こちらは神奈川県は「こどもの国」というマニアックな駅にある、隠れた名店です。
住宅街のど真ん中にありつつ、ハイレヴェルな江戸前鮨を頂ける…
僅か6席の檜のカウンター席は、鮨好きにとってのプレミアム・シートです。
こちらのご主人、相澤裕さんはまだ30歳前半とお若い。
亡くなられたお父上の夢を叶えるべく実家で開業し、なんと食べ歩きで現在の鮨を完成させた、希有な才能の持ち主です。
河岸から離れた立地ながら、築地に通い、自分の目を通して素材を選ぶ。
握りの技術もさる事ながら、仕入れの眼力にも目をみはるものがあります。
創業間もなくミシュランの星を獲得したのは伊達ではありません。
再訪記事もございます。
シャリは米酢のみでスッキリ仕上げており、硬めで、塩気も少し強め。
シャープかつ端正なシャリで、筆者はかなり好きな味です。
来客時間に合わせてシャリを切られており、温度管理も申し分無いです。
また、ガリも生姜の香りと味わいが立つ、キリッとした味付け。
お酒の数は少ないものの、ビールは「KAGUA」、日本酒は栃木・渡辺酒造の「たまか」の特別純米と、センスが光るチョイスです。
酒肴は季節の素材を丁寧な調理で食べさせる。
珍味類が大振りな切り付けなのが嬉しいです。
握りの中では、とにかく車海老が白眉。
直前に蒸し上げられた車海老は、柔らかくジューシーで、優しい甘みが瞬時に広がる。
老舗の鮨店では「茹で置き」が基本になっておりますが、こちらは直前に火を入れる。
しかも、茹でるのではなく、蒸す。
これは珍しい仕事です。
最近は鮪にも力を入れておられ、昔は出されなかった大トロを出されることも。
前回訪問した折には、大間の上質な鮪を頂きました。
閖上産の赤貝
赤貝の飾り包丁もこなれております。
海胆軍艦巻き
海胆のクオリティも非常に高い。
小鰭
新子
墨烏賊
穴子
このように、タネはストレートな江戸前のラインナップです。
そして、こちらの玉子は、甘みが上質で香り高い。
相当に手をかけられた美味しい玉子焼きです。
こちらは相澤さんの接客も清々しくて心地良いので、立地を考えずに訪問したくなる魅力があります。
最も美味しい旬のタネと、去って行く旬の終わりのタネを味わいつつ、次に来る季節に思いを馳せる。
それは本当に美味しい素材と質実剛健な技術が合わさって成される、幸福な体験だろうと感じます。
ご主人と歳が近い僕にとって、この先数十年、季節ごとに訪れたいと思う、素晴らしいお店です。
店名:鮨 おとわ
シャリの特長:米酢のみで端正なキレ。硬めで、塩分が強い。鮪との相性が良好。
予算の目安:13,000円~16,000円
最寄り駅: こどもの国線・こどもの国駅から781m
TEL: 045-961-1007
住所: 神奈川県横浜市青葉区奈良3-11-1
営業時間:平日18:30~21:00、土日祝日2部制17:00~19:30・21:00~23:30 →昼は水、金、日曜12:00~14:00、平日18:40~21:00、土日祝日17:00~19:30、20:00~
定休日:月曜、第3日曜
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