしょう。

恐らくこちらのキャンセル待ちが訪問確率が高いと思いますので。

 

訪問される方/された方は、冒頭で言及したAmazonプライムの“The art of plate”を観る事をオススメします!

映像序盤のインタビューは飛ばして鈴木シェフの物語のみ観ると没入感が高まります。

 

Restaurant Naz(食べログのリンク)

店名:Restaurant Naz(レストラン・ナズ)

予算の目安:季節のシェフおまかせコース16,500円+ワインペアリング15,000円~ or ノンアルコールペアリング9,900円~

住所:長野県北佐久郡軽井沢町追分134-3 GREEN SEED軽井沢内

最寄駅:信濃追分駅から2,500m

TEL:0267-46-8840

営業時間:11:30~15:00、18:30~23:00

定休日:水曜、第三木曜

 

新体験の味覚と出会うとテンションが上がる、すしログ(@sushilog01)でした。

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