こんにちは、鮨ブロガーの、すしログ(@sushilog01)です。
さて、僕は昔から「資本系よりも個人店を応援する」スタンスなのですが、折を見て資本系の鮨店も巡っています。
それは、鮨人気が高まった現在、資本系の鮨店も格段にレベルアップしているためです。
特に昔に比べてシャリのクオリティが向上し、個人経営の人気店にアジャストされている印象を受けます。
また、様々なお店があった方が、鮨ファンの裾野が広がるのは間違いありません。
そこで、今回、銀座の「おのでら」さんを訪問しました。
鮨以外のジャンルも多角経営するグループ(株式会社ONODERAホールディングス)なので、現在の資本系の実力を知ることができる一軒だと思います。
「銀座 鮨おのでら」とは?
訪問したことが無い人でも「なるほど、あそこか」と思うエピソードがあります。
それは毎年新年に行われる鮪の初セリ。
新年になると、「大間の鮪が〇〇万円」と報道されますよね。
「おのでら」は2021年の鮪の初セリで落札した会社となり、大間の208.4kgの鮪を2,084万円で落札しました。
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そこで調べてみたところ、鮨以外に鉄板焼、天ぷら、薪焼、ワインレストランまで経営されていて、ちょっとビックリ。
そして、国内だけでなくハワイ、ロサンゼルス、ニューヨーク、上海などに展開するグローバル企業。
「鮨おのでら」を任され、グループの「世界統括総料理長」である坂上暁史氏は16歳から鮨を修行に入った叩き上げの職人さんです。
札幌「すし善」に10年勤められた後、2013年に「鮨 銀座おのでら」を立ち上げられました。
2014年に『東京最高のレストラン』で「最も注目される20レストラン」の一つに選出されたそうですが、これは坂上氏ゆえの結果なのでしょう。
このような企業なので、訪問してすぐに、いや訪問する前からサービス(接客)は流石!と感じました。
雨の日の訪問だったのですが、開店前にサービススタッフがビルの外で傘をさしてご案内されていたので。
鮨おのでらの雰囲気
エレベーターの中にはお香が漂っていて、徹底されています。
そして、店内の空気は清浄です。
EVにお香を焚いておいて店内に雑臭が混じっていると本末転倒ですが、細部まで配慮されています。
職人さんだけでなくフロアスタッフも多数おられ、これまた流石企業だなと感じます。
店内のサービスもこなれていて、お茶の差し替えなど全てが細やかです。
お店の雰囲気は明るい色調の木で統一されていて、棚や壁面の木の彫り細工は統一感があります。
席の間隔も比較的ゆとりがあり、鮨店では珍しいハイカウンターですが、落ち着けます。
カウンター内(つけ場)は、握り手2名、アシスト1名の布陣で、奥に2~3名いらっしゃる様子。
職人さんのうち2名が女性で、かなり威勢が良く清々しい応答をされている点も、お店の雰囲気を特徴づけています。
「銀座 鮨おのでら」のシャリと仕事
シャリはトレンドをとらえた味わいです。
つまり、赤酢を用い、酸味を利かせたもの。
ただ、個人店よりも少し強めの甘みがあり、このあたりは万人受けするよう調整されているのかもしれません。
使用しているお酢はヨコ井の與兵衛でしょうか?
内堀醸造や私市醸造の赤酢ではないような気がしました。
お米の炊き加減は必ずしも硬くなく、それでいてパラッとほどけます。
温度管理も良好。
「甘すぎない、粘らない、冷たくない」の三拍子が揃ったシャリは、昔の資本系とは完全に異なるモダンな印象を与えてくれます。
お店の最も安いコースは5,500円で、僕が頂いたのはこちらです。
全体的にタネは費用対満足度が高いものを使用されています。
切り付けが非常に大きい点も特徴。
そして、北海道の魚介を混ぜる点も特徴です。
これは坂上氏が札幌「すし善」で修業された経験が活かされています。
東京ではお店を訪問する楽しみの一つになるでしょう。
仕事は全体的に強い味付けの方向性です。
〆る、漬けると言った江戸前の仕事を用い、現代人の嗜好に合うよう濃口で作られています。
個人的には、仕事が強いので、煮キリは穏やかな味に調整された方がベターだと感じました。
とは言え、全体的に仕事は丁寧なので、圧倒的多数の方には確実に響く内容です。
特に、ガリもタネもお客さんの来店後に切り付けている点が好印象。
ガリは自家製ですし。
また、鮪は室温で温度を鳴らしたり、チームワークでテキパキと切り付けから炙りをこなされる点は、見ていて清々しいものです。
鮨は「劇場」であり、職人さんは「さらしの商売」なので、これは企業であっても徹底されていて、明らかな美点だと感じました。
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「銀座 鮨おのでら」のおまかせの詳細
上述の通り頂いたものはランチの5,500円のコースです。
握り12貫、玉子、椀、茶碗蒸し、水菓子で構成されています。
ランチのメニューは同じく12貫で8,800円のものと、15貫11,000円、肴と握り14,300円とバリエーションに富みます。
個人的にはリピートするなら今回頂いた5,500円のものを頼むと思います。
茶碗蒸し
いくら、百合根の茶碗蒸し。
旬を外すいくらは使用しなくて良い。
鮨店で和食を出すならば、旬を意識することは最低限必要だと思う。
茶碗蒸し自体は滑らかで美味しい。
ガリ
甘みがありつつ嫌みのない塩梅。
塩を利かせ、酸味と辛味は穏やか。
鯛
煮キリに柚子を使用。
寝かせているが、むちっむちっと食感がある。
脂が乗っていて、シャリと馴染む。
マツカワ
高級魚の松皮鰈をランチ価格で出されているのは凄い。
昆布〆が結構強いが、肉厚なので満足感はある。
鮪赤身
漬け。柚子皮を使用。
スッキリ味だが、野趣と香りの余韻がある赤身。
切り付けが大きくてビックリ!
タイラギ
これまた肉厚!
ただ、炙りによる焦げの香りと苦みが強すぎたのが残念。
また、男性には「半分カット」なしで良いかもしれない。
シャリが潰れていたので。
鯖
白板昆布を使用。
甘みと食感のある白板昆布がアクセントに。
鯖は旬を過ぎているが、脂が乗っていて、しっとり目の〆加減が魅力。
毛蟹
大変旨い毛蟹。
北海道から直送で仕入れた活きの毛蟹を使用しているそう。
ホンマス
「ホンマス」は中禅寺湖(栃木県)での呼び名だが、産地は青森である模様。
恐らく標準和名サクラマスのマスか?
一晩ほど漬けにして、山わさびを添えて提供。
むっちりした身を噛み締めると、どんどん旨味が高まる。
そして、マス類特有の香りがふわりと漂う。
山わさびとの相性がバッチリ。
こう言ったタネは銀座で意外性があって面白い。
※ちなみに、ホンマスは琵琶湖から中禅寺湖に移入されたビワマス(琵琶湖の固有種、アマゴ)がサクラマス(ヤマメ)と交配して定着した魚だ
大根の昆布漬け
鮨店定番のべったら漬けではない模様。
鰯
小口切りした浅葱を噛ませ、おろし生姜とみじん切りのネギを乗せ、黒七味を掛けた鰯。
薬味の多用でサッパリ味に仕上げられている。
今の時期は大阪湾のもののみ使用しているそうで、仕入れの方針があって良い。
ノドグロ(アカムツ)
腹周りで脂が特に強い部分であったので、凄いパンチ。
強い炙りが合っている。
すきみ身のネギトロ
語源通りの「ねぎったネギトロ」ではなく、「葱を使用したネギトロ」。
※本来、ネギトロに葱は入らず、鮪の皮から身をそぐことを「ねぎる」と言う由
海胆軍艦
「オプションでバフン海胆もありますが、いかがですか?」とのことであったが、ムラサキ海胆でも十分美味しそうだったので、辞退させて頂いた。
実際に、濃密な味で旨い。
ムラサキなので基本的にスッキリ味だが、恐らく塩水パックと思え、ミョウバンの収斂味が無い。
海胆も冷蔵庫から出して温度を慣らしており、冷たさを感じない。
椀
アオサ入りの淡麗な赤出汁。
玉子
車海老と大和芋を使用。
ふわんふわん、しゅわっと秀逸な焼き加減。
食感こそデザート志向だが、甘みは控え目。
抹茶のブラマンジェ
ココナッツミルクを使用したブラマンジェ。
「銀座 鮨おのでら」のお店情報と予約方法
各種WEB予約に対応されていて、ここは流石資本系です。
店名:鮨 銀座 おのでら
予算の目安:ランチ5,500円~、夜16,500円~
最寄駅:東銀座駅から100m
TEL:03-6853-8878
住所:東京都中央区銀座5-14-14 サンリット銀座ビルⅢ 2F
営業時間:お昼11:00~15:00、15時からの特別ディナー15:00~17:00、ディナー17:00~20:00
定休日:無休
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今後も鮨の多様化に目が離せない、すしログ(@sushilog01)でした。
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