こちらは寛永年間(1624年から1645年)創業と言う、東京で屈指の歴史を誇る和菓子店です。
都外であれば長崎の福砂屋(1624年)が同じ寛永年間の創業ですが、都内だと長命寺桜もち1717年(享保2年)、清寿軒1861年(文久元年)よりも遥かに前の創業となります。
それもそのはず、壷屋さんは江戸時代に町民が始めた最初の和菓子店なのです。
しかも、長い歴史を持つと言うだけでなく、素敵なエピソードがあり、勝海舟に愛され、庇護されて今に残るとの事です。
壷屋さんは創業時代(江戸初期)から幕府御用達として営んでおりましたが、明治維新の際に、江戸ッ子の矜持を持つ老舗の和菓子屋店主達の中には、「官軍だか何だか知らねぇが、粋を解さぬ連中に喰わせるものはねぇ」と暖簾を下ろしてしまったお店があるそうです(新政府は西日本の政権なので)。
壷屋さんも同様に暖簾を下ろそうとしましたが、こちらの最中を愛する勝海舟は、庶民のためにお菓子を作り続けて欲しいと伝え、店主を鼓舞するために自筆の書を送ったとの事。
その書は今も店内に飾られており、「神逸気旺(しんいつきおう)」…神頼みする事無く気力で進め、と新時代に向けてのエールが込められております。
店先には「江戸総鹿子名所大全」や「江戸買物独案内」の案内文が飾られております。
こちらの名物菓子は最中となりますが、店内に入ると【壺最中】【壺々最中】【壺形最中】があるので、最初は迷います(笑)
更に、色違いで2種類あり、パターンが複雑化!
薄茶色の焦がし皮の方が粒餡で、白い皮の方がこし餡となります。
皮によって餡を使い分けている点には、頂いて成程、と感じました。
なので、別々の組み合わせで購入されるのがオススメです。
壺形最中(焦がし皮、粒餡)
個人的にこちらで一番美味しいと思う最中。
皮がとにかく香ばしく、噛み締めるともち米の香りがぶわっと漂います。
そして、餡の濃厚さが堪らない!
黒々と光る餡は粘度が高く、甘みがやや強めながらに気にならず、皮の力強い風味と協奏する。
強い素材を合わせて一体化に成功しており、圧倒的な個性を誇る最中だと思います。
壺最中(白皮、こし餡)
こちらは上記に比べると、上品に感じられる味わい。
粒餡よりも小豆の風味、甘みともに優し目に感じます。
お茶を主として楽しむ際にはこちらが良いでしょう。
また、大きさも小さめなので、気軽に頂けます。
尚、こちらよりも小さい【壺々最中】が、前述の勝海舟が愛した最中で、江戸時代から残るものとなります。
浪漫を感じながら江戸時代の人たちと同じ味を楽しめるのは、至福と言えるでしょう。
店名:壺屋総本店(つぼやそうほんてん)
予算の目安:1個100円〜190円
最寄駅:本郷三丁目駅から360m
TEL:03-3811-4645
住所:東京都文京区本郷3-42-8
営業時間:月~金9:00~19:00、土・祝日9:00~17:00
定休日:日曜
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