すしログ No. 222 鮨処ひと志@広島市(広島県)

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こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(f:id:edomae-sushi:20201002142555p:plain@sushilog01)です。

こちらは広島で高い評価を得ている鮨店です。

広島の江戸前鮨と言えば、超高級店である吉鮨さんが頭に浮かびます。

しかし、絶対数としてはお隣の岡山の方が多い印象なので、こちらには長らくお伺いしてみたいと考えておりました。

お店は並木通りを抜けて平和大通りを超えた先にあり、比較的閑静な一角にあります。

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お店に入ると椿が飾られており、壁には棟方志功。

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箸は細く軽いもので、本山葵を都度すっておられます。

これらの要素から自ずと期待が高まりました。

 

こちらのコースは12,000円との事で、お任せは時価。

この度のお会計は、日本酒を2.5合頂き24,570円でした。

イメージよりも高く付き少し驚きましたので(笑)、訪問される場合は予算をお伝えされた方がベターかと思います。

ただ、食材のクオリティやボリュームを考えると、決して「不当に高い」と言うわけではありません。

握りのみのランチ(3,000円〜)もされているので、そちらから入るのも手でしょう。

 

シャリは米酢に赤酢・三ツ判山吹をブレンド。

米の香りが嫌味なく漂い、硬く炊いていないがほどけ加減は良好。

お米は3種類をブレンドされているそうで、広島産、島根産、秋田産の古米と古古米を使用されております。

塩は沖縄の海塩との事で、細部に徹底されている事が分かります。

砂糖も少量用いておられますが、強すぎず良い塩梅です。

 

タネは九州のものを多く使用されており(ご主人が福岡出身なので)、広島産のタネを駆使するお店ではありません。

ただ、東京や大阪にあるお店とも異なるので、県外の人が訪問しても楽しめるお店だと思います。

県内の人は言わずもがな。

 

どちらかと言うと、お酒に比重が置かれた鮨店だと思いますので、握りだけよりも酒肴を頂いた方が満足度が高まるように感じました。

前述の通り江戸前鮨店が少ない広島においては貴重なお店と言えるでしょう。

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この度頂いた日本酒。

亀齢、宝剣・辛口純米、田中六十五・純米。

 

先付

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椎茸、切り干し大根、水菜、人参、胡麻酢和え。

 

鮃の縁側と身

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共に肉厚な切り付け。

身には鮟肝を巻いているが、嫌味なく鮟肝の風味が調味料となる。

縁側は贅沢なサイズ感で嬉しい。

 

鮪トロと鮫の湯引き

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トロは筋に包丁を入れても良いかなと感じる。

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鮫の湯引きとは大変面白い。

長崎産のハラモを使用されているそう。

軽くコリッとして、とろける。

クセは皆無。

強めの土佐醤油が盛り上げてくれる。

 

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10kgのものを5日熟成している。

強い脂に加えて、香りも楽しめる。

雄々しい香りに極めて強い脂が混ざる。

 

ねぎま串焼き

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鮪はハラモを使用されているので、脂たっぷりで野趣に富む。

ネギをトロトロに焼いている点も良い。

惜しむらくは、振り塩がかなり強めであった点。

 

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驚嘆を覚える軟らかさ。

正しくとろけるが如く。

伺ったところ、煮時間は僅かに1時間。

旨味は時期的に弱いものの、香りを楽しめる。

なお、器は万古焼きの骨董品。

 

青ナマコ

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生の身に塩漬けの肝を添えており、良き酒肴。

旨味に加えて潮の香りが加わる。

茶振りにしているのか、柔らかい。

 

バチコ

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大量!!旨味も香りも秀逸。

 

虎河豚白子

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巨大!それでいて、火入れが素晴らしい。

これについては上記ねぎまとは異なり、親方が自ら串打ちをして、焼かれていた。

濃密な旨味を、槲の香りが上品にアシストする。

白子だけで1キロある巨大河豚だったとの事。

 

虎河豚唐揚げ

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広島らしくレモン塩。衣はサクッと軽やかに、身はしっとり水分を残して揚げている。

鮨店で、しかも広島において、この食材の流れで楽しませてくれるのは素晴らしい。

 

自家製唐墨

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これまた肉厚。しっとりした食感で美味。

 

酒肴盛り合わせ

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叩いた海老と獅子唐えびの甘みに獅子唐の軽い苦味、鰤漬け焼き、豆腐の粕漬け、蓮根チップ、鯛味噌とキュウリの麹漬け、スモークチーズとスモーク蒲鉾、レモンと蜂蜜で炊いたサツマイモ。

そして、柚餅子(ゆべし)に合わせているのはチーズケーキか?面白いな、と思ったところ、自家製の蘇(そ)であるとの事!

蘇とは古代日本で作られていた乳製品で、フレッシュチーズ状の食品とされている。

レシピが失われているのだが、研究が続けられている幻の食品。

こちらの蘇はチーズケーキと思った通り、ソフトでしっとり食感に優しい甘みと酸味を感じる。

甘みよりもやや強めの酸味がじんわりと纏めてくれる。

握り前に八寸とはややハチャメチャだが、試みは面白い。

この辺りは、お酒を飲むか否かで印象が大きく異なるだろう。

 

この後、握りに移行します。

 

ガリ

ひと志ガリ

芽生姜のみを使用し、甘みが強めだが、それを超えてくる辛味。

殊の外スッキリ頂けるガリ。

 

アオリイカ

ひと志アオリイカ

食感よりもアオリの持つ甘みを押し出す仕事。

柚子皮と塩だが、塩気がかなり穏やかな点に安堵する。

 

甘鯛

ひと志甘鯛

酢で〆ているそう。かなりの旨味であり、〆に昆布も使用している模様。

繊維質はとろとろでひたすら旨味を感じさせる熟成仕事。

更に胡麻と昆布醤油を用い、パンチの有る味わい。

 

海胆、生海苔、いくら小丼

ひと志海胆いくら

間違いの無い美味しさ(笑)

海胆は長崎大村の塩水海胆との事で、超甘い。

 

アカムツ(ノドグロ)

ひと志アカムツ(ノドグロ)

梅肉餡を嫌み無く使用。

塩気や燻香は強めで、酒飲み仕様。

 

小鰭

ひと志小鰭

天草産。コノシロサイズか。

香りが強く、〆加減も強め。

小鰭特有の香りが残る点は好みを分けるところ。

 

穴子

ひと志穴子

恐らく対馬産。

とろとろではなく、食感をある程度残して煮ている点が好ましい。

 

ひと志椀

烏賊と蓮根のつみれ。

一見すると強そうな赤出汁だが、八丁味噌は穏やかで、旨味とゼラチン質がしっかり。

魚のアラをたっぷり使用している事が分かる。

 

玉子

ひと志玉子

塩気のある出汁巻き玉子。

 

カイワレ、広島菜巻き

ひと志カイワレ広島菜巻き

カイワレは力強い食感で、シャキシャキ。

広島菜巻きには山芋と柴漬けを使用。

共にサッパリと〆てくれる。

 

梅酒アイス

ひと志梅酒アイス

梅の風味が強く、濃厚なアイスクリーム。

牛乳だけでなく生クリームも使用されているそう。

ソースは黒糖カラメルソース。

 

店名:鮨処 ひと志(すしどころ ひとし)

シャリの特徴:広島産、島根産、秋田産の古米と古古米をブレンドしたほどけの良いシャリ。

予算の目安:コース12,000円~、おまかせ20,000円前後

TEL:082-247-1787

住所:広島県広島市中区小町7-27

最寄駅:中電前駅から450m

営業時間:12:00〜14:00、18:00〜21:00

定休日:日曜、祝日、不定休

 

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