
こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
鎌倉時代から幕末までのおよそ700年間もの間、一つの氏族によって治められた風光明媚な土地、人吉。

球磨焼酎や名店「上村うなぎ屋」などで全国に知られていますが、ご存知の通り2020年7月に人吉球磨豪雨災害で甚大な被害を被ってしまいました。
当時は僕もショックを覚えてすぐに募金をしました。
そして、2025年6月に訪問したところ、ニュースで見た様々な場所が復興されていて、安堵しました。
水害の爪痕が残るものの、これからも応援したいと、しなければと感じる土地です。
そのような人吉で、2021年7月にオープンした鮨店が「すし みむろ」さんです。

こちらは鮨の味、お人柄、雰囲気の三拍子がそろったお店です!
コストパフォーマンスも抜群で、愛される理由に納得しました。
みむろさん目当てで人吉を訪れる人が増えれば復興につながるため、鮨を通して人の輪が広がるなんて素晴らしい…と感じます。

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「すし みむろ」さんは上記の通り2021年7月にオープンしたお店ですが、もともとは「三駒すし」という屋号で先代が1976年に開業したようです。

「すし みむろ」さんはオープン早々に注目を集め、1日1組限定のランチ鮨は数ヶ月待ちの予約難易度となっています。
このように聞くと単に順風満帆だなと感じるところですが、実際にお伺いしてお話を聞いたところ、親方の三室 健一郎さんは開業から休みナシでランチも夜も営業されているとの談で、まさにシャカリキに営んでこられたようです。
銀座で定評ある鮨店「鮨 太一」で十分に修行を積まれ、東京で開業する予定だったところに冒頭の豪雨災害が起こってしまったため、ご実家に戻りお店をリニューアルして独立されました。
その結果の人気。
胸が熱くなります。

魚については、熊本が誇る漁場、天草の魚を仕入れつつ、修行のキャリアを活かして豊洲からも仕入れています。
ですので、北海道の魚も多数入れたり、鮪は有名な仲卸の「石司」から入れたりと、熊本において独自のラインナップを実現されています。

生命線のシャリについては、お米はもっちりしつつ硬めの炊き加減です。
ただ、硬めと言ってもバランスが良く、浸漬と炊飯の確かな技術を感じました。
そして、赤酢の旨味と酸味を活かすお酢の使い方。
よって、パラッパラながら味のある酢飯を表現されています。
今後が大いに楽しみなる鮨店です!
「すし みむろ」さんのおまかせは13,200円と言う価格設定です。
内容は全くもって価格不相応。
要は驚くべきコストパフォーマンスです。
僕は都会で事あるごとに「安すぎでしょ。値上げしたら?」と料理人にささやく一見客が苦手ですが、流石にこの価格で開業以来無休と聞くと心配になりました。
少し価格を上げて、お休みを作っていただいた方が良い気がします。

お酒については、まずは人吉らしく球磨焼酎「球磨の泉 減圧蒸留」をソーダ割でいただきました。
そして、日本酒をお任せでいくつかいただきました。

鮑の肝の香り、旨味、苦味がじんわりと広がり、味付けは上品なので爽快に感じる!小豆島の素麺は2年熟成させているそうで、もっちりと気持ちの良い弾力を楽しめる。

麺の後に珍しいことにシャリを入れるスタイルだが、シャリを入れても嫌みないのは肝の使い方が上品だからだと実感する。シャリの酸味が調味料的に馴染むのだ。
夏らしくて良いなあと思った瞬間に箸が伸びて、思わず写真を撮り忘れ!コチは脂が乗っていて甘く、香りが広がる。あくまでもじんわりと広がる旨味と余韻が爽やかだ。鱚は脱水してねっちりとした食感。生姜汁に合う。産地は天草とのことであった。

ふわふわトロトロ故に味付けしっかり。酒肴として調整されている。


冬瓜は焼き茄子的に焼いてから使っていて、上品なスモーキーフレーバーがある。とろみのある冷製の餡は清涼感があり、旨味を用いている点が九州らしい。面白い形状のトマトだ。どうやら「乙女の涙」と言う品種らしい。

ズワイガニにワタリガニの内子を混ぜるという、夢のタッグ。ジュレは酸をキリッと効かせて爽快感を高めつつ、それでも蟹の甘味を楽しめるバランス。清涼感と旨味、甘味を楽しめる一品。


鮟肝に熊本の郷土料理を添えるセンスが素敵だ。鮟肝の産地は余市で、春の鮟肝なので脂が軽やかだ。甘味は程良く上品なので、以後の鮨に向けて持続性のある味付け。


ゴールドラッシュを上から下までし使用されている。甘味だけでなく香りも良い。出汁を用いつつトウモロコシの存在感を際立たせる。


球磨川は産地であるが、今回のものは宮崎。地物は雨のため入らなかったそうだ。小型の鮎ならば個人的には肝も使用いただけると嬉しい。加熱した鮎の妙は身の味よりも肝を中心とする香りにあると考えるためだ。

肉厚な春子。しっとりと繊維がほどけつつ、滑らかにとろけるような食感を志向されている。次第に鯛の香りが高まる。厚みがあることも香りの楽しませ方に奏功している。

温かいシャリに旨味のある赤身を軽い漬けで提供している。シャリの温度によって赤身の個性が引き立つ。

トロは尚更シャリの温度変化の効果を実感させる。

厚みのある小鰭を塩気も酸味もバシッと効かせてクラシックな〆方で提供。脂が抜けているシーズン故の清涼感優先の仕事か。

今の時期に嬉しい墨烏賊との出会い。パッツパツで甘味もある。天草産。

産地は鹿島で、大ぶり。上品な漬け込みで、煮ツメ無しなので蛤のコハク酸をダイレクトに楽しめる。そして、香りも楽しめる。食感はむっちり、しゃくしゃくと噛みしめる喜びがある。温かいシャリでの提供も奏功!

北海道産。香り良く、脂が穏やかに広がる。香りによって存在感を際立たせる。


40℃40分の低温調理を行い、柚子胡椒を合わせている。低温調理だけでなく包丁によって甘味がありつつ重たくない方向に感じさせる。柚子胡椒は香りがふんわりと漂う微量の使用量だ。

温かいシャリにスイッチ。脂が乗ってきている鰯をバシッと〆ているのが粋だ!酸が広がり、脂がありつつスッキリな食後感。当たり葱を噛ませている。

茹でではなく蒸しでの提供。産地は天草。甘味がしっかり強く、繊維はみっちりしていて、噛みしめると尚甘い。

北海道のキタムラサキ海胆とバフン海胆の軍艦とは贅沢。海苔は有明で、肉厚で香りがあって旨い。故に、この海胆を受け止めてくれる。

ふわとろな食感で、ベースの味は穏やかな甘味。煮ツメもモダンな方向性。

スフレ状でしっとり、ふわんふわん。海老の香りと塩気を効かせている。

冷めたシャリに甘味のある干瓢を合わせる斬新な表現。シャリの酸味がキリリと後味を引き締める。
「すし みむろ」さんは、「一休」経由でWEB予約が可能です。
店名:すし みむろ
シャリの特徴:温度コントロールに長けており、赤酢の旨味と酸味を活かすシャリ。
予算の目安:おまかせ13,200円
最寄駅:人吉駅から550m
TEL:0966-23-3090
住所:熊本県人吉市駒井田町212-1
営業時間:12:00~14:30、18:00~22:30
定休日:不定休
修行先の、太一さん。

同じく太一さんご出身のお店。


地方で独自の鮨を編み出す方を応援したい、すしログ(@sushilog01)でした。
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