こちらは1953年に創業された、金沢を代表する老舗鮨店です。
金沢には全国的に見ても鮨店が多いですが、地方にあって「江戸前」の「老舗」である点に惹かれ、最初に訪れるべきお店としてお伺いしました。
中心街から少し離れた場所にあり、徒歩で30分ほど掛かります。
お店の外観は確かに歴史を感じさせるものですが、内装に重々しさはありません。
握りのみお任せで頂きました。
シャリは温度がいささか高いものの、塩分控えめでやや甘みがあり万能タイプ。
特に硬さは丁度良い。
地のタネを活かすシャリなのではないかと思います。
キジハタ
フグのように力強い食感と甘みが魅力を織りなす。
力強い食感に、江戸前に慣れている舌が一瞬フリーズしました(笑)
しかし、旨味は繊細ながらに後を引きます。
マゴチ
キジハタよりも更に上品な旨味でしょうか。
食感はこちらの方がやや強いので、ポン酢と浅葱が良い仕事。
ガス海老
独特の旨味と、とろける食感が面白い。
海老にしては爽やかな旨味が心地良い。
甘海老(南蛮海老)
ガス海老の方が好まれているそうですが、こちらの方が甘みは強いです。
濃厚なねっとりとした食感と官能的な甘みが絶妙。
赤烏賊
初めて頂きましたが、中々旨い。
端正な墨烏賊とは異なる「野暮ったさ」が逆に魅力的。
そう感じたのは旅情ゆえでしょうか。
平政 前掲
鱚
良い塩梅の〆加減。
老舗の実力を感じた一貫です。
メジマグロ
醤油が立つ漬け加減ですが、一連の流れの中だと清々しさを感じる味付けでした。
白身魚が主体なので、リズムを変える役割としては面白いです。
赤西貝
旨味は弱いものの、独特の食感を持ちます。
コリッコリな食感を軍艦で頂けば、地方で頂く鮨の面白さを感じさせてくれます。
万寿貝
知らない貝でしたが、美味しかった。
食感、旨味ともに個性的で、甘めの煮ツメも奏功。
追加するなら、キジハタ、甘海老、万寿貝の何れかかと思ったほどです。
蝦蛄
七尾産。日本海側の蝦蛄はあまりイメージがありませんでしたが、旨い。
火入れがやや強い印象です。
白海老
一貫で30匹も使用した豪華な軍艦。
こちらのお店においては、旨味よりも食感を楽しむ要素が強いです。
以上12貫と先付(山菜の煮びたし)、椀(鰯のつみれと茗荷)、ビール一本を頂き、約7000円でした。
老舗の価格としてはかなりリーズナブルです。
シャリとタネの調和や仕事に関しては、「江戸前」と言い切れないように感じますが、地物のタネを楽しむには申し分の無いお店かと思います。
店名:千取寿司
シャリの特長:塩分控えめでやや甘みがあり万能タイプ。硬さは丁度良い。
予算の目安:6,000円~10,000円
最寄り駅: 中心街から2,500~3,000m。バス or タクシーを推奨。
TEL:076-221-5057
住所: 石川県金沢市石引1-17-3
営業時間:11:00~23:00
定休日:木曜
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