
こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。
今回ご紹介する銀座の「鮨こばやし」さんは、今の時代に感銘を覚えるほど実直かつストイックな江戸前鮨の優良店です。
仕事には「新ばし しみづ」さんの影響が大きく表れていて、雰囲気や接客も硬派一徹。
ゆえに、鮨を心から愛する方々に強くおすすめしたい一軒です。


鮨の「技術で食わせる」職人さんに出会い、シビレました。
あたかも15年以上前の銀座の硬派な職人さんのようで、今や貴重なお店です!

「鮨こばやし」の親方である小林 徹靖さんは、銀座の「鮨 太一」で4年、パリの「OKUDA」の鮨部門で3年間、「新ばし しみづ」で4年半修業されて、2022年12月に独立開業された職人さんです。
僕は長いことお伺いしたいと思っていましたが、移転前のお鮨屋さんに特別な思い入れがあったため、訪問がなかなか叶わずにいた次第です(お店は居抜きで入られているので)。
しかし、この度、休日のお昼にお伺いしたところ素晴らしい仕事に感銘を覚えました。
何が素晴らしいかと言うと、修行先と同様に〆る、煮ると言った江戸前の基本の仕事をかなりの精度で表現されていて、古典的な江戸前鮨を楽しませてくれるためです。
それと同時にシャリのコントロールは現代風。
よって、幅広い層のニーズにかなう優良店だと感じました。
そして、小林親方が素晴らしいのが握りの技術。
手数を抑えた精確な手返しで美しい鮨を握ります。
形成のための手返しを行わずして美しく握る職人さんに出会うと惚れ惚れします。
さらに、握りの提供方法は修行先どおり縦置き。
それが一層粋に感じさせます。

シャリの温度はバッチリ人肌温で、最初に噛んだ瞬間は「やや硬め」と思いきや、噛みしめるともっちり感もあり、非常に良い炊き加減です。
そして、ほろりとほどけます。
お酢は私市醸造の「江戸前赤酢・プレミアム」のようで、これは「鮨 太一」さんの影響を感じます。

なお、小林親方はデフォルトでスパルタンな対応なので、クラシックな鮨店の雰囲気に慣れてない人は緊張するかもしれません。
実際、僕ら夫婦がお伺いした時は、ほかは男性客のみでしたが、男性2人組ですら一切話されないので、張り詰めた雰囲気が漂っていました(笑)
他の人が話しやすいように僕らは話したのですが、終始沈黙が漂っていました。
しかし、親方は鮨に集中して欲しいがために、クラシックなスタイルを貫いているのだと思います。
雰囲気も含めて非常に昔ながらの古典的なスタイルの江戸前鮨を楽しめるお店です。
休日のお昼にお伺いしたにもかかわらず価格は非常にリーズナブルで、お酒を飲んで巻物を追加しても1万円ちょっと。
今の時代だからこそ心に響く「銀座の鮨店らしさ」があると感じました。
それでは実際に頂いた握りの内容を紹介します。
「鮨こばやし」さんは、昼は基本的に握りのおきまりで8,000円〜、夜はおまかせ18,000円〜となり、昼夜ともにお好み可能という、今や貴重なCPとシステムです。
置いてあるお酒は2種のみで、「辛口」か「旨口」でオーダーする方式です。

酸味と塩気、辛味の全てがシャープで「しみづ」さんの系譜らしいガリ。

みちっと昆布〆を施している。クラシック方向の昆布〆だが、しっとり感も残す塩梅。

包丁を入れず、限りなくみっちりとした食感での提供。故に噛み締めて強い甘味が滲み、シャリの酸味と混ざって複雑な味わいとなる。

血の香りが強く、爽やかな香りを楽しませてくれた後に旨味が広がり、酸味も滲む。夏を感じさせる美味しい赤身だ。

きめ細かい脂のテクスチャーで味わいが強い中トロ。

脱水をバシッと決めたクラシックな〆加減。塩気も酸味もしっかりしていて、今時珍しいほどの小鰭の仕事だ。

白眉。しっかりと本寸法の漬け込みの仕事を施しつつ、とろりとしたテクスチャーもあり、蛤らしい旨味と香りも楽しませる。クラシックな煮物の魅力を保持し、「現代的」と考えうるギリギリのラインを狙って表現する煮仕事である。

肉厚なものを〆て魅力を引き出す。香りも脂も実に良い。味わいが強いものの、〆の味付け部分の要素で後味を切ってくれる。このような鯵をいただくと、思わず「く〜!」と心で唸る。

大車!そして、抜群の仕事。しっとり、ほろほろした繊維質で、茹であげから温度を落ち着かせて香りと甘味を満喫させてくれる。

香りも甘味も濃密で美味しい海胆。塩水かな?と思うほどに。

ほろっほろで良い煮加減。香ばしくホロ苦い煮ツメもまた美味。

醤油がバシッと効いていて硬派な味わいだ。甘味も程良く、食感も適度に楽しませてくれる干瓢。

古典的な薄焼き玉子を握らずにそのままで。
「鮨こばやし」さんについては、お電話での予約となります。
ワンオペなので、予約電話は営業時間外にするのが礼儀です。
店名:鮨こばやし
シャリの特徴:温度や粘度、硬さなど全てバッチリコントロールされた赤酢のシャリで、握りの精度が高い。
予算の目安:お昼8,000円〜、夜18,000円〜
最寄駅:銀座駅から350m
TEL:03-6252-3288
住所:東京都中央区銀座8-2-10 誠和シルバービル 1F
営業時間:12:00〜14:00、17:30〜22:00
定休日:不定休
修行先と系譜のお店(訪問が古い情報もあり恐縮です)



そして、太一さん。

王道で勝負する職人さんが好きな、すしログ(@sushilog01)でした。
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