鮨好きのみならず鮨職人からも高く評価されており、金沢ではグルメな方が一、二に挙げるという鮨店です。
既に相当の人気を誇っており、訪問2ヶ月前の予約解禁日に押さえました。
お店は駅から離れた場所にあり、住宅街に突如として白壁の建物が現れます。
上品な外観と意外な立地は期待を高めてくれます。
木製の引き戸や表札も凛とした雰囲気を発しております。
店内の内装も実に上品、上質。
檜を贅沢に用いた内装は、空間自体が寡黙ながらに主張しており、自身の琴線に触れます。
箸も香りの良い利休箸。
全てが一体化しており、ご主人の美学を感じます。
翻って、鮨は極めて個性的。
圧倒的な人気を博しておりながら、かなりマニア向けのシャリです。
まず赤酢の香りが立ち、硬さは良好で口の中ではらりとほどける。
酸味は低く、甘みもほぼ無し。
塩の使い方も独特で、強くはありませんが、後をひく塩気です。
米の一粒一粒に塩が染み込んでいるイメージ。
ハッキリと個性を感じられるシャリです。
ただ、温度と米の香りが極めてネック。
温度はかなり高く、タネの香りを阻害するほど米の香りが強い…
結果として、海胆、白子、岩牡蠣など、香りの強いタネに合わせ過ぎな印象を受けます。
(白子、岩牡蠣は白眉でした)
握りは精度が高く、特に左手の親指の使い方と、
整形時の右手の親指の運びが巧いように感じました・
また、捨てシャリをしないところも好印象です。
ガリもまた赤酢が強く、甘みは低く、ほのかに漂う。
細かく刻み、ガシュガシュとした食感が個性的です。
握りの前に炙ったボタン海老の尻尾と頭を頂き、11貫と玉子、椀を頂き、10,000円。
コスト的には満足度が高いお店ですが、シャリと仕事は模索の過程にあるのかなと感じました。
鮃
シャリの熱さと米の香りによって鮃の香りを感じにくい。
槍烏賊
斜めに細かく入れた包丁が独特の食感を生んでおります。
タネの握り方も個性的で、折り畳むよう。
甘みが強く美味ですが、米の香りがタネに勝ってしまう。
炙りボタン海老
火入れが非常に良く、シャクシャク、とろり。
熟成を掛けているのか深い甘みが滲みます。
海胆
はだて。軍艦ではなく握りで。
シャリとの一体感が非常に強く、ご主人の握りの技術を体感しました。
白子
大盛りの鱈の白子を軍艦で。
温度が素晴らしく、甘みを引き立てます。
鰤
大ぶりな切り付けで、背から二回隠し包丁を。
時期を考慮するとコクは強い。
小鰭
非常に細い切り付けで、皮目を残した浅い〆。
香りはあるが旨味は少ない。
しかし、江戸前へ掛ける情熱と言うか、気概を感じられ、嬉しい。
赤西貝
食感重視の石川名物の貝ですが、薄切りにして程よく食感を楽しませてくれます。
今まで頂いた中で一番の切り付け。
鮑
三枚付けと、珍しい。
蒸し加減が抜群で、柔らかく美味。
ただ、折角の鮑の香りを米の香りが邪魔してしまいます。
毛蟹のちらし寿司
毛蟹とシャリを混ぜたちらし寿司。
岩牡蠣
蛍火で二時間焼いたという牡蠣は極めて美味。
濃厚な煮ツメも輪郭を強調します。
玉子
車海老の香りをかなり前面に出し、ふんわりジューシィな仕上げ。
今回頂いた中で最も美味しかったです。
椀
岩海苔を使用した、上品な出汁の吸い物。
ご主人は毎日片道100km離れた能登の漁港に行かれ、目に適った素材を仕入れておられるそう。
また、魚の知識も半端ない。
今回は正直なところ期待値を上回りませんでしたが、握りの技術はかなり高いので、将来さらなる進化を遂げられた際には再訪したいと思います。
店名:すし処 めくみ
シャリの特長:赤酢の香りが立ち、硬さは良好。高い温度と強い米の香りが好みを分ける。
予算の目安:お昼10,000円、夜24,000円 →おまかせ40,425円~
最寄り駅: 額住宅前駅から1,547m。金沢駅からタクシーで片道約3,000円。
TEL:076-246-7781
住所: 石川県野々市市下林4-48
営業時間:平日18:00~21:00、日曜12:00~20:00 ※ランチは水曜日と日曜日のみ営業
定休日:月曜、火曜不定休
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