本物の鮨好きがうなる福岡の名店!「鮨 田可尾(すしたかお)」

田可尾看板

こんにちは、鮨ブロガーのすしログ(@sushilog01)です。

2019年8月に訪問して感銘を覚えた福岡の「鮨 田可尾」さん。

6年の時を経て再訪したところ、感動は色褪せず!

いやあ、素晴らしい鮨店です。

鯛
すしログ
すしログ

食べログ100名店やアワードの類を獲得していないので、驚くほどフーディーやインスタグラマーが訪問していませんが、福岡で訪問すべき鮨店だと断言します。

そして、本物の鮨好きが惚れるお店が「田可尾」さんであると。

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福岡「鮨 田可尾」の魅力とは?

田可尾外観

「鮨 田可尾」 の親方である高尾 友之さんは、銀座「なか田」の店舗で修行された後、 職人として独立せず、福岡中央卸売市場で仲買人として勤めた異色のキャリアを持つ職人さんです。

訪問当初はネット上の情報は少なく、写真撮影NGでしたが、意を決して大正解の名店であると感じました。

間違いなく、親方の仲買人としての経験が活きている鮨です。

春子

生命線のシャリについては、温度がぴたりと人肌で、鳥肌が立つほど。

赤酢を用いつつ万能タイプを志向されていて、酸味も塩気もかなり穏やかです。

船底を最初に付けてから流麗に握られます。

個人的に側面と右手の親指をしっかり効かせている点が印象的でした。

…と、今回感じたので前回の感想を確認したところ、全くブレが無いようで凄みを再認識しました。

以下に引用します。

そして、肝心の握りは抜群に美味しいです。シャリは理想的な人肌の温度に保たれており、口の中ではらりと上品にほどけます。味付けは酸味がほんのりと強めで、お米の香りが心地良い。

親方は正確な小手返しで握られ、握りの形が美しい!返した後の左手の親指の使い方が印象的でした。

また、握りのみならず切り付けも美しく、写真に撮れないのが少々残念に思いましたが、むしろ記憶に焼き付いたので結果的に撮れなくて良かったのかなと思ったり。

最後に、奥様との無言の二人三脚が大変美しかったです。長年助け合ってこられたんだな…としみじみ感じました。

そのような所作にも気づける方ならば、こちらの握りが気に入られるのではないかと思います。

名店が名店である理由は、親方が世俗の世事や些事に翻弄され迎合すること無く、ご自身の仕事を貫き通す点にあり、と感じました。

僕は鮨職人ではありませんが、鮨を愛する者としてこの姿勢を学びたいものです。

「鮨 田可尾」 の おまかせコースの詳細

2025年8月にいただいた内容

2025年8月の訪問時にいただいた内容です。

お酒のメニュー

お酒のラインナップは非常に魅力的で、しかも良心的な価格設定です。

ビールについては、ハートランド、ヱビスの小瓶660円があります。

ビール
お酒01
お酒02

酒器も魅力的です。

鱧の炙り

鱧の炙り

実に甘い鱧だ!また、ベテランの職人さんだが、山葵を鋼鮫でおろされていたのに驚いた。

刺身:鯛、イサキ、蛸、鮪、鰯

刺身:鯛、イサキ、蛸、鮪、鰯

鯛は寝かせてしっとりした身質で、旨味と香りが高まる。香りを楽しむならそのままで、旨味を活かすならば醤油。蛸は関門海峡のもので、これは痺れる味わいだ。香りが抜群であった。香りを満喫するためには、白身魚→蛸が良い。イサキはガス火による炙りで、昨今の職人さんよりも炙りが強めながら魚の味が濃く、脂たっぷりで旨い!鮪は噴火湾の定置網で107キロ。清涼感を感じさせる酸味と香りで、いかにも夏の味わいであった。そして、旨味もある。厚切りながら目を見て包丁を入れている点がベテランらしい。

鰯

鰯は酢〆をバシッと効かせて、脂を引き立てる仕事。

赤クラゲの酢のもの

赤クラゲの酢のもの01

有明のもので、食感抜群!!コリコリと気持ち良い食感。キュウリ、すり胡麻も良い脇役。

赤クラゲの酢のもの02

甘味の塩梅が良く、端正な酢の物だ。「飲める酢の物」は実に良い。

ガリ

ガリ

甘味を付けつつ、酸味と辛味があり、フルーティに辛いガリ。

鯛

みっちり、ねっちりした食感で、巧みな昆布〆だ。香りについても旨味についても塩梅が良い昆布〆。旨味が強めながら香りを上品に楽しませ、刺身よりも美味しく魅せるのが鮨職人としての粋だ。

イサキ

イサキ

食感のグラデーションがあり、3段階に分かれる。ぱつり、とろり、むちむち。食感に魅了されていると脂の甘味と香りが広がる。実に奥行きのあるイサキの仕事だ!余韻も良い。

ヒラマサ

ヒラマサ

むっちりした身から上品な脂と酸味が広がり、香りも楽しませる。ヒラマサの香りにシャリの香りが合わさるのが面白い。

アオリイカ

アオリイカ

とろっとろで甘いのだが、周辺に入れる包丁は浅いので、軽いコリッとした食感を楽しませる。いたずらにアオリイカの甘味を使わず魅力的な包丁だ。

車海老

車海老

茹で置きで甘味が強く、香りが良い。全体的に香りと食感の使い方が魅力的だ。

北寄貝

北寄貝

ネガティブな要素はゼロ。甘味を楽しませ、香りが広がる。

鮪赤身

鮪赤身

漬けながら全くねっちりさせない加減。赤身の旨味を引き立てる漬けで、後から香りもふんわりと広がる。

鮪トロ

鮪トロ

甘味と酸味がともにあり、酸味が優勢。淡白で血の香りもあり夏らしい爽快な味わいのトロ。

海胆軍艦

海胆軍艦

濃密な甘味に独特の香りがある海胆。

いくら軍艦

いくら軍艦

出汁醤油を使用し、甘味がほんのりある。クラシックな方向性のいくらの軍艦である。

新子

新子

手で持った瞬間に、噛む前から柔らかさを感じる新子。香りを活かしつつ旨味を出す〆の仕事。塩気を効かせつつ尖っておらず酸味はまろやか。

春子

春子

しっとり、ジューシィながら水分を効果的に抜き、昆布様の香りを引き出す仕事。オボロの甘味が途中から引き立てる。ジューシィでありながら、〆た春子らしいみしっ、ほろほろした食感があり、ジューシィな方向性でもこの食感こそが春子において大切だと実感する。柔らかいのと水っぽいのは別である。

鯵

〆鯵。素晴らしい構成。塩気も酸味も穏やかながら鯵の脂を前面に出す〆の仕事。おろし生姜と小口切りの浅葱を使用。

椀

鯛の潮汁で、鯛の香りが素晴らしい!!!久々に感銘を覚えるクオリティの潮汁であった。ネガティブな要素は皆無で、旨味と甘味がもの凄い。ゼラチン質も濃密だ。しかしながら血の嫌味無い酸味は感じるので血が香りと魅力に繋がっている(念の為、酸化した酸味ではない)。

蛤

クラシックな火入れ。しかし、漬け込みの甘味を排除しているとは凄い選択だ。煮ツメも軽めで、凄くピュアな仕事。

穴子

穴子

柔らかく炊いてから寝かせて軽く凝縮させている。身はほろり、皮はとろり。こちらの煮ツメは濃いめだ。

玉子

玉子

魚を用いているようで、みっちりした食感の後にしっとりとほどける玉子。

2019年8月にいただいた内容

2019年8月の訪問時にいただいた内容 です。

頂いたお酒

旭菊・大地 純米吟醸オーガニック米、田中六五・純米ハネ木搾り

茶豆

固茹でで、香りの良い枝豆。

こちらは酒肴よりも圧倒的に握りのお店だと感じたので、すぐに握りに移行しました。

ガリ

甘みに加えて辛味もあり、薄切りでシャキシャキした食感。

昆布〆。絶妙な〆加減で、しっとり。

昆布の旨味も香りも上品で、一貫目からテンションが上がる味わい!

白甘鯛

もっちりした身を噛みしめれば旨味が高まる。

最初にシャリの美味しさが伝わり、そしてタネの美味しさが判る。

徒にタネが勝たないバランスに驚嘆を覚える。

肉厚な身に包丁を深く数本入れている。

鯛の香りが高まる仕事…軽く脱水しているのか。

アラ(九絵)

心地良い弾力の身は包丁によって歯切れが良い。

これも香りを楽しませてくれる。

皮は炙らず。鰆の香りと穏やかな酸味を味わわせる。

季節外れのタネであるが、目利きで仕入れられたそう。

望外の旨味の強さに意表を突かれた。

ヤリイカ

斜めに細かく包丁を入れて。

包丁によってシャリとの一体感が高く、イカそのものも甘い。

北寄貝

とろんと口腔を撫で、シャクシャクと弾ける。

甘み、そして香りが広がりゆく。

海胆

通称「猫島」と呼ばれる相島(あいのしま)産。

旨味が濃密で、これは美味しい海胆。

凛々しさが残る味わいで、気品を感じた。

車海老

茹で置きで甘みを引き立てる昔ながらの仕事。

肉厚な車海老に海老味噌を噛ませて。

鮪赤身

塩竃。酸味が強く旨味もある赤身。

もしかすると山葵を少しだけ多めに使用されたか?

鮪赤身

大間。漬け。強い旨味に強い血の香りが漂い、食感はむっちり。

これが何と冷凍モノ!

先の塩竃の爽やかさを遡及させるストーリー。

こんな手があったか!と驚かされる。

鮪中トロ

これも大間。とろーんととろけ、上品な旨味と酸味が広がる。

小鰭

包丁は斜めに。

しっかりした〆加減で、酢の酸味も回している。

旨味が広がり、香りが立ち上がる良き〆。

〆ているのでぶりっとした食感の後に生っぽい食感に移行する。

生姜をタネに乗せ、ネギをシャリに付けると言う、少し個性的な薬味の使い方。

これは旨い!絶妙な〆加減。

バシッと強い〆ながら、艶めかしさを残す。

春子

これも〆が巧み!

みっちり且つしっとりした食感で、オボロとの調和も良い。

蝦蛄

多く子を持ち、香りが強い蝦蛄。

煮ツメの見た目は大変濃厚そうだが、タネとのバランスが良くて意外。

関門。波を立たせて切り付け。

周囲と中心の火入れのギャップが良い。

また、香りも楽しませてくれる。

柔らかく蒸して、汁に漬け込んだ鮑。

穴子

皮目のトロトロ感を活かした穴子。

恐らく対馬産だが、特性を活かす仕事だと感じる。

玉子

かなりみっちり、しっとりした玉子で、芝海老と芋か。


気付けば頂いた握りは20貫+玉子!

お酒も2合頂き1.7万円とは、福岡で満足度が非常に高いお店です。

渋くて、美味しい。

細部の完成度やバランスが卓越しており、強く印象に残りました。

接客にガタガタ言う人や自己中心的なかまってちゃんにはヒットしないと思いますが、個人的にストイックな雰囲気は鮨店の魅力の一つだと感じます。

「鮨 田可尾」のお店情報と予約方法

「鮨 田可尾」さんについては、食べログでWEB予約が可能です。


鮨 田可尾(食べログのリンク)

店名:鮨 田可尾(すし たかお)

シャリの特徴:

予算の目安:おまかせコース2.2万円ほど

最寄駅:天神南駅から350m

TEL:092-711-7711

住所:福岡県福岡市中央区渡辺通5-15-4 シティパレス南天神 1F

営業時間:17:00〜22:30(L.O. 21:30)

定休日:日曜、月曜、祝日

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