
こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
「新ばし しみづ」さんの系譜で、言わずと知れた銀座の鮨店「鮨竹」さん。
オープンは2014年6月で、開店時から鮨を食べこんで来た方々から好評を集める注目店でした。
しかし、自分は未訪問。
10年以上経った現在、これはマズい!と思って訪問しました。
結果として、タイトルどおり仕事、味、雰囲気、それら全てが素晴らしい硬派な鮨店で琴線に触れました。


これぞ銀座の鮨店!といった風情があります。
鮨の聖地、銀座ではパフォーマンス系のお店よりも竹内親方のように味で語る鮨店の方が似合うと感じます。
銀座にも微妙なお店が急増する現在、「銀座の鮨店」の魅力を真に伝えてくれる貴重な一軒です。

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親方である竹内 史恵さんが独立されたのは上記の通り2014年。
2014年と言えば、「鮨バブル」よりも前で、硬派な鮨好きが多くいた時代です。
「鮨バブル」を経て鮨好きは爆発的に増えて、鮨の人気は一気に高まりました。
鮨好きを増やすために活動してきた自分としては大変嬉しい状況ですが、反面、付け焼き刃のお店であっても鮨店であると言うだけでお客が来る事態が発生しました。
特に銀座には資本系の鮨店が増えた結果、かつてのようにボラれるリスクは下がりましたが、満足度が低い紋切り型の量産鮨が増えています。
このような状況の中で竹内親方の握りを頂き、しみじみと「鮨を頂く喜び」だけでなく「銀座で鮨を頂く喜び」を感じました。

そのように感じた理由は、徹底的に江戸前鮨の古典的な仕事を押さえておられ、完成度の高い味わいへと昇華されているばかりでなく、気持ちが良い静謐な空間、小気味良く提供される鮨のリズムなど、様々な要素が組み合わさった結果です。
やはり、江戸前鮨の古典的な仕事を習得されている職人さんは強い。
頂いていて安心感があります。

〆の仕事が決して「なまくら」ではなくバシッと効いていて、現代的には強めに感じるかもしれないけれど、絶妙なバランスで魚味を殺さず活かしている点に粋を見ます。
そして、モダンな仕事である車海老の茹で上げを行いつつ適温まで寝かせる仕事や、堂に入った煮ものの仕事も抜群。
さらに、干瓢は勿論のこと芝海老オボロまで仕込んでいらっしゃる点が江戸前鮨店の証!
個人的には、新規店なのにいきなりおまかせ35,000円を超えるようなお店よりも、遥かに訪問する価値がある鮨店だと確信します。
最後に、鮨の生命線であるシャリは「しみづ」さんの系譜らしく、酸味がやや強めでアクセントになる方向性です。
「しみづ」さんよりは酸味や赤酢の感じ方が弱めかもしれません(「しみづ」さんをしばらく訪問できていないため昔の経験より)。
温度の管理は若手職人のように細かくはありませんが、決して冷たくはなく、温度が落ちる中で美味しく提供する昔ながらのスタイルです。
この度頂いた握りの詳細です。
ありがたいことに「お好み」でも頂ける鮨店ですが、タネ札を眺めて「どのみちほぼ全て頂くな」と感じたので、「握りおまかせ」で頂きました。
結果的に、頂いた握りは15貫+椀、玉子に、巻物を2種類追加。
2人でお酒を3合頂き、47,600円でしたので今の鮨店の水準からすると極めて良心的な価格です。

頂いたお酒
磯自慢
静岡らしい食中酒として楽しめる範囲内での吟醸香。甘味と苦味がありつつバランスが良い。
赤武
中トロとの相性が良い。お酒の甘味が同調するため。
黒龍
黒龍酒造のお酒は全体的に苦味が特徴。また、香ばしさも特徴。なので、甘味がある甲殻類に合わせると相補的に良い。また、海胆とも良く、苦味が合い、お酒の甘味が広がる。

炭水化物の前に野菜の先付はありがたい。

塩も酢も効いていて、バッチリ系譜を感じさせるガリ。

昆布〆。しっとりと〆ていて優しい食感の春子で、赤酢のシャリのキリッとした酸味が広がる。鮮烈に、仕事とシャリで個性を与える名刺代わりの一貫目だ。

肉厚で包丁が少なく、ゴリッ、サクッとした食感の後にとろけて甘味が広がる。そして、甘味とシャリの酸味が合わさる。

むっちりと肉厚な鮃を長く寝かせず、包丁を細かく入れて歯切れとシャリとの一体感を向上させている。噛みしめると甘味が高まり、実に美味い!そして、香りも確かに広がる。シャリの酸味に負けない味わいの鮃で、しみづさんの系譜を強く感じる。シャリが白身に勝ってしまうお店の職人さんが頂くとバランスを実感できるはずだ。

「これぞ江戸前鮨の蒸し鮑!」といった旨味と香りの高まり方で、余韻も長い。酒肴で出す事の方が増えているが、握りの鮑も見直されて欲しいと実感した。

旨味が込み上げて、酸味がふんわりと広がる。酸味の感じ方はシャリの味付けが影響しているようにも感じる。そして、香りがじんわりと広がり、喉に旨味が残る赤身だ。
なお、鮪の仲卸は「結乃花」さんの筈。僕も推している素晴らしい仲買人、井手さんの仲卸である。

きめ細かい粒子の中トロ。脂とシャリの酸味が融合する。

みっちりした食感で、塩も酢も浸透させてきっちり寝かせた古典的な〆方だ。シャリの酸味も奏効して米の甘味を感じる。今や珍しい〆加減で実に良い!

肉厚で甘味が強いものを炙って香ばしさを強く付けて、シャリの味わいとともにまとめる仕事。

しっとりした身は甘味を感じさせながらほどけ、煮ツメの香ばしさ旨味とともに味わいを深める。素晴らしい仕事の蝦蛄だ。温かくなくても香りも味も楽しめるシャコの仕事は素晴らしい。

抜群に美味い!脂が乗った鯖を〆の仕事で更に美味しくする。香りもネガティブなところがゼロだ。

甘味のある漬け込みに、味わい深い煮ツメを合わせる。蛤自体の味も噛みしめると高まる。この味覚のバランスが成り立つのはシャリのお陰だと実感。

鯖と同様に脂が強いものを〆で見事に鮨へと仕上げている。脂、酸味、乳化。これぞ光物の一体感。余韻と香りが魅力的だ。

大車!ありがたい。茹でた後に蒸し器?の蓋の上で寝かせている。噛みしめた時の力強い繊維質が嬉しくなる。食感とともに甘味が深まってゆくのが本当に美味しい車海老。香りについても苦味についてもゼロだ。

もっりもり!ここ数年で出会った海胆の中で一番もりもりだ(笑) 甘くて美味い。

煮る際に甘味を付けていて、提供時に塩でキリリと食べさせる。これは良い提供方法だなあと再認識。甘味がある厚い穴子だが、温度を上げないので穴子らしい味わいも同時に楽しむ事が出来る。

干瓢は食感を程良く楽しめて、メイラード反応による香ばしさと醤油のキレが魅力的な、古典的で美味しい干瓢だ。

オボロ巻きは海老料理の傑作ではないだろうか。特に酸味が効いたシャリで頂くと海老の甘味と香りが活きて格別の味わいである。派手さは無いかもしれない。しかし、個人的にはトロをふんだんに使った中巻きよりも遥かに贅沢に感じる。

蜆の身を入れずして強烈な旨味を感じさせる。ミョウガの香りでスッキリ。シャキシャキした食感も気持ち良い。

玉子焼きをそのままと握りのどちらで頂くか聞いて頂けるのが今や嬉しい。メイラードの香ばしさがあり、甘味も強めなのでシャリと抜群な相性。
「鮨竹」さんは銀座7丁目にあり、まさに銀座のど真ん中のエリアです。
そして、ビルに入っているのでいかにも銀座と言った感。
店内は小体で落ち着く雰囲気です。
開業から10年が経過していても、空気にも内装にも古めかしいところがなく清浄な匂いである点に心配りを感じます。
「鮨竹」さんは、お電話での予約となります。
店名:鮨竹(すしたけ)
予算の目安:
TEL:03-6228-5007
住所:東京都中央区銀座7-6-5 石井紀州屋ビル4F
最寄駅:銀座駅から290m
営業時間:11:30~14:00(L.O.12:30)、17:00~22:30(L.O.21:00)
定休日:水曜、祝日の月曜
竹内親方の修行先、しみづさん。

同じく結乃花の鮪を使う、都内で素敵なお店。




銀座の硬派な鮨店って本当に良いなあ…と感じる、すしログ(@sushilog01)でした。
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